読書ばなれを促しているのは、学校教育の名作主義ですね。しかも、教師が押し付けられた読書体験をそのまま押し付ける、高校野球のそれと全く同じやりかた。その点、阿刀田の案内は礼儀正しい・・・
2006/03/19 18:44
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
私が長篇好きなものですから、娘二人もどちらかというと短篇を殆ど読みません。ショートショートなんて死語、とまでは言いませんが殆ど興味を示しません。そこで、これじゃあイケナイ、と。私だって昔は星新一や松本清張、乱歩の短編に酔い痴れたんですから、その面白さをなんとか、って苦しいときのジュニア新書頼み・・・
「とにかくおもしろい芥川龍之介、こんな文章を書けたらすごい志賀直哉、目を見張る設定の中島敦。子どものとき落語全集と銭形平次捕物控で短編のとりこになった著者は、好きな小説を読みあさっていく。自らの体験を通じ、また短編の作り手の視点から、ぜひ触れてほしい作品をすすめる。脳にしみこむ若いときの読書は大切だ。」
がカバーのことば。
目次は、第1章 短編小説は礼儀正しい、第2章 とにかく芥川龍之介、第3章 ミステリーはいかが?、第4章 不思議な頭のアラン・ポー、第5章 美しい自己中心、第6章 ユニークな短編たち、第7章 週末は清張を、第8章 エロスでドキドキ、第9章 ショートショートを短く、第10章 乱れうち一五作品、となっています。
阿刀田の読書は私の方法と似ています。ともかく、面白いものを読む。人生とは、とか恋愛とは、なんてえのはあとからついてくるもの、ともかく面白くない人生なんて誰も送っていないんだから、生きるには哲学!なんて御託並べているオタクに付き合うよりは、ともかくエンジョイ。ま、哲学屋は哲学をエンジョイしているんだから所詮は同レベル!
だから、芥川より鴎外の作品のほうが上、なんて決め付ける輩を無視して、せっせと面白い作品を楽しみます。でも、カバーの案内は、ちょっとオカシイ。私が読む限り、阿刀田が最も楽しんだのは、芥川と松本清張だと思うんですね。この本を読む限り絶対にそう。その清張に触れない内容紹介、ここにもフィルターがかかってる?
でも、それは阿刀田の文章には関係ありません。彼はひたすら面白い短篇を紹介し続けます。久しぶりにぶりに清張や乱歩の全集、あるいは漱石のそれを読み返したくなりました。ここでは触れられていないけれど、私の宝物である筒井康隆全集もよみたい。ハヤカワの世界ミステリ全集も引っ張り出したい、そんな気持ちが一杯です。
乱れうち15作も、半分以上は未読。娘たちと一緒に読み返そうかしらん・・・。太宰治『キリギリス』、ヘミングウェイ『殺し屋』、井上靖『楼蘭』、ストックトン『女か虎か』、ラヒリ『停電の夜に』、井伏鱒二『山椒魚』、山本周五郎『その木戸を通って』、ダール『牧師のたのしみ』、カーポティ『夜の樹』、結城昌治『替玉作戦』、鶴田知也『コシャマイン記』、五味康祐『自日没』、里見弴『ひえもんとり』、半村良『箪笥』、日影丈吉『猫の泉』。
古い作品群に混じってラヒリ『停電の夜に』は、異色だなあ、なんて思いもします。ともかく、ここにあるのは広大な短篇世界のほんの、ホンノ、本の一部。面白くなくても、短いから読み通すことができる、それを阿刀田は「礼儀正しい」といいます。たしかに、そうですね。ともかく読み始めましょう、短篇・・・
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情報科教員MTのBlog(『短編小説を読もう』を読了!!)
https://willpwr.blog.jp/archives/51123926.html
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[ 内容 ]
とにかくおもしろい芥川龍之介、こんな文章を書けたらすごい志賀直哉、目を見張る設定の中島敦。
子どものとき落語全集と銭形平次捕物控で短編のとりこになった著者は、好きな小説を読みあさっていく。
自らの体験を通じ、また短編の作り手の視点から、ぜひ触れてほしい作品をすすめる。
[ 目次 ]
第1章 短編小説は礼儀正しい
第2章 とにかく芥川龍之介
第3章 ミステリーはいかが?
第4章 不思議な頭のアラン・ポー
第5章 美しい自己中心
第6章 ユニークな短編たち
第7章 週末は松本清張を
第8章 エロスでドキドキ
第9章 ショートショートを短く
第10章 乱れうち一五作品
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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「短編小説と心中してもいい」と言ったほど、短編小説を愛してやまない著者の短編小説案内。芥川龍之介や志賀直哉、太宰治、松本清張、外国文学などの著者が気に入っている短編小説を挙げ、そのおもしろさを紹介している。僕は、文章の合間合間に入る、―~なんだよなぁ―とか、―うん、おもしろい―といった、阿刀田さんご本人の「思い」が入る部分が好き。それが意外と読者の思いでもあったりするから「うんうん、そうなんだよね」と首肯して読み進められる。ジュニア新書というくらいだから、年少の読者、またはこれから短編小説を読み始めようと思っている方々に、オススメします。
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図書館でたまたま手にとって、読んでみました。
短編小説に関するブックガイドだけれども(それもジュニア向け)、
目次を見て、取り上げているのが、
芥川龍之介、ドイル(ホームズ)、志賀直哉、中島敦、松本清張、星新一、
と並んでいれば、気になりますよね。作者は阿刀田高だし。
短編小説って、面白いよ、気楽に読めるし、という若者向けのメッセージをこめた本ですが、小説好きにはうってつけのブックガイドとなっています。
ただ、出てくる作品紹介を読んでいると、すべての内容が書かれてしまっており、なんか本編を読んでしまった満足感が出てしまうところがちと問題。このあたり、気を持たせるような紹介文なら、北村薫のエッセイが最高でしょう。
いずれにしても、最近、文庫でもいろいろなアンソロジーが組まれており、短編集が一種のブームとなっています。気の合う編者のアンソロジーと出会えれば、様々な楽しみが得られること間違いなし。
本書で紹介されている作品も、実際に原典を読んでみたいものがありました。早速、探してみよう。こういう連鎖反応が、また楽しみの一つです。
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短編小説の名手による短編小説ブックガイド。ジュニア向け新書だけどジュニアだけが読むんじゃもったいない充実度だと思いました。紹介されてるものがみんな面白そう。
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自身も一級の短編小説家である著者の「短編愛」をつづったもの。芥川から始まり、コナンドイル、志賀直哉、中島敦など、高校生のときにむさぼるように読んだ懐かしい小説がたくさん登場して、小説の読みどころを余すところなく伝えている。改めてそれらを読み返したくなった。
小説を読む楽しみを再認識させてくれる珠玉の一品。おすすめ。
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国立国会図書館で司書の経験もある、小説家 阿刀田高 さんによる、短編小説の案内書。これ1冊読んだだけで、たくさんの本を読んだ気分になれるのはお得かも。
気に入った本があれば、さらに読んでみるといいですね。私は、今さらながら芥川と太宰に興味をもちました。
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岩波ジュニア新書刊
これをみたら、中高生向けの新書だと貴方は知るでしょう。
私も子供を授かっていたら、丁度彼らの親御さんの世代でしょうか。
それはさておき、当書は短編小説の魅力を私たちに提示してくれます。
古今東西の作家より、実作品のエピソードを紹介。
たね明かしまでは致しませんので、どうかご安心ください。
短編小説は、短いのが魅力だとのことです。
決して長編小説がつまらないのだと、申している訳ではありません。
気軽かつ短時間で、色々な新しい好みに出会えるのが良いのだと言う。
紹介されている作品の中で、幾つか私が読んだ作品も含まれています。
ですが、読んでみたいという作品に出会えたことも間違いではありません。
私もまた、知的好奇心を刺激されることでしょう。
貴方もよい読書生活を、お送りください。
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わたしの好物、本の本です。短編小説にあまり思い入れが無いだけに、どうかなって感じだったけど、それなりに読みたくなる本は見つかりました。ただ個人的には、文章の引用がやたら多いのが気になって仕方なく、その殆どを要約だけで済ませてくれていいから、より多くの作品を紹介して欲しい、と思ってしまいました。文章の美しさ・素晴らしさが短編小説だけの専売特許って訳じゃなく、長編でも素晴らしい文章は当然見られる訳で、文章の宣伝が、短編の宣伝に繋がるとはあまり思えないから。文章そのもののみならず、お勧めの仕方にも個性があって当たり前で、本作の個性が、あまり自分と合わないってだけなんですが。
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松本清張の短編にとても興味がある。
ぜひ読んでみたい。
いろんな発見があってこういう本はおもしろい。
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春休みの課題図書になっていたので、手に入れて読んだが、もしかしたら今は絶版になっているかもしれない。書店では扱っていなかったので、古本で手に入れた。
読書初心者には強くお勧めできる本である。短編の紹介をテーマごとにしてくれているのだが、引用部分もかなりあり、興味を持てる作品に出会える確率は高そうだ。とても読んでみたくなる紹介ばかり。
もし本当に絶版だとしたら、これはかなりもったいないのではないだろうか。
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「とにかくおもしろい芥川龍之介、こんな文章を書けたらすごい志賀直哉、目を見張る設定の中島敦。子どものとき落語全集と銭形平捕物控で短篇のとりこになった著者は、好きな小説を読み漁っていく。自らの体験を通じ、また短篇の作り手の視点から、ぜひ触れてほしい作品をすすめる。脳にしみこむ若い時の読書は大切だ。」
落語『千早振る(ちはやぶる)』
・・落語全集は、行ってみればユーモア短篇小説集のようなものですね。横丁の長屋に住むは八っつぁんが長屋の百科事典のようなご隠居さんに質問する。でもその長屋さんの知識には少しあやしいところも含まれています・・。インチキな解釈がみごとに成立した、そのおもしろさを感じた。大自然の美しさを称えた和歌が、五殷峡さんの解釈で実際にありそうな人生談に変わっているところも、おもしろい対比である。
「でもこれがおもしろくないという人がいてもけっこう、けっこう毛だらけ猫灰だらけ、次を当たってみてください。すぐにつぎに当たれるのが短い作品の長所です」
という感じで紹介が続きます。読みやすぅーい!
「私自身の体験から若いみなさんにぜひとも伝えたいのは、-知らないことだから、めんどうだな-
と嫌わないことです。」小倉百人一首も、江戸の捕物帳もギリシャ神話も、その直前まで阿刀田さんは何もしらない世界だった。短いつきあいで読んでみて、おもしろいと感じてた。「若いうちなんか知らないことだらけです。知らないことに怯んでいてはつまらない。ー知らないから、のぞいてみようかーこのほうが豊かな人生に通鶴でしょう。ちょっとのぞくには短篇小説がよいのです。」p26