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食産業をとりまく言葉に、Food Safety,Food Defense, Food Securityとあるが、前者2つは意図とされないあるいは意図とした危害から食品を守ることを指し、どちらかというとミクロな視点での話であるが、後者のFood Securityは食糧安全保障という食全体を俯瞰した用語である。そしてこの本はこの食糧安全保障についてどうあるべきかを述べている。
現在我々は基本的に日々の食事に困ることはなく、お金さえあれば容易に手に入れることができる。その反面、数値の是非はともかく、食料の多くを輸入に頼っていることは間違いない。しかし、これは輸出する国があるから輸入できるのであり、これが今まで問題なく輸入できたからといって、今後も輸入できるという保障はない。人口問題、食の多様化、エネルギー問題に加え国家戦略のコマとして食糧は利用される。これらも問題も踏まえて今後日本は食糧安全保障についてどうあるべきか。仮に国内で充足たる生産ができたとしても、物流を含むサプライチェーンが寸断されてしまうと必要なところに必要なものが届かなくなる。このような事柄も含めて、日本という国が食糧をどのような戦略に導いていくのか、目を離さず見続けている必要がある。