紙の本
わかりやすくはないが,著者の深い知識の結晶だ
2010/12/04 22:52
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本では 「デバイス」 とよばれている Kindle や iPad などについての本のおおくは,電子書籍や情報端末の表層的な紹介や比較にとどまっている. そのなかで,この本はそれらがもつもっとふかい意味を分析しようとしている.
この本の一番のエッセンスはインターネットの歴史において,自由でひらかれたインターネットをささえてきた 「パソコン=純インターネット生態系」 から,インターネットをとじた世界に分割する 「デバイス=クラウド生態系」 への移行がすすんでいくというところにある. 著者はそれがさらに 「インタークラウド」 というつぎの時代につながっているということまで書いている.
しかし,このような論旨がストレートなかたちで展開されず,また,一般の読者には解説なしではわからないであろう概念がいろいろ登場してくるため,読むのはかならずしも容易でない. しかしそれらが,著者がさまざまな本を読んでかんがえてきたことの結晶であることはまちがいないだろう. 論旨の展開や用語にはいろいろ疑問もあるが,じっくり読めば,いろいろ得ることがあるだろう.
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マクロ的な分析に終始しており、やや教科書的な印象もあるが、さすが元情報分析官だけあり、ところどころ見どころのある分析がされている。
ただし、著者が提案している”インタークラウド”という概念にはあまりピンとこなかった。
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何が言いたいのかさっぱり分からなかった。
パソコンという何でもユーザーが自由に使用できる機器が中心のインターネットの時代から、kindleやiPad等の管理されるデバイスとネットワーク上のクラウドが中心のデバイス=クラウド生態系に移行しつつあるよ。そうなるとコンテンツの楽しみ方やインターネットと日常生活との関わり方がこれまでと変わってきますよ、的な話だとは思うのだが、正直論点が色々ありすぎるのと、(恐らく相当色々な本を読んだ上で得た知識を前提にはしょっている話が多く)個々の論のつながりに飛びが大きすぎるのとで、読んでも全く頭に話が残らなかった。
普通こういう系の本を読むと、良いにしろ悪いにしろアレコレ未来を想像することができるのだが、この本を読んでも別に何も未来に対する見通しが得られなかった。
出版界のことを語るか、デバイスのことを語るか、経済のことを語るか、インターネットのことを語るか、どれか1つに絞ってほしかった。全てが連動していることを理解させるの新書は短すぎる。
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さすが東大法学部を出た官僚ということあってその分析力とkindleなどの電子書籍のスキャン問題やDRM保護問題などを法律の観点から述べることができるのは素直にすごい。しかしkindleショックというタイトルの割にはkindleの話はほとんど出なかったしクラウドを説明するための基礎知識としてkindleが必要だったのかどうか疑問。前半と後半で大きく文調が違うのも気になった、前半はリラックス、後半は本気モードです。これからのインターネット・ITの進であろう未来が書き記されていて私もその考えに大きく共感した。少々難解ではあるけれど一読する価値はある
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情報の分析はさすがによくおこなわれていると感じたが、文体がやや回りくどい印象があり、読むのに少しばかりエネルギーを使う。また、メインタイトルがKindleショックなのだが、実際にKindleの話が展開されているのはそれほど多くなかった。むしろインターネットやクラウドの話題が多い。クラウドやデバイスの話は面白かったので、次回はインタークラウドに関する本を期待したい。
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「Kindleショック」のタイトルに惹かれて購入したが、内容的には現在のIT全般についての記述が中心。個人的にはKindleのことが知りたかった。
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遠回しな表現が多く、とかく分かりづらい。「デジタル二重革命」「デバイス=クラウド生態系」など、筆者が命名する言葉の定義も曖昧。理由を説明する際、「第一に……」と「第二に……」の間が離れすぎ(平気で10ページ近くまたぐ)。そのため、結局何の理由説明だったのか途中で忘れてしまう。
と、文章は正直うまくない。一文も長いし。これが官僚文章なのか?
が、本題とは挿話に含蓄があったのでこの評価。
・アマゾンは革新的に見えながらも、日本の出版システムに従属的なビジネスを展開。アマゾンのおかげで、長年成立しなかったロングテールが実現した部分もある。そのため、kindleについても日本の出版界は好意的。
・対照的なのが、書籍を勝手にテキストデータ化するグーグル。こちらは逆に、日本の出版界から警戒感を持たれつつある。
・ipodが成功したのは、iTunesのおかげ。利便性を与える一方で、データの流出を防ぐ構造を作り出した。アップルもまた、既存のレコード会社に配慮してビジネス展開をしている。
・クラウド化が進むことで、端末への負荷が減る。これがスペックを最小限に落としたネットブックの普及へとつながった。
・クラウド化の進展→見るだけ・やるだけのコンテンツから、体験・動きを伴ったコンテンツへ。位置情報がカギ。
・アマゾンの『1984』一斉消去問題。権限は誰にあるのか?
・著作権の他に、契約によるデフォルトルールを定めるべき(利用者にやや有利な条件で)。法による制限は、権利者からの申し立てがあった場合、過度に法を犯しうる可能性がある場合のみに限定。
例:iTunes Music Storeのコピー制限回数(5回)、ダビング10
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kindleの本というよりは、インターネットやコンテンツ産業についての本。幅広く取り扱われているので、全体的な知識を仕入れるのに良いかも。
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ユーザーに最も近く、従って最も興味を引くガジェット評論の本ではありません。個別のガジェットから一歩引いて抽象化した上でそれらが特定のサービスと結びついた「デバイス=クラウド生態系」に注目し、ネットは今後どうなっていくのか、どうあるべきかという壮大な問題について「コンテンツ」を切り口に考察しています。
ネットが今後どうあるべきか、という規範性の問題については例えば「コンテンツ産業は著作権(と対価獲得)重視」という一定のポジションに基づく考察/主張が当然で、その点で本書の論旨には概ね同意できます。一方でネットには利害が異なる多様な参加者が存在するので、本書の基本認識&概念を利用してそれぞれの立場を踏まえて新しいネット像をブラッシュアップできたらなお良いですね。
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タイトルは大きく「Kindleショック」と書いてあり、「インタークラウド時代の夜明け」というサブタイトルは、今気が付きました。
道理で。いや、あんまりキンドルそのものについて掘り下げてないし。最初の方に、書籍の流通、再販制の説明なんかから始まって、少しだけ。
他のデバイスやインターフェイスの今後などが延々書かれています。
ヒトコトで言って難しい。ボクも決してこの分野について詳しいとは言えないけど、いわゆる一般向けの本ではないような。
もう、文章が脳みその上をツルーっと滑っていく感じ。なんども読み返します。はい、すみません。私がアホなんですm(_ _)m
☆キーワード
フリーミアム=無料コンテンツを使うことで活性化できる収益機会
うん、憶えておこう。
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悪くないんだけど、なんかしっくりこない。電子書籍というものは言うまでもなく民がプレーヤーであり、更に言えば民のみがプレーヤーとなるものであり、国があれこれ言う筋合いのものではない。にも拘わらず、官僚が高みの見物よろしくあれこれ言っている点が一番の違和感の原因か。
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Kindleや出版業界に限らず、それ以降のWeb業界全般の動向について記した本。
現役の官僚だけあって、国家のインサイダーの視点も含まれており、歯切れが悪い個所もありながらも、さすがに説得力があった。
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タイトルの割にKindleの話が少ないのはともかく、やっぱり官僚の人が書くとどこかビジネスの匂いがしなくて、どろどろのビジネスの世界にいる人間からするとちょっと物足りないですね。今月は同様の本を複数読んだため、アプローチの違いはよくわかりましたが内容として持ち帰るものがあまり多くない、という印象です。