のりちゃんさんのレビュー一覧
投稿者:のりちゃん

嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか
2021/11/25 10:23
凡人は天才の心がわからない
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落合の野球に対する姿勢と勝負の厳しさをとっくりと見れた作品だった。指導者は孤独だとよく言われるがまさしく彼はそうだった。
しかし、彼の姿と指導はプロであるが故に同じプロの中日の選手には時間はかかったが、理解はされたことがよく分かった。選手に対する監督退任挨拶のところは感動的だった。
そして落合をこれだけよく捉えた著者にも敬意を表したい。

今ひとたびの、和泉式部
2020/05/31 15:59
驚いた。
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最初はなんと軟弱な小説を読み始めたのかとちょっと退いていたが、段々と面白くなってきて読み終わったらサイコーの感激。
和泉式部の生涯は、女性史と時の政治権力抗争史の中の濁流にのまれっぱなし。その中で切々と恋の歌を詠み続けた式部の生きざまが感動的。
更には彼女を取り巻く人物像の中での様々な謎。こいつはたまりません。

椿井文書 日本最大級の偽文書
2020/04/26 11:47
驚きの連続だ
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椿井文書の存在は知らなかった。まったく驚いた。まずは著者の椿井文書の研究に敬意を表する。
しかし、この偽文書が未だに色々と影響しているというのはもっと驚きだ。その意味では椿井政隆の罪は重い。行政も町おこしをすることではなく歴史の真実を正しく市民に伝えることを優先すべきである。

八本目の槍
2022/05/16 08:11
歴史小説の面白さ満載
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石田三成を賤ヶ岳の八本目の槍とする発想が素晴らしい。そして七本槍の各武将たちにそれぞれ関わりを持たせた小説の構成も見事なものだと思う。そして七本槍の各武将の新たな一面を見せていることにも感動した。
更に七本槍の各武将たちとのやりとりで三成の仕掛けた謎がまた謎を呼び一種ミステリーに近い味わいが出ている。
面白かった。

暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ
2021/11/03 18:20
作者の熱意を感じた
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島国日本における船舶事情をいい加減にしか考えられなかった軍上層部に憤りを感じずにはいられなかった。軍の作戦に参加させられた船員はさぞ無念だったと思う。
この本は、船舶部隊の歴史を丹念に追った作品として評価される名著だ。

暴君 新左翼・松崎明に支配されたJR秘史
2019/05/19 08:26
おぞましいの一言
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いかに人物に魅力があろうとも、松崎のような人間を永年に亘ってトップに据えて来たJR東日本の労使には呆れるばかりである。自浄作用というものは働かなかったのか。
本書は、その意味でJR東日本の実態を完全に明らかにした価値ある作品である。しかし、その中身に私は怒りと震えを抑えられなかった。

花戦さ
2016/07/18 11:53
いくさは、武器がなくてもできる
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傑作でした。あの豊臣秀吉に敢然と立ち向かった池坊専好こそ本当の美の探求者だと思う。
美というものは、権力者が思うままに操れないのだ、自由には出来ないのだ、人の考えや追究するするものには権力と言えども簡単に介入出来ないのだということをこの小説は、切々と訴えかけている。それが読む者をして感動を生む。

レストラン「ドイツ亭」
2021/07/30 10:33
ドイツの決意
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ナチスの愚行・蛮行を絶対許さないという決意が読み取れる小説である。偶然かかわったホロコースト裁判によりヒロインのエーファがかって故国がなにをしたのかということを自分の身の回りの人々を含めて想い、感じて行く小説だ。傑作である。

白の闇
2020/04/27 09:13
暗示するものは何か
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衝撃の一作だった。目が見えなくなるというのは、ある意味では命に関わる様々な感染病よりも恐怖だということを思い知らされた。
この小説は、失明した人々たちを通して様々な人間の困苦とその対応について問うていると思う。サスペンス的な要素もあり読み応え満点であった。

マチネの終わりに
2016/08/15 11:44
究極のすれ違い愛の傑作
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人間は、自分の欲望のためならなんでもやれてしまうのだなあとつくづくのこの作品で感じた。早苗のあの行為は信じられないと思うと同時にこの作品の本を叩き付けたい衝動にかられるほどの内容だった。
このすれ違いの愛の物語と同時に蒔野と洋子の真実の愛は、見事に一つの小説から昇華して真の人間の愛になった。こんなに読んでいてはらはらどきどきした恋愛小説は久しぶりだ。

ロンドン狂瀾
2016/02/13 22:35
国防とはなにか。軍人じゃなくても国は守れる。軍人に負けるな!!
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この作品はとても重厚で読み応えがあった。作者の新境地を開くものだ。
ロンドン軍縮会議の一連の出来事に絞っての小説。感動に震えながら読みました。
国家とはなにか、国を守るとはなにかを考えさせる作品だ。

ゲルマニア
2015/11/13 16:16
ゲルマニア
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第二次世界大戦末期のベルリンの混沌とした世情の中、オッペンハイマーの抑圧された捜査活動が、読者の共感と同情を強く誘う感動の名作だと思う。
オッペンハイマーの一挙手一投足にドキドキはらはら感を覚え、犯人はひょっとしてとんでもない大物ではないかという期待と謎を呼ぶ。この面白さは、ベルリンの暗い状況と並んで一層の盛り上げが図られている。作者の構成の見事さ創造力にも脱帽だ。今後の作品が期待される。

帰去来
2022/06/23 08:26
役職が人を育てる
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由子がスリップしたもう一つの日本はひょっとしたらこののちの日本の姿かもしれない。
そんなことを感じさせる思いで読んだ。
とにかくストーリーがいい。思わず引き込まれた。社会や家族の在り方を問う作品でもあったと思う。

楽園の真下
2022/05/06 16:20
和製昆虫パニック。いいねー
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生物の輪廻原則をうまくストーリーに活かしているのがいい。
藤間のカマキリ取材はダミーだったのに、メインの取材である自殺者の増加原因と結びついていくところは秀逸。
巨大カマキリとの対決はもう面白くてたまらなかった。人間の動物に対する問題提起もされていて言うことなしの小説だった。