紙の本
景勝と兼続
2020/05/15 05:33
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
謙信の後を継ぐ者がいかに天下人と対峙してきたか。その姿勢を克明に描く。藤沢文学の妙味も味わえる逸品だ。
投稿元:
レビューを見る
下巻は石田三成との『蜜謀』が描かれる。書き方が歴史好きから見ると甘すぎると思うが、同作者の『市塵』を見るとこの作者が歴史認識が甘いようには思えず、そもそも政治や歴史的なことよりも兼続という人物が書きたかったのではないかと思う。実際、とても知的で魅力的的な人物に仕上がっている。しかし、作者が山形県出身であることが関係ないとは言えないだろう。
投稿元:
レビューを見る
戦国武将の中で、先生に『書いて欲しいな』と思うのが兼続だったけどね…。でも余情はやはり期待通り。兼続を描く作品の中でも秀逸といえるでしょう。
投稿元:
レビューを見る
後味の良さと読みやすさはさすが。
印象的だったのは「義はついに、不義に勝てぬか。」という文章。
どうあがいても世の流れには勝てない無念さ。
直江と石田の『密謀』を、じっくりと読んでみたかった。
投稿元:
レビューを見る
密謀とは地味な題と思ったけど、三成と挙兵のタイミングを合わせたあたりを指すんでしょうね。
他の点でも虚々実々のせめぎ合いが続く戦国時代ですが。
信長秀吉よりも家康との戦いがクライマックス。
関ヶ原の決着で終わります。
脇筋で、越後の隠れ里の草(忍び)達と、流れてきた孤児の兄妹の話が。妹はお船が手元で育て、兄・静四郎を兼続が兵法者に預け、彼らが暗躍するという話になっています。
彼らの恋愛があるけど、兼続本人は落ち着いたもの。
とはいえ野心もないではなかったのに、景勝が望まなかったため、ここまでとなるんですね。
この作者の、原作ドラマや映画は何度も見ているけど、考えてみたら本読んでなかったかも…
納得がいく…切ない終わりでした。
投稿元:
レビューを見る
しかしですね……
読んでみて思ったけれど、
『時代物』は受け入れやすいけど、
『歴史物』は微妙……
「○○年に×××が起きた」など、
叙事的記述がわりとつらつら
並んでいる感じです。
歴史上の実際の人物・出来事と並行して、
本作では忍の話も描かれてます。
そっちはとっつきやすいけれど、
感情描写が結構いい加減な気がしました。。。
投稿元:
レビューを見る
この本に出会っていなければ、直江山城守兼続公へ崇敬を捧げる今の自分は無い。
あの戦国時代に、こんな武将もいたのかと、目の覚めるも想いだった。それから多くの直江公について書かれた書籍を読んだが、史実にとどまらず、情緒も兼ね備えた小説としてこれを超えるものは無いと思っている。
これが2009年の大河ドラマの原作だったら、どんなにかすばらしいものになっていたろう、と残念に思わずにはおれない。
投稿元:
レビューを見る
関が原に何故上杉家は参戦しなかったの謎が明かされます。
脇筋の話もきれいにまとまっていて大変読みやすく、読後感も良かったです。
投稿元:
レビューを見る
天下を統一し一時代を築いた秀吉は、まだ幼い跡継ぎ秀頼の行く末に心を残しつつ、ついに死去した。次なる天下人の座を狙い、策謀を開始した徳川家康、それに抗いつつも孤立の相を深める石田三成。家康に反感を覚える上杉主従は、所領会津に立て籠もり、襲来する家康を待ち受けた。しかし家康は、その間隙を突いて挙兵した大阪方と戦うべく、兵を返す。好機到来! にもかかわらず、天下分け目の関ヶ原に向かう家康を、なぜ上杉は追撃しなかったのか。著者が抱いた最大の謎に迫る。
投稿元:
レビューを見る
「直江兼続とは、何者なのか?」と興味を持ち、そして楽しみにしていた大河ドラマ「天地人」の薄っぺらさに呆れ、代わりに読んだのが本書。さすが藤沢周平、こちらを大河ドラマの原作にすればよかったのに、と思わされます。戦国武将の天下取りに向けた権謀術数渦巻く攻防だけでなく、草のものたちの人間関係を織り交ぜ、史実を超えた小説になっています。
ただ、関ヶ原で西軍につきながら、「謙信公以来の上杉の家」を守るためとはいえ、戦後あっさりと家康に屈服してしまうというのは、感情移入し難いところがあります。「上杉の義」とは、何なのだ、といいたくなってしまいます。もっとも、その苦渋の決断をせざるを得なかったところが本書のいいたいところなのかもしれませんが。。。
投稿元:
レビューを見る
登場人物が個性的で面白かった。
の。
だけど。
三成スキーとしては読むのがとても辛かった…。
後半というか、三成蟄居以降はオチがわかっているだけに、読み進めるのが辛くて辛くて…。
(いやまぁ、三成関係作品すべてに言えることだとは思うのだけども。)
三成が「額が広い」「政治バカ」「爽やかに笑う」と書かれていたのが印象的だった。(酷い感想。)
投稿元:
レビューを見る
藤沢周平の戦国小説。主人公は、上杉家の家老直江兼続。1600年、上杉討伐に来た徳川家康は、石田三成の挙兵を聞き、西に引き返すが、その折り、家康を追うべきかどうかで、上杉景勝と直江兼続主従の意見が食い違うシーンがすごくいい。無論、他にも楽しめる箇所は、多々あるので、上杉ファンはご一読あれ。
投稿元:
レビューを見る
家康が攻めてくることが確実となった時、上杉の将士を前にして普段寡黙な景勝が奮った演説に鳥肌が立つ思いだった。特に最後の
「景勝、かつて合戦数十度におよぶといえども、いまだ敵に敗をとった事はない。諸子、われを援けよ」
はかっこよすぎだろう。
それにしても、関ヶ原、上杉に関係する本を読むとどうしても、上杉と豊臣諸侯を率いた家康が一戦していればどうなったかと思わずには言われない。
投稿元:
レビューを見る
状況説明が多くて、あまり、のめり込めなかった上巻でしたが、
下巻は物語が進み、わりと面白く読めました。
投稿元:
レビューを見る
久しぶりの戦国時代物。しかも越後の名将直江兼続が主人公。時代小説の雄である筆者が渾身を込めた歴史小説だけあって読み応え充分。テーマは関ヶ原に上杉が参戦しなかった謎解き。語り尽くされた感のある本テーマを筆者独特の登場人物の心の微妙なゆらぎから謎を絵解きしていく。歴史好きには少しもの足らないかも知れないが醍醐味は手に汗にぎる静かなる政治の戦いかな。