プロットが書けなくてもOK、の実用的出版術雑文やエッセイ等を書くときの参考に
2007/05/09 01:43
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:いえぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
多くの執筆指南書では、本文もさることながら、その前段階である企画やプロットを重視する傾向があります。本を「商品」として扱う以上、コンセプトがしっかり消費者の方を向いていなければ、良い売り上げはおぼつかないからです。確かに商業的に原稿を書いたり、持ち込んだりする場合は、本の原稿ではなくプロットを見せることで、編集、つまりは出版サイドからの承認を得ることが多く、プロットを扱えるようになるか否かは、作家やライターにとって重要な要素の一つとも考えることが出来ますが、一方で、そうした構成が苦手な人も少なからず存在します。
短所を努力の末に補うのではなく、短所がある状態でも、本を出してみたいと思う方におススメなのが本書です。著者の横田氏が、全く執筆業とは関わりのない状態で、初の単行本を出し、そして、今どうやって本を書いているかという部分でも、プロットではなく、別の部分を重要視しているスタイルが浮かび上がっています。いわゆる短文やエッセイが好きな方、そっちの方向に進みたいと考えている方には、小説指南書より、本書の方が適していると言えるでしょう。読者の筆力や文才をアテにしていないところも、ノウハウ本として好感が持てます。
また、いざ本を出すという段になった方も読んでおくべきです。本書には、出版サイドの都合や、基本的なスタンス、そして持ち込みのコツや想定されるトラブルや改変事項など、かなり込み入った話も書かれているので、トラブル回避のための知識を得ることも出来ます。少なくとも、本書に書かれている持ち込みのコツを覚えておくだけでも、成功率はグンとアップするはずです。
分かりやすく面白い文章で、持ち込み、執筆のノウハウから、出版界の裏事情までを手広くカバーしたいのなら、この一冊をおススメします。
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“エッセイの場合、身辺ネタが多いぶん、自然と自分に関する部分がしばしば登場する。とどうしても、自分のことだからカッコよく書きたくなってしまう。
でも、それをやっちゃおしまいさ。正直に、むしろドジでカッコ悪い部分を出すぐらいでちょうどいい。
原田宗典がそうだろう。あの「トホホ……」がおもしろくて、みんな本を買うんだ。”
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人格上、問題がありそうな(?)元銀行員が、書いた、フリーライターへの道に近いもの。しかし、彼のいう“出版とは縁である”という、理論は正しい。サブカル系なんか、ほとんど元編集者だらけだ。無名の人物が汗水たらして書いた原稿は、焼却炉へ行くのが落ちとか、某大手出版社の内部事情までバラしている。その他文章の書き方などいろいろあるが、文章の言葉遣いが“きわめて粗暴”横田氏がどういった人物だか、わかるが、だからこそ“出版とは『縁』なのだろう”。
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文学賞狙いの人ではなく、サラリーマンが執筆・出版をすることを念頭に置いてあるとのこと。内容は、著者の体験談からはじまり、原稿の書き方や出版社への持ちこみ方がわかりやすく書いてある。原稿を編集者に手渡してから本になるまでの流れ、本の部分名・出版用語集も記載されている。
言葉づかいは固くなく、かなり砕けていて、親近感を感じた。
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「本を出す」という行為へのプロセスについての注意事項や経験談などが記載されている本なのだが、この本を通して「本を出す」とはどういうことなのか、というより抽象的なところに個人的関心が向かった。
なのでここから書くことはこの本のレビューではない。本で面白いと思ったところは引用のほうに切り抜いたのでそちらを参考にしてほしい。
本文。
近い将来(というかもう現在においてもそうだと思うけど)、読者と筆者だけの、遠隔コミュニケーションみたいな読書というあり方には限界が出てくるだろう。
その時、似たような指向を持つ人間を集めるという本の集約性、あるいはその人の持つ思想の「象徴」としての役割(つまり「名刺」としての機能)に、再び強い関心がいくはずだし、本はまさしくそのような機能を持つはずだ。
今起きている現象でいえば、ネット上でもよく告知の打たれている読書会がまさにそれに当たる。自分の出自を「○○村の出身で〜」といえなくなり、大学などの出身にもその人の中身を反映させる力があまりないということが自明視される現在、本というのは自分を紹介し、人と結びつけるのに格好の力を持つようになるわけである。
こういった流れは第三者による偶発的なものがほとんどだと思うけれど、それに対して出版社が、あるいは筆者その人がどのような立場をとり、そしてどのような行動を取っていくべきなのかについてはまだまだ考慮の余地がある。
今「本」と「行動」を積極的に結びつけているのは議論の場を持てる大学関係者か、そうれなければ自己啓発セミナーか宗教かというところだと思うが、ここの既成概念を崩すことで、出版不況に陥る本の役割が新たに稼げるのではないか。
これからの時代、少なくともある一定の種類の「著者」は、その本を出すことによってどのような場を創り出したいと期待しているのか、もっと真剣に考える必要が出てくるのかもしれない。
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昔読んだ本。
元銀行マンで、業界暴露本を書いた後、専業ライターになった人。
本を出せたのは縁だそうです。
なにごとも縁って大事よね。
小説以外で、何か本の企画をいくつか準備して、縁があったときにそなえるべきかも……!
坊ちゃんはベストセラーのお手本だそう。キャラがよく、勧善懲悪で、夏目漱石の初期に出された本だから売れる、らしい。ふむふむ。
利口ぶるよりは、バカな部分をさらけ出したほうが面白く、好感をもつ。
速書きは日本語の宿命。日に10枚くらいは書けないときつい。プロットや下準備をするなら、その時間をのべて、実質的に、10枚/日で。
講談社の重版シミュレーションシステム、角川のメディアミックス、幻冬舎の一点集中広告戦略。
共感性で心をつかみ、新知識性で日本人の勉強心をくすぐり、エンターテイメント性で面白くするのが、売れる法則。
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①業界の掟とは?
・編集者とは相性
②気づき
・キャラクターを出すのは万人受け
・紹介が無いと出版は難しい
・原稿は直接渡す
・改行が必要
・漢字を少な目
・要約「共感性」「新知識性」「エンターテイメント性」が必要
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「はみ出し」シリーズで有名な横田濱夫さん。この本は何故「はみ出し」シリーズを出すことになったのか、またどれだけ素人が本を出版することが大変で、それをクリアするのにはどうすればいいのか、横田さんの本質に近づける大変良著なのだ。
まず、横田さんは不良債権になることが分かってたのに、融資を実行した支店長に反抗して左遷され、閑職に追いやられた。彼は時間が有り余ることもあってか、暴露本の執筆を思い立つ。
原稿は書き上げ、30社くらいにいきなり郵便で送ったのだ。もちろん、何のリアクションもなし。たまりかねた横田さん、出版社に電話する。すると電話口で「ウチは依頼した方しか原稿は受け付けておりません。文学賞に応募してください」と冷たく言われたそう。
暴露本の出版社からも断られ、最終的に横田さんは「コネがないと無理かも」と思いつき、大学時代のゼミの同級生に頼む。彼はいわゆる取次という出版社と書店の中間の会社で働いていたのだ。
「俺本出したいんだけど、どこにも断られちゃってさ~困ってるんだよ」といきなり電話をかけたにも関わらず、彼は「面白そうじゃん。俺が出版社を当たってやるよ」とのポジティブな回答が返ってきた。
しかし、それからが長かった。半年以上音沙汰無し。横田さんも半分諦めていたところ、とつぜん彼から「おいっ、あの原稿出してくれる出版社見つかったぞ」という電話があった。
原因は、その二週間前、富士銀行(現・みずほ銀行)の暴露本を上記とは異なる出版社が出したところ、好評で重版が追いつかなかったそうだ。つまり二匹目のドジョウという構図だ。
知っている人は知っているだろうが、「はみ出し」シリーズはベストセラー。大野も読んだが腹がよじれるほど笑った。「港の見える丘銀行(注:横浜銀行の事を著書ではこう表現していた)スゲーぜ」って。大野は当時、銀行員一年目だった。
しかし銀行側も黙っていない。姑息な仕返しをしたのだ。再び左遷。即ち「事務管理部 公営資金課」に回される。この仕事は競輪競馬場で現金を回収したり、運んだりする仕事だが、仕事内容が死ぬほどキツイ。
一袋20キロもある、現金の詰まった麻袋を一日何百枚と担いで運ぶ仕事だった。同僚は職安から派遣された、日雇い労働者。おまけにレースは週末にあるから、休みは不規則。横田さん失職を余儀なくされたそうだ。
そこから横田さんの文筆業が始まるのだが、現在、彼は元エース銀行員という性質も手伝ってか印税で得た資金で投資家になり悠々自適の生活を送っているとのことだ。そんな横田さんから、本を出版する時のアドバイスを抽出する。
まず一番いいのが誰かに紹介してもらうことだそうだ。それも出来るだけ編集部の人間を直接知ってる人に頼むことという。
そんなコネがない人は、「当たって砕けろ」で出版社に電話をかけまくるしかない。それもやり方があるそうだ。まず簡単に名字だけ「○○と申しますが」という。交換のおねえちゃんから「どちらの○○様でしょうか?」と聞かれたら「フリーの○○です」と業界関係者と思わせることだそうだ。
その次に「それじゃ、原稿を送ってくれ」と言われても絶対郵送はダメだそうだ。そこは「それでは直接お持ちいたしますので」と切り返さないといけない。でも会ってくれるのは二十件に一件ぐらいなんだそう。
完成した原稿には必ず「梗概」を添えなければならない。「梗概」とは、簡単に言うと「要約」のこと。これはあらすじを四百字詰め用紙一枚にまとめたものなのだ。これは文学賞とかでも必ず提出が求められているものだそう。なぜなら基本的に相手は原稿なんか読みたくないから、それを覆すのにはマストだそうだ。また腕のいい編集者だと、この梗概を見ただけで大体の作者の才能が分かるとのことだ。
エッセイやビジネスものだったら、もう一つテクニックがある。仮に一冊分原稿ができたとしても、最初は五十枚とか百枚とか、最初は軽めの分量を出す。
すると向こうも「ま、このくらいの分量なら読んでやってもいいか。。。」となる可能性も高まるとのことだ。
と、ここまで書いたが本書は、本を出版するノウハウが横田さんの実証例をもとに書かれている。本を出版したい方は是非読んでほしい。あ、言っとくけど銀行員の方「倍返しだ」といって暴露本なんて書いたら、則失職ですよ。
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物言いが下品で抵抗があったが、自らの原稿を出版社に送りまくったり、面会に漕ぎ着けたり、その行動力はタメになる。暴露本でも書こうかなーとふと思いついたけど、この著者がまさに暴露本で売れた人であるし、世の物書きにはそういう動機が蔓延しているようだ。簡単じゃないよな、という事がよくわかる。