新鉄拳チンミ（20） みんなのレビュー

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投稿者：カルバドス　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

　実在の技とフィクションが入り交じったカンフーアクションが炸裂し、一瞬たりとも目を離せない展開が続く。機転を利かせた技の数々でピンチを脱し、一発大逆転で勝利を収める。これが、前作『鉄拳チンミ』から続くシリーズの魅力だ。本書は、水軍クーデター編の完結巻。ページをめくった最初から最後まで、ノンストップで駆け抜ける。
　この水軍クーデター編では、主人公チンミに加えタンタンとシーファンという心強い仲間が参戦しているため、アクションの幅が広がっている。バランス型のチンミは伝統的な突きや蹴りで対応し、足技のタンタンは脚力を活かした奇襲戦法で闘い、棒を得意とするシーファンが豪快に振り回す。連係プレーで敵を倒す場面では、一切のストレスを忘れるほどの爽快感が味わえる。ブルース・リーやジャッキー・チェン、リー・リンチェイ（ジェット・リー）らのカンフーアクションに夢中になったことがあるなら、マンガならではのダイナミックなシーン構成と相まったアクションの数々に、きっと満足するに違いない。
　長期シリーズの単行本を読む時にありがちな「最初の頃の内容の忘れやすさ」も、本作品に限ってはほとんど無い。主人公達の行動理由が分かりやすく、また、勧善懲悪というスタイルを貫いているためだろう。月刊誌に連載しているので一冊の単行本にまとまるまでに時間がかかるのだが、単行本だけを買っている人にとって前巻を読み返すことなくページをめくれるのは嬉しいことだと思う。
　この『新鉄拳チンミ』だけを読むのもいいが、前作『鉄拳チンミ』を読むことで物語の背景（土地や時代、人間関係など）が分かりやすくなり、より感情移入しやすくなるはず。手に汗握って見たカンフー映画の興奮を、本作品でもう一度味わって欲しい。