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紙の本
危く溺れる 切れないナイフたち
2010/02/10 14:14
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:空蝉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
私が中学~高校生の頃ってこんな激しかったか?夏芽たちほどではないがそれなりの田舎で、普通に女同士の色々があって、男友達や好きな子の恋話があって、ちょっとした事件や時にはショッキングなこともあって・・・
それでもたいてい、時間が解決してくれた。
とくに小学生から中学生、中学生から高校生へという節目で「デビュー」という名の脱皮を繰り返し、過去を振り切ってコドモは成長する。
本書に登場する幾人かもそうした「脱皮」で様変わりしている。表面上は。
古来日本では「7つまでは神童」というらしい。
噂と狭義心に囲まれた田舎町で一人、ひたすら目立つ存在、キラキラとまぶしいくらいに輝いていた 孤高の男子コウちゃん。
神がかり的な噂の立つコウだったが東京という「異界」から転向してきたモデル少女・夏芽は次第に惹かれあい完全無敵の二人、のはずだった。
夏芽をコウが助けられなかった ある事件が起こったその夏祭の夜までは。
進学して完全にバラバラとなってしまった夏芽とコウ。輝きを失った二人、暴力的になっていくコウ。
まさにボコボコと溺れていく夏芽にようやく明るい陽が差してきた。
コウの親友・大友の天然で純粋な想いが夏芽をどう包んでいくのか?
大友の気持ちに応えながらもまだ溺れ続ける夏芽のその後はどうなるのか?
相変わらず目の離せない状態が続いている。
正直こんなショッキングな展開は普通の子供時代にはありえない。
それでも彼らを見ていると、どこかで共感している。
圧倒的な輝きの存在、それに妬みつつも憧れる者、追う者、追われる者、近づく者、離れる者、そして輝きを失う者、その輝きにすがってしまうもの・・・。
夏芽の不安定な情緒はあまりに危なっかしくにゾクゾクと、ドキドキとする。圧倒的な輝きを取り戻して欲しいと願った自分を改め救いの手を差し伸べる夏芽、それを拒否するコウ。
人は輝きを求められるのと、そんなもの無くてもよいと妥協されるのと、どちらがマシなのだろうか?
溺れたナイフはさびているのかいないのか?
そろそろクライマックスであろうだけにやはり見逃せない。
紙の本
ざわつく。
2010/01/16 17:24
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:真愛 - この投稿者のレビュー一覧を見る
待望の9巻発売。
微妙なバランスのまま進む十代の感情は読んでいて癖になる。そんな心情をこんなにも劇的に表現出来る絵力に毎回驚かされます。きらめく世界、深い闇の中。。まるで自分が投げ込まれた様に時にすぐ側で傍観している錯覚に捕われる。
今回は夏芽のジレンマが今まで以上に激しく届く。なんて不器用なんだ、と思うがそれに抗えないのも従えないのもどうしていいのかわからないのが十代なのだ、そう思い起こさせる。その気持ちは本心か、それとも流されたのか。。しかし捨てきれない想いも抱えてしまう、欲張りな程厄介。だけどどこかそんなに誰かを本気で想えるのが羨ましくも思う。
大友への夏芽の変化が目覚ましい巻です。その反面コウへの想いがより表面化されて見えてきます。そしてコウの本心も徐々に垣間見えてくる。。。
今後の夏芽、コウ、大友の関係、不安定な想いは見逃せません。
紙の本
感想
2015/08/25 20:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かいちょー - この投稿者のレビュー一覧を見る
キラキラしてます。キラキラすることを、だめなことのように思っていた夏芽が大友に救われるシーンの描写はまるで映画のようです。美しくて涙が出ます。