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紙の本
労作なのに惜しまれる誤記誤植(出版社の校正ミス)
2022/03/27 16:40
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投稿者:永遠のチャレンジャー - この投稿者のレビュー一覧を見る
「取材に当たって資料を百万遍ひもといてみても見つからなかった新鮮な事実を発見する。それこそ筆者の最大の喜びである」(184頁)。なるほど、興味深い「事実」に辿り着いた著者の、他人を凌駕する行動力と好奇心が呼び覚ましたであろう逸話や後日談で一杯である。
その意味で、副題こそが本来(正題)の書名に相応しい。最も知名度の高い偉人の名前を書名に盛り込めば売上部数も伸びるとの出版社の策略が透けて見える。あの野口英世も国際結婚した日本男児の一人だったのかと、驚きの衝撃度(インパクト)は確かにある。
出版社には、もっと校正に力を注いで欲しかった。小首を傾げる記述と出逢うからだ。66頁四行目「東は英国、西はアイルランドにはさまれた海峡だ。アイルランドの首都、ダブリンとほぼ同緯度にあるアイルランドを野口は見ることはできなかったが、(後略)」は、三つ目の「アイルランド」が寄港地の「リバプール」でなければ意味不明で、明らかな誤植だ。
第二話の高峰譲吉篇にも、変な文章がある。123頁末の三行「高峰はJ・グリーンハットの義兄にあたるウイリアム・ブラック・ウールナーの所有する「ウールナー・ディスティリング(醸造)カンパニー」の社長であるが、ピオリアの醸造界において大ボス的な存在であった。」
主語が「高峰」だと、一化学者の日本人がイリノイ州ピオリアという町で醸造業者として大ボスだったことになる。麹を使う高峰の酒精培養技術が特許使用料に見合うものだったとしても、醸造業界を牛耳る存在である訳がない。
個人名がつく社名からも、ウールナー氏が会社社長で地元ピオリアの有力な実業家であったと考える方が合理的だ。英文からの誤訳か、下手な日本語文章の為せる業か、いずれにせよ校正時の確認ミスだろう。
第三話の松平忠厚篇では、米人妻カリー・サンプソンの生年が忠厚没年の10年後に当たる「1898年」と誤記(142頁)されており、結婚年齢(19歳)からみて「1859年」かその翌年が生年の筈だ。
若くして結婚、渡米した著者は、昭和一桁生まれの主婦で米国暮らしが長く、百年前の国際カップルに注がれる視線も温かく共感を滲ませるだけに、労作と呼べる本書の誤記誤植は大いに惜しまれる。
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