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やりすぎだと思いました。
2007/01/31 16:44
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hamushi - この投稿者のレビュー一覧を見る
肉親の全てを奪い去る、凄惨極まりない殺人事件。それを目撃し、心を破壊されながらもただ一人生き延びた子供に、運命の必然によってさらなる猟奇事件が襲いかかり、生きたまま身を裂くような痛みを与える……。
ふゆの仁子氏の作品には、ごくたまにではあるようですが、このような厳しいシチュエーションが現れて、無防備に読み始めた読者を震撼させます。もともとホラーやスプラッタが好みであれば、定番の状況として受け流すこともできるのでしょうが、その方面への耐性のないものにとっては、かなり神経を直撃するお話であります。
このお話を語る上で、親を目前で惨殺されるだけにとどまらず(それだって十分怖いですが)、その生肉を解体して生き残った子供に無理矢理食べさせる犯罪者を創造する必然性があったのかどうか…。
これと似たようなエピソードは、「今昔物語集」の天竺・震旦部にあったと記憶しています。狂った男によって、自分の産んだ子供を無理矢理食べさせられるという、これもまた凄惨な話でしたが、その場合は、嫉妬にかられて元の夫の愛人の子供を殺害した罪を抱えて生きる女の業、あるいは因果応報の理屈を描くためという、ある種の必然性が感じられたので、まだ納得感がありました。「天国の階段」の登場人物たちは、グロテスクな心の傷を持ったもの同士の恋愛を描くという目的のために、超越的な存在(作者)によって、作為的、あるいは実験的に極限状態に陥れられたような不自然さを感じてしまい、架空の人物たちではありますが、ただの小説のためにこんな目にあわされなくてもいいのにと、なんだか気の毒でなりませんでした。
それでもついつい、物語の牽引力に飲まれるようにして、読了してしまうのですが…。
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