紙の本
「呪い」に関する一般向けの良書
2002/05/19 16:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アキノ - この投稿者のレビュー一覧を見る
古くから日本人の心に根付いた「呪い」を幅広く紹介する一般向けの良書。呪いがその実効性を恐れる人の心によってバブル的に膨らみ、際限なく広がっていく奈良・平安の呪詛合戦や、呪禁道、陰陽道、密教と発達していく呪いのテクノロジー、またいまでも行われている丑の刻参りの方法の変遷など、興味深い話題が丁寧にわかりやすく解説されている。また、著者のライフワークともいえる現代に残る呪い信仰「いざなぎ流」にも簡単に触れられているので、より専門的な『憑霊信仰論』の入門書としてもお薦め。
投稿元:
レビューを見る
優劣が存在する世の中では、「呪う」「呪われる」という関係はコインの裏表のようなもので、人間普遍のテーマとされてきた。
それを見つめ直すということはどういうことなのか。
同化欲を転換する対象と技術の必要性があるのかな。
投稿元:
レビューを見る
知っている情報も多かったけれど、何より写真が怖い(笑) あまり分析的な面は強くないので、初めて足を踏み入れる人にはオススメかも。
投稿元:
レビューを見る
「呪い」と聞くと怪しいとか怖いとか胡散臭いとかオカルト臭とかを感じてしまうけれど、ふり返ってみると「そう言う物」こそが国とか人を支えて居たのだと思う。良くも悪くも。
そういうものは「呪い」という形では廃れても別の形で今も残ってるんだろう、良くも悪くも。
投稿元:
レビューを見る
『鬼が作った国・日本』とともに、15年ほど前にカッパ・サイエンスとして新書で出ていたものが文庫化されたものです。オカルト本ではありません。なかなか読みやすい優れた社会史・風俗史であり、民俗学の立場から日本を捕らえなおした小松民俗学の最適の入門書です。『異人論』や『悪霊論』なども今では文庫本化されているので、こちらもオススメです。
投稿元:
レビューを見る
文庫版まえがき
まえがき
プロローグ―なぜ、いま「呪い」なのか
1 蘇る「呪い」の世界
2 なぜ、人は「呪い」を恐れるのか
3 どのように呪うのか
4 「呪い」を払うシステムとは
エピローグ―「人を呪わば穴ふたつ」―
解説 阿部謹也
参考文献
投稿元:
レビューを見る
古代の御霊信仰から、現代にもつづいている「丑の刻参り」など、日本文化における「呪い」の諸相を解説している本です。
著者はこれまでも一般の読者向けの本を多く刊行していますが、本書も光文社「カッパ・ブックス」の一冊として出版されたもので、民俗学や歴史学のなかから呪いにまつわる興味深いエピソードなどをわかりやすく紹介しており、おもしろく読むことができました。
「呪い」と「祓い」のシステムが、さまざまなかたちをとりながら古代から現代にいたるまで日本文化の構造の一部を担ってきたという本書の中心的な枠組みには、『憑霊信仰論』(講談社学術文庫)以来、構造人類学的な見方を民俗学の世界に持ち込んできた著者ならではの視点だといえるように思います。
投稿元:
レビューを見る
著者との出会いは、国立民俗学博物館で開催された脅威と怪異展関連シンポジウムの席だった。壇上で妖怪は文化において存在する。と断言する著者に衝撃を受け、公演後駆け寄り、「西洋と東洋におけるAI開発の擦り合わせと、怪異妖怪から起こりうるスーパーナチュラルとの擦り合わせが類似していますね。」と言う今思うと突拍子もない発言に拒否せず同意的な応答を下さったことを記憶するが、その著者との再会が水木しげる氏の神秘家列伝読書中の閃きの結果として本書へと行き着いたことがただの偶然でないように思えて仕方がない◎とそんな感想外の思いはさておき、本書で投げかけられている疑義は、まさにこのコロナ禍に的確な疑義とも言えよう。特に長らく実父の起こした不祥事に謝罪の行脚を敢行されてきた上皇陛下皇后より御世代わりとして現今上陛下皇后に御世が変わった途端のコロナ禍とこの動乱に何を「穢れ」と捉え「祓う」必要があるのか?を問うような文面は1995年発行とは信じられない鋭さがあった。改めて、もう一度著者にお目にかかり著者ならではの視点で捉えた今を伺いたいものである(^^)