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投稿者:凛珠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「暗黒星」は角川ホラー文庫で読んでそちらに感想を書いたので、こちらでは「何者」について。まず、「何者」というタイトルからして凄いと思う。神秘的で挑戦的で、このタイトルを聞いて作品の中身が気にならない人は少ないだろう。「何者」というのは犯人は何者か(誰か)という意味だろうが、犯人が判明した後、その犯人の不可解さを暴き、一体何者か(どのような人間か)と問うような意味も持てると思う。
乱歩は魅力的な女性を書くが、男性もなかなかだ。退屈の為に殺人を犯したりする、内面の窺えない近代的ニヒリストの男性は魅力的でもある。読者もまた、この作品の犯人に対して「何者」と問うであろう。
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『何者』
明智小五郎シリーズ
結城少将邸で起きた銃撃事件。被害者は息子である弘一。井戸から現れ消えていった犯人の足跡。結城邸に滞在する赤井。弘一の婚約者と親友・甲田の関係。入院先で「私」に事件の推理を話弘一。逮捕される甲田。赤井の推理と赤井の正体。
『暗黒星』
明智小五郎シリーズ
伊志田邸で上映された古いフィルム。主人である鉄造の息子・一郎の見た謎の夢。明智小五郎に調査を依頼する一郎。明智との電話中に襲われた一郎。右目から血の滴る写真。塔上から何者かに合図を送る一郎の姉・綾子。殺害された後妻・君代。襲われる明智。銃撃され重傷を。殺害された一郎の妹・鞠子。消えた綾子。謎の男の殺害事件。被害者の荒川と綾子の関係。誘拐された鉄造。地下室の磔。
2010年12月18日再読
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これだけの雰囲気を出せる文才に脱帽。
ただ「暗黒星」は途中から犯人が分かってしまい、なんとなく残念。
それでもやっぱりすごかった
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ブックオフに本を売ったら、代金の他に300円の割引券をくれたので、思わずこちら350円を50円だけ払って買ってしまいました。
『何者』は乱歩の最高傑作という人もある作品ですが、たぶんものすごく以前に読んでいると思うのですが、ほぼ完全に筋を忘れていました。今となっては(当たり前ですが)古典的なトリックですが、これが書かれた時代を思って読むと傑作に違いありません。
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犯人の想定していたトリックが決まりきらなかったがゆえに謎が深まり、かつそこが糸口となって一分の隙もなく解明される『何者』。策士策に溺れる、というやつですね。そして後半に収録された『暗黒星』。サービス精神旺盛な犯人が繰り出してくれる外連味と時代感たっぷりのネタの数々が、今となっては微笑ましい。最後はちょっとあっけなかったけど、それよりなにより挿絵が素敵。
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同名の朝井リョウ作に釣られて、bookoffで手に入れた
文庫本で江戸川乱歩を読むのは初めてだと思う。
ストーリーの流れ等から、昔児童文庫やテレビで見た「怪人二十面相」を思い出した。が、
そのうち、それを見たり読んだりしていた子供の当時が蘇った。
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「何者」
最終章の題は "Thou art the man" で、出典はサムエル記。
「他でもない、あなたがその人だ」の意で、E.A.ポオ「お前が犯人だ」の原題でもある。
陸軍少将邸で、その一人息子が盗賊に銃撃され、入院先で安楽椅子探偵となるが……。
第六章タイトル「算術の問題です」を目にして、
これはもしや――と、中井英夫『虚無への供物』を開いたら、
第二章に「算術の問題」というパートがある!
はて、ここは何の話をしている部分だったっけ?
と、久々に目を走らせたら、
奈々村久生のセリフが「またそんな〝何者〟だなんて」(講談社文庫旧版p.270)
だったので笑ってしまった。
ちなみに「算術の問題」とは、こちらの本家「何者」では、
容疑者が二人いて一方が潔白だとしたら、残る一人が犯人に決まっている、という意味。
で、余談になるけれど『虚無への供物』においては、
火災現場の遺体が入居者全員から生存者を引いた数より1多い、
つまり、死体が一つ余る、という話。
松野一夫画伯の挿画がお茶目(笑)
「暗黒星」
東京・麻布の洋館、伊志田邸で起きた事件に立ち向かう明智小五郎だったが、
覆面の侵入者に狙撃され、入院を余儀なくされる。
しかし、名探偵はベッドに横たわって思索するうち、ある重大な「鍵」を見出す――
といったところまで読んで、
この作品が「何者」とカップリングされた理由を理解した(笑)
タイトルの意味は明智のセリフによって「光のない星」「邪悪の星」と説明され、
これが連続殺人の真犯人を指している。
小林少年も、ちょっとだけ登場。
いずれも乱歩作品にしては猟奇色のない真っ当な推理小説なので、
若干物足りなくはあるが、これはこれで非常に面白い。
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本格推理小説とスリラー小説のがそれぞれ一遍ずつ収録。
やはり「何者」が面白い。初期の江戸川乱歩の短編を飛んでから予備知識無しで読むことをお勧めしたい。
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何者/暗黒星の二編。
暗黒星は明智のカッコ良さを堪能できる作品だと思う。
序盤の不気味さも良い。
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このシリーズは、雑誌連載時の挿絵が復刻してあり、昔の雰囲気で味わい深く読めるのがとてもよい。
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『何者』
冒頭の文はどういう意図のものなのだろう。なぜ素直に「わたしは」で始まってはいけないのだろう。
『暗黒星』
子供のころ読んで、なんとなく内容は覚えていたものの、犯人は忘れていた。なんか女の人だったような気がしていたので、その記憶違いにも助けられて面白く読めた。
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無名時代、習作時代と言ってもいいかもしれないその頃の短編集。トリックも軽々しい、登場人物も粗削り。乱歩にはこの頃から巨人と言われるまでの間に大きなカタストロフィックな転機があったような気がしていている。
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「何者」「暗黒星」2編を収録。
「何者」は既読でした。途中まで気付かず読んでいたけど、井戸からの足跡あたりで、あ、読んだことあると気付きました。NHKの満島ひかりが明智小五郎役を演じていたドラマが記憶に新しい。(あのシリーズもっとやってほしい)明智小五郎が正体を明かすシーンが皮肉っぽくてとても好き。乱歩作品は既読のものでも読むたびに新鮮に面白い。
「暗黒星」こちらは初読み。
明智小五郎って初期?の頃は変装苦手っていう設定だったんだ…?と意外でした。明智小五郎といえば変装の名手というイメージだったので、この明智小五郎は偽物ではないのかと疑って読んだりしてました。
スクリーン上に映し出された顔が焼け爛れていくというシーンや、かけてある洋服に混ざって覆面の犯人が潜んでいたという演出がいちいち不気味でとても良い。たまらん。創元推理文庫のこのシリーズは連載時の挿絵があるのがいいですね。
ラストまで読むと、この2編がどういうコンセプトでチョイスされたのかが分かりました。