紙の本
江戸時代にも趣味人はいた!
2019/04/20 08:48
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投稿者:のりちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
面白かった。歴史的な「桜田門外の変」という大事件を結末に控えながらそこに至るまでの実在の人物と架空の人物が織りなす人間模様にはなかなか興味深いものがあり、作者の発想と構成のうまさを感じさせる。
更には、当時の政策、思想の違いによる様々な事件が絡み合って謎が深まっていくストーリー、解決するストーリーはミステリー時代劇の様相も相まって読み手がどんどんと引き込まれていく。人物描写も深い。傑作だ。
でも主役は朝顔だと思った。
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幕末が舞台の時代小説ってあんまり読んでなかったなぁ。
朝顔の栽培がこんなに人を惹きつけていたとは。
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朝顔の交雑の方に気がいってしまって、政情のトラブルが邪魔な気持ちで読んでしまう(笑)
それぐらい主人公が朝顔に対しての気持ちが深かったけれど、後半は朝顔の陰が薄暗いなってしまいました。
それにしても、出てくる人皆隠しごとして出てくる話ですわ。
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同心の中根興三郎は朝顔栽培を唯一の生き甲斐とする。
朝顔を通じて宗観と呼ばれる武家と知り合った事から興三郎は幕末という時代の波に飲み込まれていく。
自らの信念に基づき生きていく男達に涙しました。
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L
朝顔栽培だけが生き甲斐の閑職同心。
花がメインで本人も朝顔以外は我関せずなので、そんなゆったりした気持ちで読み進めていくと、あの歴史上有名な事件の端っこに絡んだ話だった。
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いわゆるチャンバラものとは違って
同心でありながら、朝顔栽培が趣味という一風変わった興三郎のキャラが新鮮。でも朝顔栽培が縁で人脈ができていき、
あの桜田門外の変へとつながっていく。
里恵さんとは結ばれてほしかったなあ。。。
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掘り出し物の一冊!!
朝顔が中心の時代小説は珍しそう、そう思い図書館で手に取っただけだったのが、意外にも幕末の騒動が絡んで来るとは全くの予想外!
何となく悪役として見られがちな井伊大老の意外な一面。あくまでも小説上の想像の世界の人物像なのだとは思うけれど、歴史的に英雄だとか悪役だとか見られる人物も、描き手の意思によって作り上げれれるもので、鵜呑みには出来ないのだと改めて痛感。
梶さんの描くい井伊直弼の人物像はとても思慮深い素晴らしい人でした。
偶然手にした掘り出し物の一冊。こういう出会いは本当に嬉しいです!
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江戸末期、ひたすら朝顔栽培を愛する只の同心が朝顔を通じて伊井大老と知り合い、事件に巻き込まれていくストーリー。朝顔栽培に情熱を傾けるだけの内容と思いきや、当時の動乱に向かう情勢や大老の思いも上手く取り入れられていて、結構感動的に面白かったです。
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「夢の花、咲く」の朝顔同心もの!
幼い頃の秘結(便秘)の為にお世話になった黒く苦い丸薬が、朝顔の種から作られていたことを成長してから知った興三郎。
今回は、魅せられたのが何故変化朝顔だったのかについて、母や兄弟のエピソードと共に書かれ、自分こそが変化物だと思っていたとのこと。
後半は井伊大老絡みとなり、いつもの江戸物とは異なり私は感情移入し難く‥だったかな⁉
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2年以上積ん読だったけどようやく。勧めていただいたのだけど、期せずして幕末のお話だった。ただただ朝顔を追究したい男の情熱を描きつつ、時流に翻弄される周りの人物の覚悟を描いていて、どちらもとても好きでした。
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幕末期江戸の朝顔ブーム。
品評会があったり、必死に交配を繰り返したり
もしかすると今この世にある彩どりの朝顔は
そんなブームがあったが故に発展していったのかもな〜とふと思った。
朝顔だけで、どこまでも話が膨らむ上に
とても面白いしちゃんと歴史背景描かれてて
フィクションだと分かっていても、あちらこちらに織り交ぜてあって
立場行く末違えど、友として苦しんでる主人公のセリフに泣いた。
一期一会、一朝。夢。
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どこかで江戸時代の変わり咲の朝顔の絵を見たことがあった。
これが本当に朝顔って姿で、丸葉、丸花の方が好きだなと思った。ただし、色は、紫じゃなくて藍色、縁が白なのがいいな・・・。
小学生の頃、誰でも育てたことのある朝顔は、おなじみの花。
主人公は、朝顔栽培オタクのイマイチさえない奉行所同心。部屋住みで終わるはずが、家督を継ぐことになったものの閑職にあり、妻帯もせず。
その彼が、ひょんなことから様々な知己を得、彼の不器用なやさしさやまっすぐさ、奥行きの広さ、暖かさを知ることになる。
彼の得た縁は、朝顔の花のように美しく、だけど、はかないもの。それでも、そこに、変わらないものを見出す物語。一炊の夢ならぬ、一朝の花。
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変化アサガオのブームは、第1次が江戸時代の文化文政(1804-1830)。その時期に浮世絵や歌舞伎が始まる。第2次が江戸時代末期(嘉永安政期:1850頃)で、交配の技術を持っていた。第3次が明治中期と言われる。
本書は、第2次ブームの時で、主人公は北町奉行所・同心の中根興三郎。興三郎は6尺あまりの長身であるが武術はほとんどダメで、3男坊。学問の道に行くように言われて、アサガオに興味を持っていた。ところが、2人の兄が死んでしまい、やむなく同心になった。うだつのあがらない仕事をしていたが、アサガオの話になると夢中になる。幼馴染の里美が飯屋で働いているのを見たことで話が展開して行く。里恵が不幸な人生をおくっていて、借金十両あり、興三郎は、自分の育種したアサガオ「柳葉采咲撫子アサガオ」をあげることで、里恵は窮地を脱するのだった。
時代的な背景が、きちんと押さえられていて、植木職人、成田屋留次郎が関わってくる。成田屋留次郎は変化アサガオ図譜の『三都一朝』の著者であり、アサガオの品評会を主催していた。成田屋留次郎は、柿色のアサガオ団十郎の育成者として有名であった。
興三郎は、『あさかほ叢』の「大輪極黄采」に惹きつけられて、黄色いアサガオを育種したいと思っていた。アサガオの花いろは、青から赤そして白はあるが黄色の色素がない。
留次郎は「黄色は夢の花ですぜ。咲かせたいと思っても咲かせられる花じゃないんですよ。懸命に育てて、アサガオが認めてくれたら、その時初めて咲いてくれる。一生に一度だけ、アサガオがくれる褒美の花」という。留次郎も黄色のアサガオは咲かせたことがないが、『三都一朝』にはボタン咲きの黄色いアサガオが描かれている。
そのころのアサガオで有名な育種家は、杏葉館と言われ、五千石の旗本、元北町奉行所の鍋島直孝だった。その鍋島直孝に興三郎は呼ばれて、茶人宗観に引き合わされて、大輪のアサガオを作って欲しいと依頼される。実は、宗観は井伊直弼だった。興三郎は、井伊直弼の暗殺事件に巻き込まれて行くのだが、その事実は知らないままだった。興三郎は、大輪の黄色アサガオを作ることに専念する。
なかなかできなかったが、鍋島からもらった「州浜葉」と「とんぼ葉」を掛け合わせて、黄色大輪の『一期一会』作出するのだった。
物語は、井伊直弼の暗殺を巡っての事件に巻き込まれる中根與三郎であるが、アサガオの育種に専念する。アサガオ同心とも呼ばれている。
大輪黄色アサガオを題材にして、物語を構成するチカラは並々でない。
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202112/これがデビュー作とは!消極的でパッとしないタイプだけど、朝顔のことなら周囲がドン引きする程饒舌かつ一方的にマシンガントークしちゃう朝顔オタクな北町奉行同心・中根興三郎が主人公。尊王攘夷、安政の大獄など史実をベースに、政情に係わってしまう主人公、朝顔をうまいこと絡めつつ物語が進んでいく。個性豊かな登場人物達も魅力的で、特に主人公の下男で還暦間近の藤吉が良い。この物語での井伊直弼の描写も面白い。多数の人物や出来事が盛り込まれてるけど読みやすく、混乱することなくページを進められた。同作者の『いろあわせ』の主人公・摺師の安次郎がちらっと登場しててニヤリ。ラストの描写もグッときた。梶よう子の植物モノはどれも面白いなー。