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できそこない博物館 みんなのレビュー

    一般書

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    みんなのレビュー10件

    みんなの評価4.4

    評価内訳

    • 星 5 (3件)
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    • 星 1 (0件)
    8 件中 1 件~ 8 件を表示

    紙の本

    書き留めた創作メモを引っ張り出し、あれこれ語るエッセイ。その行き着く先は脳科学の分野へ。

    2010/12/05 19:13

    1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

    投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る

     本書は、著者が書き留めた創作メモをひっくり返し、その内容について、あれこれ語るエッセイ。
     メモの中には褐色に変色し、よごれ、留めてあるクリップが錆びついているというしろものまで。
     このエッセイは、月刊誌「問題小説」に1年間連載されたものだそうだが、その雰囲気は、引っ越しの時に押入の置くから出てきた、懐かしい物を見つけて、あれこれ思いを巡らす様子に似ている。

     その内容がまた面白い。
     長い間眠っていたメモの内容について考察し、改めて想像を巡らしながら、昔なら作品にできたと悔しがり、話を広げようがないメモだと放り出し、この意味不明のメモは何なのかと頭を捻る。ここで目の当たりにする星新一氏の古いメモとの格闘は、著者には悪いが面白い。

     そういう面白みがある反面、本書には、著者の「SF的発想の解析」という大まじめな思惑がある。
     その発想の解析について、著者は興味深いことを述べている。
    『発想の分析はある点までは元をたどれるが、それから奥は自分でも手がつけられないとわかった。境界線があり、そのむこうの無意識の世界において、半製品が作られ、こちら側へ送られてくるのである……中略……無意識の世界は霧に包まれていて、どうなっているのか、ぜんぜんわからない。気になることだ。知る方法はないのか』

     おりしもNHK教育テレビ「サイエンスZERO」では、勘、直感、霊感、発想などとも呼ばれる『第六感』の中で、心理学・脳科学の分野で特に注目されている『直感』のメカニズムに迫った内容を放送。
    (サイエンスZERO:シリーズ五感の迷宮6「科学が迫る”第六感”」)

     番組では、『意識』を海面から突き出た氷山の一角、『無意識』を海中に隠れている巨大な氷塊と例えて、この無意識に何らかの刺激が加わることによって、無意識に蓄積された来歴(過去の訓練、経験、遺伝、知識など)が反応し、何らかの形で意識へ情報伝達される、と解説していたが、すでに、著者自身の分析が、番組の内容に、迫っていたことには瞠目する。

     発想について、本書の中でもう一つ興味深い記述がある。
     良いアイデアが出ず、苦闘する著者は、
    『そんな時はあきらめて、風呂へ入って酒を飲み、軽い内容の本を読んで寝ることにしている。……中略……そういった瞬間に、少しましなアイデアが浮かんだするのだから、これまたふしぎだ。……中略……しかし、それは考え抜いたあげく、緊張と解放感のほどよいバランスのとれた状態だったのだろう。こんな精神状態を人工的に作れば、アイデア発生薬となる』
     と述べているが、実は<瞑想>というアイデア発生薬があった。

     瞑想については、同じ「サイエンスZERO」の『第六感』特集のなかで、『瞑想と直感』の関係を調べている。
     ここでは、『瞑想は、運動や思考を司る大脳を沈静化させ、注意や集中、直感が働く時に活動する部分である前頭前野内側部の血流が上昇、活発に動いている』と解説。

     そして、以前読んだ松本清張・江戸川乱歩共編「推理小説作法」では、松本清張氏によって上記の事柄が裏付けられている。
    『トリックとかアイデアは、むしろボンヤリしているようなときに浮かんでくる。それは実は身の回りから浮かぶものが大部分』
     と松本清張氏はアイデア創出の状況と、来歴について述べており、このボンヤリした状態が一種の瞑想状態であることを窺わせる。

     ここで注意しなければいけないのが『ボンヤリ』について。
     単に頭を真っ白にするのではなく、今考えている物事を頭の隅に置いておく、いわゆるアンテナを張っておくことが大切なのだそうだ。
     新しく興味のあることができた途端、その興味に関係あるものが急に目に付くようになった、ということが度々あるが、これも無意識にアンテナを張っている証拠だろう。
     私が、このアイデア発想について立て続けに触れることになったのも、無意識のアンテナが……。

     ところでアイデアが浮かんでくる状況が、星新一氏も松本清張氏も似ているのは、非常に興味深い。作家にアイデアが浮かぶ状況のアンケートを採ったら面白そうだ。
     この二人の作家が体験した『ボンヤリ瞑想法』は、アイデアが必要になったとき、きっと役立つに違いない。

     だいぶ逸れてしまったが、こんな感じで色々と考えさせされる作品でもある。

    * * *
    「サイエンスZERO:シリーズ五感の迷宮6「科学が迫る”第六感”」の内容について、要点を箇条書きにまとめたので、興味のある方は以下のサイトへどうぞ。
    できそこない博物館:ReadingBooks

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    2007/05/23 00:10

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    2008/03/05 10:31

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    2011/03/22 11:51

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    2010/03/24 22:35

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    2021/08/07 09:31

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    2022/06/11 18:51

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    2023/12/21 20:35

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