紙の本
滅亡と繁栄、意外な日本の別れ道
2007/10/13 02:25
17人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ここ10年で最も慶ばしきことといえば、私事も含めて悠仁親王殿下ご誕生の速報であった。日本という国家国民にとって、天皇家というのはいわば国民のルーツの頂点を結ぶ正三角形の上部結び目に位置される。国民全員が、天皇家とは日本人として血の部分で精神的にも民族的にも繋がっている。そこを介して日本人はひとつの国「家」としての結合を強くしているのである。その天皇家に男系男子の王子様がご誕生なされたということは、私は本当に嬉しくて涙が溢れんばかりであった。
ちなみに、天皇陛下と右翼を結びつけるバカがいるが、そんな理論的つながりはどこにもない。タイやイギリス、王室を仰ぎ見る気持ちは共通のものであるし、歴史ある民族にとってこれは自然な気持ちであろう。
さて、そんな我が皇室であるが、本書で見るべきはまず宮中で今も行われている儀式の実情である。神道にのってって様々な儀式が今も行われている。
もちろんそこではそこに関わる女子の厳しい取り決めもそのままである。本書ではそれに関わる女性を尊皇の志の厚い国学院大学卒業の女子などから声をかけていくらしいなどと言っているが、おそらく噂だろう。血筋というものを忘れた選別など宮内庁はしないのではないか。
改めて思うのは、女性天皇ご誕生の難しさである。この儀式全てをリセットする事などできはしない。それでは儀式が儀式でなくなる。著者もこれについては同意見のようだ。確かにそう感じずにはいられない現実というものは知っておいたほうが良いだろう。
また著者も指摘するが、女性天皇ご誕生とフェミニズムを結びつけるのは愚かさもここに極まれりとしかいいようがない。フェミニズムは制度の上にこそ憲法14条を介して実現すべきものではあるが、憲法より遥か前から連綿と続く歴史の前にフェミニズムが立ちはだかるなど有り得ぬ話しではないか。憲法を勉強している連中に共通するのだが、あまりにも学説で憲法が頂点だなどと論証もなしに書かれているものだから、妄信してしまうのである。
男系男子が皇家を継ぐというのは、2000年前から我々の祖先が守ってきた伝統中の伝統の核心である。もちろん、過去何度もこのシステムは危機に晒された。しかし、その度に公家などが知恵を出し乗り切ってきた。その集大成が、天才井上毅の手になる皇室典範である。どうしてそれを我々が民主主義の名の下にそれを消し去ることができようものか。
英国やタイは男子優先の留保付きながら女子即位を認める。しかし、日本とそれらの国では王室としての格が違いすぎる。彼らにとってはもともと男系男子維持なんていう伝統なんかないのだ。たった400年の歴史程度ではその程度にしか熟成しないのは止むを得ない。
もちろんだが、仮に女王が我が国の伝統なら、それを死守すべきであり、男子は絶対に即位できないものとすべきだ。伝統に手を触れるには今の日本人はあまりに幼稚で稚拙である。ただ守るだけでよい。
さて、最終章で危惧されているのは、愛子様と悠仁様の即位争いという悪夢である。結論から言えば、起こる確率はゼロだが、しかし周りが騒ぐ可能性が懸念される。そもそも、男系男子の伝統は、皇室典範より遥か悠久より前から天皇家の家訓なのである。現に、三笠宮様と今上陛下の距離を推し量れば、女系反対の三笠宮様の御意見は陛下の大御心と見て大過無いのである。少なくとも、天皇家から女系賛成の意見は聞こえない以上、不自然な推測ではあるまい。
王子様が生まれた以上、次の天皇陛下は秋篠宮様、悠仁様で動かない。それを動かそう、政争の具にしようとする大馬鹿者が出ないとも限らない。現に、日経新聞の昭和大帝メモ事件も淵源には天皇制廃止論者共和制移行論者の意向があからさまに見えている。
日本経済は順調である。あらゆる産業は発達し、世界のトンネル、例えばアメリカ南米を繋ぐ橋を作るにも日本が不可欠、インフラ整備だけでも好景気は続く。しかし、浮かれて伝統を忘れれば、鉄槌となってやがて我が身にはね返る。
試練のときである。自分の頭で考え、「平等」という無内容な(もし完全平等にすれば累進課税は消滅、女性車両も霧消する)ものにただただ稲穂の如く平伏す現状から立ち上がれる者が何人でるか、それがおそらく日本の別れ目であろう。人口減少しても天皇家さえあれば日本は大丈夫なのだから。
人口減少すれば国民1人1人は今よりきっと幸せになるが、そのとき外国人が日本に溢れる時代になっていても、天皇陛下さえお顔を出してくださればこの国はまとまるのである。
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階層はあっても階級のない日本社会。いいえ、此処だけには階級があったのでした。
同じ階級に属す人が少ない社会は生きづらいところだと思います。
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本家のプリンセス愛子さまと分家のプリンス悠仁さま、皇位継承問題は難題です。
ただ、早めに決めてあげることも大事なことだと思います。
私自身としましたら、現行皇室典範どおり、悠仁さまが皇位を継承され、愛子さまは宮家を創設されるのが相応しいのでないかと思います。
有識者だけで話し合っても決めるのは難しいでしょうね。
陛下のご意向をお伺いするのもひとつの方法だと思います。
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[ 内容 ]
四一年ぶりの男児でも、ここまで違うものなのか。
皇室にはどこよりも、生まれた家の違い、男女の差が歴然と存在していた―。
名づけ親、儀式の内容、ボディーガードの数、一家の予算、皇居を訪ねる際に通る門…。
何から何まで、愛子さまと悠仁さまでははっきり異なる。
その「立場の差」が意味するものとは何か。
現役の宮内庁担当記者が、五歳違いのおふたりの成長から読み解く平成の皇室、その未来。
[ 目次 ]
第1章 皇太子家と宮家
第2章 女の子と男の子
第3章 宮内庁病院と愛育病院
第4章 愛子さま「語録」と全活動データ
第5章 プリンス誕生のドラマ
第6章 赤誠の皇宮護衛官たち
第7章 しつけから帝王学へ
第8章 恋人選びと結婚
第9章 結婚の儀
第10章 皇室典範をめぐって
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かゆいところに手が届く新潮新書。
人選もうまいんだろうな、専門家すぎない、膾炙して伝えられる人選をしているよなぁ。
このテーマもやっぱり、ちょっと気になるもんね。
切り口一つできわどくもなるけれど、皇室入門書として面白く読みました。
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改めて女性宮家や女系天皇の可否について考えさせられる。
本書では旧皇族方や、遠縁ながら(遠縁という用語の使い方がここで正しくない事は承知している)天皇の血を引く家についても触れられていた。
旧皇族の復帰が良いと思う自分にとってはいい勉強になった。
女系天皇はどうも、違和感がある。
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「皇室」については、以前は「菊のカーテン」ともよばれるほどに世間から隠されたものであったが、現在はそうもいかずにだいぶ開かれてきているのではないかと思い、本書を手にとってみたが、どうも本書の「愛子さまと悠仁さま」についての「格差」(?)への不満のスタンスには違和感を持った。
そもそも「天皇制」が「血脈と伝統」によって構成されている以上、「本家」と「宮家」に格差があるのは当たり前ではないか。
本書は「本家のプリンスセス」と「宮家のプリンス」との待遇の差をいろいろとあげて、疑問を呈しているが、その疑問を正当化する主張は見当たらない。
著者は、皇太子家の「東宮職は50人の人員を誇るが、秋篠宮ご一家の担当者は、わずか10人あまりしかいない」と嘆いているのであるが、「皇太子」は、「次期天皇」と定められた公的な職業なのであるから、補佐する人員が多いのは当たり前ではないかとも思える。
本書にはその50人の担当者の役目の記載はないが、宮中行事関係の担当者も当然はいっているのではないか。
むしろ、公的な役目がすくないであろう秋篠宮ご一家の担当者が10人もいることのほうに驚く。
著者は「産経新聞社」の宮内庁担当者であったのであるから、当然「皇室」の内情には相当詳しいのだろうが、本書でそこを充分に紹介できているとは思えない。
平成16年の皇太子のいわゆる「人格否定発言」は、当時日本国民に大きなショックを与えた。
その発言を生み出した「皇室内の背景」はいまだに明らかになっていないが、結婚時に雅子さまに「一生全力でお守りします」とプロポーズした皇太子である。皇太子が、自らの誓約と皇室内部の何らかの軋轢との狭間で、ギリギリの選択と発言をしたようにも思えたが、その後、現天皇や秋篠宮からも支持を得られず、沈黙したようにも見えた。
それらの日本国民であれば誰もが知りたいであろう皇室の内実についての切り込みも本書には全くない。
皇室には「伝統」や「国民の支持」などの素晴らしい財産と共に、一般からは理解しにくい様々な「古い慣習」もあると思われるが、これらへの指摘もジャーナリズムの責務であろうと思うが、本書にはそれも見当たらない。
批判精神を持たないジャーナリズムに、価値はあるのだろうか。本書は残念な本であるとおもう。
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4冊目。
前に天皇について少し読んだので、皇族について少し知りたくなり、読みました。
天皇や皇族が何なのかわかっていない…
国の決まりとしては、天皇は象徴ということになっているみたいです。私の印象としては、これは、
•何かに定めないといけない
•宗教をまきこんだものにしないといけない
ということで、当てる言葉に困り、苦し紛れに使っている感じがしました。
だって、祈るのがお仕事なんですよね?
天皇制を伝統としてこのまま守りたいと思っているのは、神道で偉い人だからですよね?
そんな気がしました。
著者の意図はわかりませんが。
印象的だったのは、内掌典という人々は水道の栓を清いか清くないかでいうと、清いとしていること。清いとは血などで汚れていないことらしいです。
なので、ケガレているとされる手では栓をひねらず、手の甲で押しひねり、水をだすとのこと。
昔は水道はなかったはずです。たぶん…。なので、水道ができた後で決まったことのはず。
今までに無かった決まりをつくったことになります。
何もせずに見ていると、天皇制は行き詰まる可能性があります。
なら、ここでも、新たに何か決まりをつくるか、現在の決まりを変えてもいいのではないでしょうか?
他に影響されるのものがたくさんあったとしても。
行き詰まってしまったけど、今までと同じ決まりを守りたいというときは、天皇制廃止という選択もあるでしょうし。
どれが誰または何にとって、どういいのかはわからないままです。
もうちょっと考える必要があるみたいです。
私が考えている間に国としては決まっているかもしれませんが…
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なんか何を結局言いたいのかよくわからんかった。
秋篠宮家よりだけど、
とってつけたようなまとめとか鼻に付く。
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父が貸してくれた本。
自分じゃ絶対手に取らないタイプの本です。
現皇室典範では皇位継承権がないのにもかかわらず皇太子家(執筆当時)に生まれた愛子さんと、同じように天皇の孫(執筆当時)でありながら、なおかつ皇位継承権を持ちながら、宮家に生まれたというだけでいろいろと差をつけられている悠仁くんについて、多くの視点から比較し憤慨している著者。
勉強不足の若手ライターが書いた本なのかと思いきや、現役の宮内庁担当記者だそうで、だとするとこれはたちが悪いなあと思った。
今後のことはさておいて、今現在(いや、執筆当時)、皇太子家と宮家は差をつけねばならないでしょう。
例え兄弟だとしても、今は立場が違う。
全ての宮家に皇太子家と同じだけのお金を費やせと?税金から?
または皇太子家は宮家と同程度の予算で賄えと?
それはそれで私はいいけど、対外的に格好悪くないの?
国民は納得するの?
違うの。
悠仁くんは将来天皇になる身なのだから、もっと予算も人材も皇太子並みに使ってお育てせよってことなの。
でも皇室典範を変えるとも変えないとも決まっていない現状で、それはなかなか出すぎた行為だよね。
というか、そういう声が出て、周囲も本人も勘違いすることがないように差をつけているのだと思うのだけど。
クーデターが多発した昭和の初め、陸軍では昭和天皇より秩父宮でという声が多かったというのもあって、兄弟といえども立場の違いを明確にすることが大事だと、そういう経緯を現役宮内庁担当記者が知らないわけはないだろうに、こういう本を書くのか。
差別社会の究極が天皇制なわけで、家格による差別はいけないというのなら天皇制は成り立たないでしょう。
今の皇室典範の変更をしないというのなら、愛子さんも、悠仁くんのお姉さん二人も宮家からいなくなり、悠仁くんのお嫁さんは100%男子を生まなければならないということになる。
今後の安定のためには2~3人産んどいてくれればなお良し。
そんな条件の人のところに嫁ぐ勇気のある人と相思相愛になれればいいですが。
本当に天皇制が今後も必要なのか。
どうしても男系男子じゃなければいけないのか。
最新の科学技術を駆使して人工授精というわけにはいかないのか。
いろんな角度からの議論が必要と思います。
「伝統が!」という意見があることは重々わかっておりますが、側室制度をなくした時点で伝統よりも時代の流れを取ったのだから、もう「伝統」だけを錦の御旗にする必要もないと思うのだけど。