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面白くは無いよ。
ひとつの、永遠平和を目標に据えた際のなすべき事の、
極めて一般的な一つの考え方として。
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へーゲルやエンゲルスが、カントを否定していましたが、そこまでひどい内容だとは思いませんでした。
むしろヘーゲルとカントは補完関係にあるような気もしました。
「具体的な示唆」を与えたのがカントで、「抽象的な理論」を与えたのがヘーゲルと云った感じでしょうか。
カントは政府が存在することで、人間の利己的な心に均衡をもたらす。のようなことを云ってました。これは理解ができます。
ただ、国際政治の場では、その国家の代表になる人物は、利己的な心を持ち合わせているのでしょうから、「国際政治の場では、道徳的な心を持たねばならない」とするカントの言い方は、少し無理があると思いました。
また「人間の理性にそぐう体制は共和制。なぜならば、国民の理性の意志を代表する国家であれば、戦争の負担をする直接背負う国民は、そのような大博打にはでない。」とするカントですが、ワイマール共和制からナチズムへ転化した事実を、どう説明するのでしょうか。国民は容易にイデオロギーに感化されてしまう存在なのかもしれません。
ただ逆に言えばカントは、「国民は馬鹿じゃダメだ。(理性を獲得するために)学べ。」と示唆しているのかもしれません。
民主主義ですからね。
またカントは、商業を奨励しました。「平和でなければ商売はできない。」というのがカントの言い分でしたが、彼は「死の商人」や「帝国主義段階」を予見できなかったのでしょうか。そこも理性があれば克服できると考えていたのでしょうか。
一見当たっているように見えて、よく考えると「?」と思えるところが少なくありませんでした。
但し、「政治的な道徳家」は存在しない、や、「哲学者に耳をかたむけるべきだ。しかし哲学者が王になってはならない。」といっているところは、言い得て妙であると感じました。
「自然が人間を平和に仕向ける」というのは、どうなんだろうとも・・・。
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世界平和の実現は可能なのか。可能ならばそれはどのように達成されるのか。この問いに哲学者カントが出した一つの答えが本書です。カントの哲学は難しいという思いがあって、私も手をつけてはいなかったので、本書は私にとっては初めて読むカントの著作でしたが、意外と分かりやすい論理構成だったように思いました。
「永遠平和」実現のためにカントが設定したのは予備条項4項目と確定条項3項目の計7項目。とくに有名なのは予備条項第3の「常備軍の段階的廃止」と確定条項第1の「あらゆる国家において共和的体制を担保すること」でしょうか。しかし、なかには予備条項第4のような面白い条件も付与されています。これには「戦争に関わる国債発行の禁止」が記されていて、殲滅戦を回避するための現実的な方途として今でも通用しそうな気がします。そして確定条項第2の「国際的な連合体制の樹立」にいたっては、カントは実は予言者だったのではないかという邪推までしたくなるほどの説得性を持っているようです。
これらの条項を考えたカントの中にあったのは、「自然状態」にある人間はそのまま放っておくと殲滅戦に突入してしまうという人間観だったようです。本書を読んで私は、こうしたカントの思想にホッブズの社会契約論ととても近いものを感じました。永遠平和の実現のためには、人間とその属する国家すべてが「法的状態」とならなければならないというカントの主張は、まさに「リヴァイアサン」の目的そのもののように思えます。さらにカントは、倫理学から導き出したこのような工程表が政治家に受け入れられる可能性についても論じています。実際に、本書をヨーロッパの歴代政治家が真剣に読んでいれば、20世紀の世界大戦も回避できたのでは、と思うと、人間にとって「戦わない」ことがいかに難しいことであるかと痛感されられるようです。
驚かされるのは、本書の書かれたのが18世紀末であるということでしょうか。まさか、フランス革命の渦中にあったヨーロッパでこのような先見的な主張がなされていたとは。それどころか、本書の掲げる7つの条項は、そのまま現在にも適用できるような気がしてきます。将来、この世界に永遠平和の訪れる姿が、鬼籍に入って時間という束縛から解かれたカントに見えていることを、願うばかりです。宇都宮芳明訳。
(2009年3月入手・11月読了)
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【内容】
世界の恒久的平和はいかにしてもたらされるべきか。
カント(1724‐1804)は、常備軍の全廃、諸国家の民主化、国際連合の創設などの具体的提起を行ない、さらに人類の最高善=永遠平和の実現が決して空論にとどまらぬ根拠を明らかにして、人間ひとりひとりに平和への努力を厳粛に義務づける。
(以上、アマゾンより引用)
【感想】
ヘーゲルやエンゲルスが、カントを否定していましたが、そこまでひどい内容だとは思いませんでした。
むしろヘーゲルとカントは補完関係にあるような気もしました。
「具体的な示唆」を与えたのがカントで、「抽象的な理論」を与えたのがヘーゲルと云った感じでしょうか。
カントは政府が存在することで、人間の利己的な心に均衡をもたらす。のようなことを云ってました。これは理解ができます。
ただ、国際政治の場では、その国家の代表になる人物は、利己的な心を持ち合わせているのでしょうから、「国際政治の場では、道徳的な心を持たねばならない」とするカントの言い方は、少し無理があると思いました。
また「人間の理性にそぐう体制は共和制。なぜならば、国民の理性の意志を代表する国家であれば、戦争の負担をする直接背負う国民は、そのような大博打にはでない。」とするカントですが、ワイマール共和制からナチズムへ転化した事実を、どう説明するのでしょうか。
国民は容易にイデオロギーに感化されてしまう存在なのかもしれません。
ただ逆に言えばカントは、「国民は馬鹿じゃダメだ。(理性を獲得するために)学べ。」と示唆しているのかもしれません。民主主義ですからね。またカントは、商業を奨励しました。「平和でなければ商売はできない。」というのがカントの言い分でしたが、彼は「死の商人」や「帝国主義段階」を予見できなかったのでしょうか。
そこも理性があれば克服できると考えていたのでしょうか。
一見当たっているように見えて、よく考えると「?」と思えるところが少なくありませんでした。
但し、「政治的な道徳家」は存在しない、や、「哲学者に耳をかたむけるべきだ。しかし哲学者が王になってはならない。」といっているところは、言い得て妙であると感じました。
「自然が人間を平和に仕向ける」というのは、どうなんだろうとも・・・。
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○6つの条項
1.将来の戦争の種をひそかに保留して締結された平和条項は、決して平和条約とみなされてはならない。
2.独立しているいかなる国家(小国であろうと、大国であろうと、この場合問題ではない)も、継承、交換、買収、または贈与によって、ほかの国家がこれを取得できるということがあってはならない。
3.常備軍は、時とともに全廃されなければならない。
4.国家の対外紛争に関しては、いかなる国債も発行されてはならない。
5.いかなる国家も、他の国家の体制や統治に、暴力をもって干渉してはならない。
6.いかなる国家も、他国との戦争において、将来の平和時における相互間の信頼を不可能にしてしまうような行為をしてはならない。たとえば、暗殺者や毒殺者を雇ったり、降伏条約を破ったり、敵国内での裏切りをそそのかしたりすることが、これに当たる。
○第1補説
・理想的な存在者は、全体としては自分たちを維持するために普遍的な法則を求めているが、しかしひとりびとりはひそかにそれから逃れようとする傾向がある。問題は、そうした理性的な存在者の集まりに秩序を与え、体制を組織することであるが、その秩序とは、たとえ彼らが個人的な心情においては互いに対抗しあっているにしても、そうした心情を互いに抑制し、公の行動の場では、そうした悪い真情をもたなかったのと同じ様な結果を生ずる、といった秩序である。
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僕がこの本について何かをここで記すよりも、訳者による少しばかりの「解説」を読んだ方が解りが良いと思うので、ここにはただ、もしかしたら貴方が少しばかりのカントに関して誤解をしているかもしれないので、これを読むことは決して損にはならないだろうということを書くに留めておきましょう。
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カント本人が評している通り、哲学者の与太話なんだからいいだろ!的なスタンスで書かれたものではあるが、その内容が現代の国際法の根源をなす考えに与えている影響は大きい。
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18世紀末、フランス革命を経た国際社会を背景に、「永遠平和の実現」についてのイマヌエル・カントが真面目に考察した国際平和理論と実践方法。以下、概略。
【予備条項】
1、将来の戦争の種がひそむ平和条約は単なる休戦
2、独立している国家は互いに侵すことはできない
3、常備軍は廃止。但し、防衛手段としてはOK
4、戦争遂行を気安くさせるので戦争国債は禁止
5、他国への不干渉
6、戦争時の卑劣な戦略は和平時の信頼性を損なわせる
【確定条項】
1、各国の政治体制は共和制がベスト
2、統一世界国家より諸国家の連合スタイルにすべき
3、世界市民法は各国市民が友好である権利を保障
【第1補説】
自然の摂理によって人間社会は次第に成熟すると、結局、利己的人間を抑制するとともに商業を発達させようとするので平和が望ましくなる。人間は永遠平和を道徳的義務とするはず。
【第2補説】
国家は哲学者のこうした意見を妨げてはならない。
【付録】
政治家はこうした道徳を手段に使うべきでなく、道徳の実現を目指すべき。政治は自ら取り決めた原則は、民衆に担保するため公表しなければならない。
21世紀初頭、2度の世界大戦、冷戦を経て、ここに書かれていることはシンプルな内容だけに不完全ながらも実現されているもの(国)も多い。そして、テロの時代。カントがある意味想定し、また想定を超えた国際社会と状況になっているが、当時も今も空想理論として斥けるのは容易いけれど、カントが実践論として真面目に考えた内容は時代を超えて不断な再構築の努力を惜しむべきではないだろう。
ちなみに、とある旅館の看板に付いていたという本書名はカントがやはりお茶目に名付けたのでしょうか、それとも真面目な義憤なんでしょうかねぇ?あれれ?っていう観点があるのは仕方がない。(笑)
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この人が禁止していることがあらかた二度の大戦でやりつくされているっていう
国民軍の存在を正当化しているあたりにフランス革命の影響を感じる
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講義の課題として読んだ。
哲学に関しては素人であるため、内容には触れないレビューとする。
たいしたページ数ではないとは言え、哲学書独特の言い回しは、やはり初学者の前に高く立ちはだかった。
しかし、巻末の訳者解説が非常に分かりやすく、理解の助けになった。
自分のような素人が読む順番としては、本文を分からないながらも一読し、解説を読み、納得した上で再度本文を読むことで、内容まで読み込めるのではないだろうか。
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永遠平和は蜃気楼
もしカントが今生きていたとしても、きっとまだ同じ事を言ってるんだろうなぁ。
いつまでこれを言い続けるんだろうなぁ。
いつまでもこれを言い続けなければいけないんだろうなぁ。
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カントはこのタイトルから連想してしまう、世界平和万歳といった盲目的な平和信者ではない。極めて現実的に平和について考えているナイスガイだ。
カントは世界国家なるものを信じない。いまある国家間で平等な条約を結んでいくことが平和を築くと考える。
しかし、平和を築く前には、必ず悲劇が起こるという。この点、第二次世界大戦を想うと納得である。
本文には、平和を築くための条約に際して、前提条項と確定条項が書かれており、本の作りはいたってシンプルだ。
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定言命法、カント的道徳、倫理観、永遠なる(一時的でない)世界平和の達成という理路を示した本。積んどいたのですが、ようやく読みました。日本の鎖国を高く評価する有名な部分も。道徳と政治の一致について、他国に対する経緯と当時の列強ヨーロッパの振る舞いへの懐疑は興味深い。むしろ後からのヘーゲルのほうが、ヨーロッパやキリスト教への信頼はナイーブに過ぎるように今の眼からは思える。ただ、カントの永遠平和の根拠が自然(神?)の摂理というのは、これも今から思うとナイーブに過ぎるか、、、、もちと考えます。
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「哲学者が政治について何かを語ってもそんなものは机上の空論であり何をも意味しない」と言う政治家がいるが、そう思うのであれば、私が述べることにとやっかく言わないで欲しいという序文に惚れた。確かに「永遠平和のために」が書かれた当時、その意見が採用され直接的な影響があったわけではない。しかし、第二次世界大戦後、理念的には永遠平和を目指してヨーロッパ連合が設立されたことを考えれば、この書物が少なからず影響したのであろう。思想、あるいは政治哲学の存在意義を実感させられる。
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永遠平和について几帳面に語った書。
机上の空論と一蹴されないために、批判をひとつずつ虱潰しにしていき、かつその根拠をあげていっている。