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一命を取り留めた陽子であったけれど、
自分が不倫の末の子であったという事実に苛まれてしまう陽子。
どこまでも清廉潔白でいたいという陽子の姿勢には驚くばかりか、
こんな生き方で辛くて息苦しくはないのかとも思ってしまいました。
そんな様子もあまり気に留めていない夏枝。
それだけでなく相変らず自分ばかりが可愛くて仕方なく、
夫に対してもどこか冷たかったり嫉妬心があったり、
村井との行動も軽率だったりと端々に嫌な心が見えてしまいました。
それとは逆に夫の啓造は人生の晩秋に差し掛かっていることに対して、半生を振り返り今までの仕事や家族に対しての振舞いについて思うことがあって陽子には今まで以上に気を配っている所が少し救いにも思えました。
「われわれが集めたものではなくて、われわれが与えたものか」
与えたその命だけは、いつまでも、この世に生き続けているような気がする。
という言葉が印象的でした。
実の母親の存在を知り、その次男の達哉の存在が陽子に
近づいてくることによりまた一波乱も二波乱とありそうな気がします。
そして何よりも陽子を一番に思っていた兄の徹、友達の北原の存在も絡んでくると思うのでこの続きが気になります。
続編の前の2冊よりもあまりドロドロ感が無く、
大きな進展も無かったですが、それぞれの登場人物がどんな行動を取っていくのかとその行方が知りたくなってしまい
ページを捲る手が止まりませんでした。
引き続き下巻へと進みます。
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清く正しく美しい心を輝かせていた陽子が
世の中の澱みや人間の歪みを知り変化していく
母夏枝の無邪気さと父啓造の気持ちの変化が
物語を結末へと繋げていく
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小説を愉しんだ後に思う場合が在る。作中の最終盤辺りの経過の後、「如何いうようになってしまう?」ということが凄く気になる場合が在って、「こういうように?」と勝手に考えを巡らせてしまう場合も在る。
『氷点』という小説を読んだ。不幸な事件が契機で、一家は重大な秘密を密かに抱え込んでしまう。その秘密に関るヒロインは、その秘密を突き付けられる羽目に陥り、最終盤で騒動を起こしてしまう。やがて一家の秘密の真相を知る人物が、その真相を伝える。そういう具合で「ヒロインの陽子は如何なる?」という場面で物語が幕を引くのが『氷点』であった。
作者の三浦綾子の中で、『氷点』は発表されている「ヒロインの陽子は如何なる?」という場面で完結していたようである。が、小説が大好評を博し、三浦綾子が次々と作品を発表するようになって行く中で「『氷点』の陽子のその後?」という声は高まったようである。色々な人達が随分と、その件を話題にしていたらしい。
そういうことで、取材を重ねた上で登場した「続篇」である。
『氷点』は「昭和30年代の終盤頃」という時期迄の物語である。対して『続 氷点』は「昭和40年代前半頃」という時期の物語である。
『氷点』に登場の啓造、夏枝、徹、陽子という「辻口家の人達」は『続 氷点』でも引き続き主要な人物達ということになる。そして『氷点』に登場した、辻口家の人達と交流が在る人達も引き続き登場する。その他方で、『続 氷点』には新たな人物達も登場する。
上巻は、『氷点』の最終盤での騒動の直後という情況から物語が起こる。そして時間が少し経過し、『続 氷点』の鍵になる「三井家の人達」が登場するようになる。
下巻では、血の繋がらない兄の徹と、兄の友人ということで知り合って親しくなった北原との間で揺れていた陽子、そして「三井家の人達」を巡る挿話が多くなる。
『氷点』は陽子が成長する過程の子ども時代が相当に入るのに対し、『続 氷点』は陽子が既に高校生や高校卒業後、或いは大学生である。それ故に「陽子の目線」という部分が多い。
『氷点』の最終盤で陽子は高校2年であるが、『続 氷点』の中では大学生になっている。数年経っているということになる。そういった事情を踏まえ、<見本林>が在って、辻口邸が建っていることになっている神楽や旭川の街での挿話に加え、札幌での挿話も少し多くなり、加えて作中人物達が旅行に出るような場面も在る。
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前回同様、下巻を読了しての感想とします。
しかしながら、三浦文学に惹かれる自身があります。
もっと早くから知りたかった。またまだ作品は多く残っているので、読み進めたい次第です。
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ドロドロな人間関係
医者の啓造と妻の夏枝
夏枝が啓造の同僚(性格終わってる)といるときに3歳の娘を殺されてブチギレた啓造が娘を殺した男の娘(陽子)を夏枝に育てさせようとする
みんな登場人物自分勝手なのがリアル
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誰の中にも存在する罪を的確に書いている。人は愛とか憎しみといった感情を飼い慣らせないのに、愛と憎しみに好き勝手に振り回されてるている。
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余韻を残して終わった『氷点』の続編。
自殺未遂を起こした陽子ちゃんが助かり、特に後遺症もなく暮らしていくなかで、より著者のキリスト教的な視点が強く表現されていく作品でした。
キリスト教における「原罪」と「許し」をティーンエイジャーの陽子ちゃんがどう自分のなかで消化(昇華)していくのかのお話。
陽子ちゃんが我が子を殺した犯人の子ではないと知ってもお母さんは未熟な人間のまま。これは一生変わらなさそう。
医師のお父さんも良い人であろうとし過ぎていくつになっても迷いっぱなし。
そこに暴動機関車のような陽子ちゃんの実の弟などが出てきて、とにかくお話としては飽きさせませんでした。
ただ、陽子ちゃんまでぐじぐじし始めてスッキリする感じはないお話ですね。