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1952年の大統領選でテレビコマーシャルが登場したのを契機に、アメリカの大統領選挙にいかにテレビメディアが影響してきたかを、ネガティブキャンペーンを切り口として解説している。
読み物としては非常に面白いが、政治過程論としては小ネタの域を出ないのかなぁという気もする。コミュニケーション論的には筆者の専門ということもあり秀逸。終章でインターネットをあまり肯定的には評価していないが、youtubeのような動画投稿サイトの出現や、オバマ陣営のネットを介した選挙資金集めを著者はどう評価しているのか知りたいところ。
大統領候補の選挙ブレーンがめちゃくちゃ頭いいということと、そんな彼らでも読み違いをすることがあるということ、そしてそういうブレーンを含めた選挙活動組織をまとめていくリーダーシップも要求されるということを再認識した。
大統領という「商品」を売り込む「選挙運動」という壮大なマーケティングの一端を垣間見れると思う。
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アメリカの大統領選のときは本当に凄いバトルが展開される。
それを初めて持ち込んだのがアイゼンハワーで、昇華したのがケネディ。
レーガンなんてテレビを扱い、大衆とコミュニケーションするのはプロだった。アメリカの大統領は、国家のよき父親であるべきだそうだ。
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[ 内容 ]
どこにでもいそうな凡人が、いかにして「世界一の権力者」に仕立て上げられるのか。
鍵を握るのは政策ではなく、選挙参謀の戦略である。
誹謗中傷、あら探し、映像トリック等何でもあり。
テレビ時代のアメリカ大統領選挙は、メディアを駆使した壮大な足の引っ張り合い、ネガティヴ・キャンペーンの歴史だった。
アイゼンハワー、ケネディからレーガン、ブッシュ・ジュニアまで、その情けなくも恐ろしい舞台裏とは。
[ 目次 ]
序章 いかにして凡人が「世界一の権力者」となるのか
第1章 凡庸なるブッシュの精密選挙マシーン
第2章 アイゼンハワーの新兵器
第3章 最初のテレビ大統領ケネディ
第4章 ジョンソンの最も汚い「ひなぎく」
第5章 負け犬ニクソンの大変身
第6章 カーター旋風の正体
第7章 バッシングを追い風にするレーガン
第8章 ピンポイント・ネガティヴのブッシュ
終章 テレビ選挙は変わるのか
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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04年刊だが、00年のブッシュVSゴアから始まっている。この頃はまだネット選挙はほとんど動いておらず、効果もないとしているが、08年オバマでは大きく変化した。
日本の大統領選報道は大体において薄っぺらで、しかもピントがずれているものが多い。マードック系メディアの報道がまともな報道であるかの判断も出来ないような連中がやっているのだ。その意味では4年ごとに米国内での報道の状況を紹介するような本が必要になると思う。
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鎌倉図書館で読む。著者は、「日本テレビとCIA 発掘された正力ファイル」等の著書で著名な早稲田大学の先生です。読みやすい新書です。アイゼンハワー対スチーブンスのテレビ戦略の相違が興味深かったです。
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かつてないほど家にいる時間が長い、テレワーク期間に入って、“死蔵”していた本を興味本位に読み漁っている。本書もその一冊だ。
2004年の発行で、少し古い本だが、政治と広告代理店の結びつきや、講演会からラジオ、テレビへと進んだ政治のメディア利用の変遷など、今読んでも一級品のメディア論として読める本だ。
アメリカがトランプ政権になって以降だろうか、データなど科学的な根拠より、感情や直感を基準に判断する「反知性主義」の議論が盛んになってきたが、本書を読めば、その起源はテレビにあったことがよく分かる。「大統領は『気さくなオヤジ』」という時代になったのが、その頃からなのだ。
“判官贔屓”は日本人の専売特許だと思っていたのだが、「議論で相手をやりこめると、やりこめたほうが視聴者の反感を買い、やりこめられたほうが同情を得ることになる」のは現代のアメリカも同じである。
発行時点までのメディア論としては、非常によくできた新書なのだが、惜しむらくは、16年後の現在、ウェブメディアの未来を予測できていないことだ。「一度に何千万人が視聴するテレビのような大きな反響や化学反応は起こりにくい」としていたが、そもそもテレビを一斉に視聴するような環境がなくなった。
そして、コロナ禍の下で起こったような、「ブックカバーチャレンジ」のような、知人から知人へと広がっていく、チェーンメール的な拡散手法が想定されていなかった(ただ、知人の広告代理店の社員によれば、「多くの人に認知を効率よく広げる」という意味では、今なおテレビというメディアは最もコスパの良い広告手段である)。
秀逸なメディア論と同時に、未来を予測という点で、反面教師ともなる一冊である。ぜひ読むべし。
講演会がメディア”だった”という記述があるが、今、先祖返りしている感じ。コロナ禍で、ウェブイベントになったりしているのが、今風だけど。