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いまの世の中で、正しく生きることを時代遅れ、または不器用と呼ぶのだとこの作品は言う。「人生さっさと降りちまった方が勝ち」だと姫子の父は言うが、その「勝ち」に、いったいどんな価値があるというのか。……すいませんダジャレでした。
終盤の阪本と犯人の激しい駆け引きの場面に、事実の羅列しか書けない下手な小説につけられるお世辞とは違うホンモノの「疾走感」「スピード感」「緊迫感」を感じた。(ここに詳しく感想を書きたいけど、ネタバレになるので伏せます)謎解きを楽しむミステリではなくて、人間の闇の部分を描くための枠組としてのミステリ。それでいて温かい作品。トリックに驚きたい人には向かないかもしれないが、ニセモノの「疾走感」を覚えてしまっている人に、是非読んでいただきたい作品。傑作。
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こういう風に10代前半の少年少女を描く作家さんがいることを全く知らなかった。衝撃だった。描かれている少年少女の造形を追うと、(確か)中世欧州では“子ども”は“幼児”ではなく“小さな大人”として扱われいた、ということを思い出す。弱いだけでなく、したたかさを持つ存在。
文章は柔らかにして明瞭。
強面の野崎さえ恋に落とす、姫子の気概が印象深い。
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後からボディブローのように効いてくる小説。
最高級洋菓子のような、新鮮な果物のような小説。
あまねく修羅場ってのは失恋に起因しているのかも知れない。
またそのうち読み返してみたい。
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あなたも私と同じことをして私のところまで堕ちてきてよ。
人が死ぬシーンよりもこの台詞に最も修羅場を感じた。
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2011-41 坂本君のもて話、下は中学生から上は60歳まで出てくる女性みんなにもてる。でもあまりキャラクターはよく分からない。登場人物全員なんか感情移入できるような人はいない。
とりあえずタイトルが抜群にカッコイイ。全然関係ないが映画「腑抜けども悲しみの愛を見せろ」と双璧をなす格好よさ。
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ミステリ通たちを驚喜させた傑作書下し長篇。探偵小説を超えた探偵小説。初恋の相手は殺人容疑者。死体の脇で発芽したアブラナ科の子葉は無実の鍵なのか。13歳の姫子は追う。絡むウネ子60歳。男は逃げる。恋は切ない。愛はもつれ残酷だ。
アーバン・リサーチ・シリーズ 2
ウネ子、病気は治ったのか?笑 1の続きだけど、変更か?
1よりは面白く読めたが、ラストは思った通りなのでちょっと残念。
不細工な元刑事の探偵野崎は、中々可愛らしいキャラだ。佐竹、野崎、この後のシリーズ登場に期待。
読み返しは、ないかもね。
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図書館で。少女と30代オジさんってこの人が書くと意外としっくりするのはなぜだろう。ハルピンカフェでもそうだったしな。
こういう女性にだらしないと言うか女性がだらしなくしているサカモトさんみたいな人居るよなあと思いながら読みました。一見優しいんですけど本質的には優しくない、と言う。正義感が強いようで実は自己満足でしかない。彼が全てをややこしくしている感があります。蕪の話は面白かったな。
個人的には野崎さんの方が好みです。そしてウネ子さんと言い、姫子ちゃんと言い、女性がカッコイイ。姫子ちゃんのアタックに野崎さんが屈する日はそう遠くないと思います。色々な意味でがんばれって感じです。
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この本は「おすすめ文庫王国」の「心を滑らかにしてくれる⑩冊」に挙がっていて、書いた人の偏愛振りに惹かれ、ほしい本のリストに入れていた。
漸くブックオフオンラインに出てきたので、そちらで購入。それにしてもチョー久し振りだな、打海文三。
元結婚詐欺師で60歳にして銀髪の探偵所相談員・ウネ子、それに振り回される元刑事で容姿がトラウマの探偵・野崎、登校拒否の中学2年生・姫子、確かにそれぞれに魅力的な人物造形ではある。
ただ、彼女らがそれぞれ阪本という男の行方を探すのだが、阪本がなんであんなにモテるのか分からなければ、警察や公安が彼を泳がしているのも腑に落ちず、お話は何となく上滑りな感じでちょっと残念。
(解説で『たとえ筋書きが陳腐であったとしても』と筆が滑って、慌てて言い訳してたけど、そうした文章を残すこと自体、話が陳腐だって言ってるのと一緒のような気も…)
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ずっと読みたいと思っていた著者の作品。何と言っても題名すごいよね。そしてもてもての男阪本といい、13歳の姫子といい、ウネ子、野崎、新田までも、他の本には出てこなかったような人物が描かれる。もっと読みたくなる小説だろう。