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解説を読んではっとした。そうか、重松清とトーンが似てるのか。
でも、重松清のそれが、少しだけ硬質で冷たい石であるならば、
朱川氏のそれは、丸くてほわほわの、手あかのついたぬいぐるみの柔らかさだ。
ひなたの香りがする。
少しほこりっぽい感じもする。
ちょっと色あせたような、でもたまらなく懐かしい、優しいほっこり感。
読み終わったあとに、顔がにっこりして、
いいため息をつける本。
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ちょっと不思議な話が6話入っています。どれも少し不思議だったり怖かったりですが、哀しさや可笑しさがいい塩梅で、切なくも心温かくなるお話が多いです。
「妖精生物」はちょっとゾッとします。「摩訶不思議」はプププと笑えます。「トカビの夜」「花まんま」「凍蝶」はこどもが主人公で、切ないんだけどあったかいとってもいいお話です。「送りん婆」は好きなカンジです。
初めて読んだ作家さんですが、ほかの本も読んでみたいです。これは確か直木賞受賞作。
文庫本の解説は、重松清。ああなるほど、なんとなく共通する空気があるなぁと思います。
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一応、ホラーっていうジャンル分けをされてたけど、恐いという話ではなくて、昭和の雰囲気+ファンタジーのなんかいい話。
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短編6作。
「このへんがシクシクするような気がするんや」
著者より下の世代ながら昭和生まれの大阪育ちの私には、「トカビの夜」は懐かしさで胸が一杯になる作品だ。
全編、子供時代の夕方を思い出す、儚くも切ない気持ち。
胸が詰まり涙がこぼれた。
読んでよかった。
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琴線に触れる...というのはこういうことをいうのか、というくらい心の奥深くにしみ込んでくる。
現実的にはありえない話が、朱川さんの作品を読むと「ありえるかも」「あってもいいかも」「あってほしい」に変わっていく。人の生と死をいろいろな角度から、美しく、時には哀しく描き、いやはやホント読後の余韻がまたたまらない。
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ホラーと言うよりは懐かしい感じのする不思議な話。
恒川光太郎と似た綺麗なノスタルジックさを感じるが此方はふんわりと暖かさがある。恒川光太郎が季節の匂いを運んで嗅覚を感じさせるならば、此方は思い出を通して感触を感じさせるような。
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ちょっと不思議な話たち。
全体を通して郷愁を誘う優しさと哀しさに満ちている。
ほろ苦いけど、沁みる。
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後味の良くない話が多い。
とはいえ、あぁと思えるようないい話も入っている。
特に目新しい設定の話ではないが、この人が書くとただ怖いだけでなくしんみりとした切なさが溢れてて、とても良い。
タイトルになっている花まんまと最後の凍蝶が良いと思う。
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ちょっとノスタルジー
ちょっと不思議
ちょっとほんわか
ちょっと泣ける
ちょっと怖い
いっぱい大阪弁
そんな話の短編集です。
すっごい読みやすいのだけど、気持ちが上滑りしない文章でとっても面白く読めました。
「作り話だろー」って感じの怪談のような話なんだけど、全体のほんわかムードのせいか嘘くさくなかったです。
怪談、と書いたけど怖い話がムリな人でも大丈夫だと思う。
読了後はほんわかです。
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香港出張のお供1。素晴らしい短編集。直木賞も納得。戦後〜昭和大阪下町のリアル(ほんとに出身なんだろうね)な情景、人間模様、ぞっとしたりほっこりしたり、秀作ぞろい。
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昭和の時代を、昔を描いているのに、
全然古臭く感じない。
行ったこともない大阪の地が舞台であるのに、
不思議と懐かしく感じる。
なぜだろうか、朱川湊人の作品は、
知らない風景を見ていても、不思議と心をきゅっと締め付けられる。
あたたかく、優しい物語。
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まだ小さな妹には、不思議な記憶があった。
…という表題作を含む昭和30年代の大阪を舞台にした短編集。
母がちょうど同世代であり、話を聞くと当時の風景の描写が丁寧で秀逸。
あの時代には、まだ差別偏見が色濃く残っていて、でも人の温かさとか、人情とかいうのが活き活きとしていたんだなぁということが伝わってきた。
「パルナス」と聞いて懐かしさを感じる関西人は多いが、あのマイナーコードのCMソングに感じる、郷愁を感じる本でした。
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レトロホラー。短編集なので、マジ怖いのからほのぼのなやつまで。関西の話ばかりなんで、関西出身としてはディテールの作り込みにはっとしたりします。パルナスCM曲の物悲しさ、とか、そこからホラーに繋げて行く手法とか。
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そんな馬鹿なことがあるものか。科学的な根拠の無いものは信じない我ながら、闇に漠然とした懼れを感じるのはなぜか。それに似た気持ちが読後湧いてくる。そしてすべてが悲しく切ない。凍蝶(リュウキュウアサギマダラ)を沖縄に住みながら知らなかった。パソコンに向かった。いい作品だ。
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浦野所有
→10/04/24 鈴木(陽)さんレンタル
→11/08/21 返却
→11/11/19 佐藤(直)さんレンタル
浦野レビュー - - - - - - - - - - - - - - -
大分類では「ミステリー」になるらしいですが、ホラーですね。で、ネットで調べたら「ノスタルジックホラー」というらしいです。一人で夜読むのはあまりオススメできないかも。とにかく文章がうまくて、ゾクゾクさせるような展開で、思わずひき寄せられます。読み終えてしまえば心地よい読後感に満たされるので(一部例外はありますが)、やっぱりふつうのホラーとは違います。これがノスタルジックホラーの、朱川湊人の魔力なんでしょうか。
全6話。いまや中年から老年期を迎えつつある人たちが、昭和30~40年代の子ども時代を振り返るというスタイルで書かれています。お気に入りは「凍蝶(いてちょう)」。友だちのいない小学2年生のミチオと、ワケありな18歳のミワさんとの、はかない交流を描いています。
いや、それにしてもうますぎますって、朱川湊人。
だって、「蝶の姿が空中でふっと消えてしまったのである。私たちの目の前で、まるで冬の弱い光に混ざり込んでしまったように」
なんて、ふつう書かないですよ! 久しぶりにいい作家さんを見つけました。