セックス税を議論する際に私が忘れたくはないこと
2009/12/05 22:26
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題からは淫靡な香りが漂ってきますが、書かれている内容はいたってまじめでした。
性風俗産業の現状を、昨今のグローバリズム、経済不況、新型インフルエンザ、そして戦争などの要因との関係からみつめた書です。
日本だけではなく、アメリカやEUの先進国から、タイやカンボジアといったアジア諸国、さらには東欧諸国やキプロスなど幅広い国々の性産業の実情が紹介されています。
こうした国々の中には売春を産業として合法化しているところが意外と多いことも知りましたし、本書でも紹介されているイギリスのTVドラマ『セックス・トラフィック』は私も以前見ましたが、ドラマの主人公の出身地であるモルドバが一大性奴隷供給国となっていることの痛ましさを改めて感じました。
最終章で著者が唱えるセックス税構想については危うさを覚えます。
著者はまず性産業を合法化すれば従事者である女性たちの労働環境が改善されるし、健診を義務付ければ性感染症予防にもなるとし、その上で売買春に税をかければ日本では94億円も税収が増えると試算するのです。
しかし、私は性産業を合法化した時の人身売買の拡大がやはり心配です。
性欲はなくならないのだからそれと折り合いをつけるためにも性産業を合法化し課税対象とすべきだというのは一見“現実的”に見えるかもしれませんが、私たちは今後どういう社会を目指していくべきなのかということを考えたときに、性産業を合法化した社会が果たして私たちの目指すべき目標なのかについての十分な議論が必要です。
未曾有の経済危機に直面して、痛みの少なそうな増税論は魅惑的に映るかもしれません。
ですが、自分の子供や孫たちが性産業を合法化した国家に暮らす時代がやがて来ることを心の底から喜ぶべきなのかどうかを考えた時、このセックス税導入論議を恥ずかしいことだと思うだけの心は人として最低限持ち合わせておきたいと私は思うのです。
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セックス産業がなくなる見込みはまずない。
日本にも、酒税、タバコ税と並んで、セックス税を導入せよと言う著者の意見には賛同する。
ただし、セックス税はアルコールやタバコに比して抜け道が多そうな気もするのだが。
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日本と世界の夜のビジネスの実態が紹介されている一冊
著者は、夜のビジネスを合法化し、セックス税を導入することで
業界全体の透明性が向上するのではと主張している
日本で昭和初期まであった公娼制度ではないが、公認する代わ
りに人身売買など非人道的行為を規制するのも、一案だとは思う
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日本を含む世界各国の性産業(キャバクラやホストクラブを含む)事情を詳しく紹介。売春が合法の国、セックスアカデミー、セックス税について、など現在やこれからの性産業について考えるのにもってこい。合法化することで性病やエイズの根絶につながることや性産業からの税収を見込めることには強く同意。日本にもセックス税を導入すべきと主張しているがこれはそう遠くない将来に実現するんじゃないか。
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世界の性産業について。売春を合法化し、その代りにエイズの検査を行い性感染症を予防する国もあるようで、非常に興味深い内容だった。これからの性産業の在り方について考える必要性を感じた。
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[ 内容 ]
「夜のビジネス」の世界市場規模は55兆円。
世界の「夜のオンナ」たちが稼いだお金の行方を探る。
[ 目次 ]
第1章 搾取される開発途上国の「夜のオンナ」たち(開発途上国の男性優位社会が売春を促す;タイの「夜のビジネス」はベトナム戦争の遺産 ほか)
第2章 合法と規制の狭間で揺れる先進国の「夜のビジネス」(先進国の「夜のビジネス」の仕組み;米国デンバーで買春するとテレビで顔と名前が晒される ほか)
第3章 日本の「夜のオンナ」最新事情(締め出される「風俗案内所」;わいせつDVD販売に対する規制も強化 ほか)
第4章 世界同時不況と「夜のオンナ」(金融危機が「夜のビジネス」を直撃。エコ割引の登場;カジノの収入減がセックス関連産業にも影響 ほか)
第5章 「セックス税」導入のススメ(「タバコ税」「酒税」のように「セックス税」を;「セックス依存症」という恐ろしい病気 ほか)
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[ おすすめ度 ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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ポーランドの経済規模に匹敵する55兆円の経済規模である「夜のビジネス」,
それに対しての世界各国の関り方を紹介、考察している。
「セックス税」の導入とか非常に興味深い。
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テレビで人気のエコノミスト門倉貴史氏の著作。
同氏の類書「地下経済白書」では多様な地下経済を俯瞰するだけで物足りなかったが、本書ではセックス関連ビジネスに対しする筆者独自の考察があり、一読の価値あるものとなっている。
セックス関連ビジネスが健全に発展していくために、筆者は「セックス税」の導入を提案している。
セックス関連ビジネスの弊害を抑止するためにも、政府は真剣に「セックス税」の導入を議論する必要があるのではないか、と思ってしまうほど、それなりに説得力のある文章。
軽やかな内容で、移動中の読み物に最適。
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http://www.bigsisterlive.com/
ビックシスター ただでセックスして動画を流す
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あまり表には出ない夜のビジネスの経済効果や実態について簡単に解説した新書。
日本人男性がかつて東南アジアで売春ツアーを盛大に行っていたり、海外から留学生などの名目で女性を連れてきてパスポートを取り上げ、劣悪な環境で売春を強要するなどの「人身売買」を行っていることが、国民よりも海外で周知されていることが残念。
セックス税の導入など、現状ではムリであっても、グローバルな視点で新しい切り口を提案しているのは興味深かったです。
by太郎
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2009年刊行。著者は同志社大学大学院非常勤講師。◆世界全体の年間売上が55兆円とも目される『夜』の経済。ポーランドの年間GDPに匹敵する産業は、合法と非合法の間に揺れつつ、現代版南北問題の象徴とも見える。また世界の経済不況にも影響される。本書は夜の産業に関する海外事情、日本の現状に筆が及ぶ。◆「SEX税」の導入(著者の持論のよう)、すなわち非合法なSEX産業の合法化によって、業態の透明性が進み、女性労働者の地位向上に繋がる。◇確かに、酒税法に妥当したロジックだ。しかし、売春・買春を軸とする夜の産業。この業務内容の女性労働者にもたらす羞恥心・忌避心を軽く見ているきらいはする。女性のセックスに対する意識に関し、①生物学的に見ると男性よりも慎重な姿勢に終始する論、②好意を持つ相手以外は嫌悪感を滲ませる点から、女性労働者が秘匿を希望するのではないか、との疑念があるからだ。◇裏社会に対する徴税権力の実力行使の可能性如何も関係するかもしれない。