できそこない博物館
できそこない博物館 改版 (新潮文庫)
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紙の本
ネタ帳をネタにするという発想の転換
2019/09/10 20:05
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ペンギン - この投稿者のレビュー一覧を見る
おもしろい話を書こうとあーでもない、こーでもないと苦悩するところがおもしろい。創作過程を垣間見ると、私にも一本くらい真似できそうな気がして…こないな。
紙の本
できそこないというけれど、
2017/02/21 10:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:tamayo04 - この投稿者のレビュー一覧を見る
できそこないという言葉を選ぶのも星さんらしくていいなと思います。イラストもいい味を出していますし、作品の秘話も多くて楽しめます。
紙の本
書き留めた創作メモを引っ張り出し、あれこれ語るエッセイ。その行き着く先は脳科学の分野へ。
2010/12/05 19:13
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、著者が書き留めた創作メモをひっくり返し、その内容について、あれこれ語るエッセイ。
メモの中には褐色に変色し、よごれ、留めてあるクリップが錆びついているというしろものまで。
このエッセイは、月刊誌「問題小説」に1年間連載されたものだそうだが、その雰囲気は、引っ越しの時に押入の置くから出てきた、懐かしい物を見つけて、あれこれ思いを巡らす様子に似ている。
その内容がまた面白い。
長い間眠っていたメモの内容について考察し、改めて想像を巡らしながら、昔なら作品にできたと悔しがり、話を広げようがないメモだと放り出し、この意味不明のメモは何なのかと頭を捻る。ここで目の当たりにする星新一氏の古いメモとの格闘は、著者には悪いが面白い。
そういう面白みがある反面、本書には、著者の「SF的発想の解析」という大まじめな思惑がある。
その発想の解析について、著者は興味深いことを述べている。
『発想の分析はある点までは元をたどれるが、それから奥は自分でも手がつけられないとわかった。境界線があり、そのむこうの無意識の世界において、半製品が作られ、こちら側へ送られてくるのである……中略……無意識の世界は霧に包まれていて、どうなっているのか、ぜんぜんわからない。気になることだ。知る方法はないのか』
おりしもNHK教育テレビ「サイエンスZERO」では、勘、直感、霊感、発想などとも呼ばれる『第六感』の中で、心理学・脳科学の分野で特に注目されている『直感』のメカニズムに迫った内容を放送。
(サイエンスZERO:シリーズ五感の迷宮6「科学が迫る”第六感”」)
番組では、『意識』を海面から突き出た氷山の一角、『無意識』を海中に隠れている巨大な氷塊と例えて、この無意識に何らかの刺激が加わることによって、無意識に蓄積された来歴(過去の訓練、経験、遺伝、知識など)が反応し、何らかの形で意識へ情報伝達される、と解説していたが、すでに、著者自身の分析が、番組の内容に、迫っていたことには瞠目する。
発想について、本書の中でもう一つ興味深い記述がある。
良いアイデアが出ず、苦闘する著者は、
『そんな時はあきらめて、風呂へ入って酒を飲み、軽い内容の本を読んで寝ることにしている。……中略……そういった瞬間に、少しましなアイデアが浮かんだするのだから、これまたふしぎだ。……中略……しかし、それは考え抜いたあげく、緊張と解放感のほどよいバランスのとれた状態だったのだろう。こんな精神状態を人工的に作れば、アイデア発生薬となる』
と述べているが、実は<瞑想>というアイデア発生薬があった。
瞑想については、同じ「サイエンスZERO」の『第六感』特集のなかで、『瞑想と直感』の関係を調べている。
ここでは、『瞑想は、運動や思考を司る大脳を沈静化させ、注意や集中、直感が働く時に活動する部分である前頭前野内側部の血流が上昇、活発に動いている』と解説。
そして、以前読んだ松本清張・江戸川乱歩共編「推理小説作法」では、松本清張氏によって上記の事柄が裏付けられている。
『トリックとかアイデアは、むしろボンヤリしているようなときに浮かんでくる。それは実は身の回りから浮かぶものが大部分』
と松本清張氏はアイデア創出の状況と、来歴について述べており、このボンヤリした状態が一種の瞑想状態であることを窺わせる。
ここで注意しなければいけないのが『ボンヤリ』について。
単に頭を真っ白にするのではなく、今考えている物事を頭の隅に置いておく、いわゆるアンテナを張っておくことが大切なのだそうだ。
新しく興味のあることができた途端、その興味に関係あるものが急に目に付くようになった、ということが度々あるが、これも無意識にアンテナを張っている証拠だろう。
私が、このアイデア発想について立て続けに触れることになったのも、無意識のアンテナが……。
ところでアイデアが浮かんでくる状況が、星新一氏も松本清張氏も似ているのは、非常に興味深い。作家にアイデアが浮かぶ状況のアンケートを採ったら面白そうだ。
この二人の作家が体験した『ボンヤリ瞑想法』は、アイデアが必要になったとき、きっと役立つに違いない。
だいぶ逸れてしまったが、こんな感じで色々と考えさせされる作品でもある。
* * *
「サイエンスZERO:シリーズ五感の迷宮6「科学が迫る”第六感”」の内容について、要点を箇条書きにまとめたので、興味のある方は以下のサイトへどうぞ。
できそこない博物館:ReadingBooks