紙の本
どんなに瀬在丸紅子や林が嫌いでも、小鳥遊練無がいてくれるだけで楽しくなります。しかも、今回は色が沢山。とびっきり奇妙な謎が読者を迎えてくれます
2006/01/19 20:59
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
私が今も森博嗣の作品中、最も好きなVシリーズ第10弾です。といっても私は小鳥遊練無がお気に入りというだけで、特に紅子は大嫌いなんですが・・・
今回も話は、シリーズの特徴である保呂草潤平の語りで始まります。自分がコレクターであるということを静かな口調で説明するのですが、その優しい語り口は、決して明るいものではないのが不思議です。どこか、しっとりとして温もりもある。シャイなところもある、それが如何にも大人の保呂草らしいですね。
事件の現場に駆けつけた祖父江七夏は、そこに愛する林警部を見つけ、周辺を一緒に歩き始める。二人が見つけた地上のペンキ。そして七夏が後輩の立松が案内した駐車場には、ペンキで真っ赤に塗られ銃殺された死体がありました。
とにかく赤いのです、顔も髪も、服も靴も、さらには周囲の地面までも。もっと言えば、男の名前も赤井寛。
保呂草潤平の前に現れた田口美登里は、犯人が小説家の帆山美澪であると確信して、保呂草にその証拠を見つけることを依頼するのです。ところが、関係あるとされた小説家は、赤井のことを知らず、肝心の時間にアリバイがあると主張します。その帆山の書いた小説は「虹色の死」、毎週誰かがペンキを塗られて死んでいく小説でした。
相も変らぬ香具山紫子と小鳥遊練無の会話が、楽しいですね。大阪弁が、決して下品にならず、柔らかで温かいのです。そして広場でフリスビーで遊びに興じる紫子、練無、森川の前に現れた美少女。図書館に兄と来た彼女は、練無が男であることを見抜いて姿を消します。
本格推理小説ではあるのですが、なにか恋愛小説の様相を呈してきたところがいいですね。しかも、それが中心になると、いい加減な印象を与えることが多いのですが、この作品に関して言えば、絶妙なところで踏みとどまっています。これは、イアン・ランキンのリーバスものや、P・D・Jの新作などに似ています。
そういう部分が小説の足を引っ張らないのですから不思議です。唯一不快なところがあるとすれば、瀬在丸の七夏に対する乱暴な言葉遣いと、二人の女性の間で優柔不断な態度を取り続ける林と、先輩に馴れ馴れしい口を利く立松の存在でしょうか。あれ、唯一どころか三つもありました。
それでも練無の魅力全開の一冊、といえるでしょう。はやく戻っておいで、練無、それが私の今の気持ちです。
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Vシリーズ最終巻!全てがきれいに明らかにならないところが、深みがある。「四季 春」とつながりました。もっとこのメンバーでの話を読みたい!
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Vシリーズ最終刊。S&Mとか四季シリーズに続くキャラが出てきます。VシリーズからS&Mシリーズまでは空白期間がえらく長いので短編とかでほしいところ。タイトルの理由を考え始めるといくらでも時間がたってしまう。
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Vシリーズ完結編。
赤井さんが赤に塗装された死体として発見され、そして次は緑、黒、白…
死人に塗装することの異常さが人目を惹くけれど、そんな奇抜さだけがこの本の面白さじゃない。
何故人を殺すのか?
ー道徳もルールも社会通念も秩序も関係なく、殺したいと思ったから実行した。
一般の感覚からは理解できないような動機。けれど、とても真理に近い気がする。
自分で作ったものを自分で壊したいという衝動は、多くの人が持っている感情なんじゃないかな?
そして、物語の完結編。
出会いがあれば別れがあるんだと、何度も何度も聞いてきた台詞が思い浮かぶ。
ーそして幕開け。
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Vシリーズ第10弾にして最終巻(一応は)。事件は面白いのだけど、犯人は判りやすい。これまでで一番意外性はなかった<最後の場面もね>。要は、主要キャラクタがそれぞれどうなるかだけど、・・・・・・(^^; 次作を読ませるための作品という感じは大きい。
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『Vシリーズ』第10弾。『Vシリーズ』のラストです。ミステリィとしての物語は単純なのですが、エピローグ直前の保呂草と紅子の会話が秀逸です。筆者は読者の心情操作が巧い作家だと実感します。『Vシリーズ』はこれで終わりですが、「真賀田四季」にまつわる話はまだ続きます。尚、この作品では筆者が1つ嘘をついてます。
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犯人は解りやすかったけど、トリックがなぁ。久し振りすぎてその可能性の検討を抜かしてた。畜生。ってか、Vシリーズを読み終わるとS&Mシリーズを再読したくなるという森トラップが炸裂。マジDSMだったんですかっ!?【古060429購入/060703読了】
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Vシリーズ最終作〜文句なしに面白かった。ただ、「殺人に動機は必要ない」という作者の主張が強すぎたかなというところ。整合性保ってるだけが人間じゃないというのはわかるけど、あんまり主張されすぎると醒めてくる。
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シリーズ最終巻。終わってしまうのが寂しかったり嬉しかったりでやっぱり寂しい最終巻。でも先が気になる 四季を読みたい。
シリーズ通して、ミステリィ要素よりも人間関係が気になって気になって、という感じで、やっぱり「赤緑黒白」も事件より人間関係とか保呂草さんとか立松とかれんちゃんしこさん紅子さんに祖父江さん、林警部にへっくんに、と言っていたらキリが無いキャラクターを追って追って、といった感じでした。
祖父江さんと立松の関係がなんだかすごく好きで、れんちゃんとしこさんの関係が凄く好きで、祖父江さんとれんちゃんのー なんて言っていたらキリが無いのですがー、本当に。
いいシリーズです。
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作中に存在するミステリ小説に類似した事件が起こる、Vシリーズ最終巻。
個人的には、謎解きよりも作品間の細かなリンク探しの方が面白かった(笑)。
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久しぶりすぎて、誰だっけこの人みたいなキャラばっかり・・・
四季女史の当時の年齢がわかる。ということはS&Mシリーズのあの人って実はVシリーズのこの人なんじゃないの?
まあ、トリックとか動機がない動機とか、もー、全然面白く無いけど・・・
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Vシリーズ最終巻でありながら、何か始まりそうな予感の一冊。次の作品を読みたくなる。
そういう所、本当に上手いと思う。
このシリーズの面白いところは、分かってみると結構単純なトリック。
そして、その理由も物凄く単純で純粋な欲求に因るところが大きくて…
「なぜ人を殺してはいけないのか」
それに尽きる感じがしてしまう。
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Vシリーズ10。シリーズとしては最終作。このシリーズは、保呂草がVに捧げる物語だったな、と。そして、語り手が退場して終わるわけだ。物語は四季シリーズに続く。
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Vシリーズ最終巻。他のシリーズへとつながる複線がたっぷりで、かなり楽しめました。テーマとしては第1巻に通ずるものがありましたね。
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シリーズ最終巻なのに一番最初に読んでしまいました。でも、面白かったです。人を殺す動機って説明がつくものじゃないという考えが作品世界の中に何度も出てきたのが印象的でした。謎が謎を呼んで続きが気になって一気に読んでしまいました。