紙の本
天然痘について
2020/04/16 11:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:飛行白秋男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
尊敬する吉村昭さんの本、新型コロナウイルス蔓延を受けて再読。
目に見えない敵と戦うとは、こんなにも勇気のいることですし、自分の命を賭して
一人でも多くの人を助けるという信念、執念。
そんな人たちに我々は生かせてもらっている。
ありがとうございます。
投稿元:
レビューを見る
江戸時代、大流行する天然痘をどうにかするため種痘の普及に
奔走するお医者さんの話。
まだまだ東洋医療が主流であり西洋医療の治療法を人々は恐れ、
種痘の普及は困難を極める。
お医者さん職業倫理について考えさせられる。
主人公が超情熱的!
投稿元:
レビューを見る
人々にさげずまれながらも長年の苦労の末、牛痘が認められ広まっていったのは本望だったろう。誰もがこんな気持ちで仕事ができたらすばらしい世の中になるはずだ。
投稿元:
レビューを見る
地味な作品だ。苦労話と感じる。長崎からの苗→京都で発痘する→福井へ大変な苦労の末持ち込む。種痘は成功しているにも関わらず、予防法事業として成立はしない。原因が同業者(漢方医)の妨害にあったことによる。同じ患者を治す事を業とするものが、妨げとなる事はとても悲しいことであると感じる。しかし、他藩で種痘が成功していたとするなら、それは外部のみではなく笠原良策に原因があることが示唆される。何事であれ、パイオニアには困難が伴うものである。
投稿元:
レビューを見る
2011.10.11(火)¥120。
2011.10.19(水)。
2012.3.4(日)¥200。重複購入。
投稿元:
レビューを見る
天然痘と闘った笠原医師の物語。天然痘から人を救いたいという情熱には頭が下がる。また,嫉妬という人間の最も汚い部分もまざまざと見せられた。
投稿元:
レビューを見る
大好きな吉村氏の作品で、読み漏らしていた一冊。やはり吉村氏の作品は読みやすく面白い。緻密な取材には定評があるが、そこからくるリアリティ、そしてすんなりと受け入れられる表現力。
短編に近い長さなので、一気に読了。
投稿元:
レビューを見る
天然痘により多くの死者が出ていた時代、福井藩の町医、笠原良策の人生を懸けた天然痘との対決を描いた歴史小説。
天然痘の予防法は牛に植えた天然痘(牛痘)を人間に植え直すというもの。天然痘は一度でもかかれば二度とかからない、ということからヒントを得たものです。
もともと良策は、この治療法が発見された蘭学へは不審の念を持っていましたが、一人の医者の出会いから徐々に蘭学へ興味を持ち始めます。こうした新しいことに対しての柔軟な態度、そして向上心が素晴らしく感じました。
そして自らの命の危険も顧みず、牛痘の苗を故郷に運ぶため吹雪の厳しい雪山を行進する場面も良かったです。良策だけでなく、牛痘を植えることを承諾し、吹雪の中を歩き続けたその両親や子どもたちも立派だな、と思いました。
そして吉村さんらしい感情を挟みすぎない描写も、この場面と非常にマッチしていたと思います。いくらでもドラマチックに書けそうな場面なのですが、そこの筆勢を抑えることで逆に想像力を掻き立てられ、それぞれの人々の想いを考えながら読むことができたと思います。
非協力的な役人、他の医者の妬みや悪評、予防法への無理解などたくさんの困難にぶつかりつつも、功名心や実利を求めず、天然痘の予防法に尽力した良策の姿は、人と科学の戦いを描いているようにも思いました。
ページ数は200ページほどと薄目の作品なので、吉村作品の入門書としても、ぜひ色々な人に読んでほしい作品です!
投稿元:
レビューを見る
いい本を読みました。時代は天保8年、私財を投げ打ち天然痘の種痘を広める事に人生を捧げた医者である笠原良策の話です。こうした人が福井にいたことを知らず勉強になりました。当時の福井藩の城下町、福井は毎日、餓死者や天然痘による死者を処刑場の裏手に運ぶ大八車がひっきりなしに走っていたという。そんな光景を目の当たりにした良策が、天然痘から人々を助けたいという一心で苦労に苦労を重ねて天然痘の予防に種痘を成功させる。
新しいことに挑戦する大切さを教えてくれるが、当時の福井には優秀な人材がいたにもかかわらず、新しいことを取り入れる事に対して役人の腰が重い(笑)、、これもいまも変わらずの伝統かな。
投稿元:
レビューを見る
福井藩の町医、笠原良策の功績。天然痘の猛威を憂え、種苗の取得に奔走した。一番の障害は庶民の無理解と拒絶。様々な人の協力で成功するが、医は仁術という拘りが花開いた。2016.2.13
投稿元:
レビューを見る
幕末越前藩で、牛種痘による天然痘撲滅に奮闘した町医笠原良策の評伝的小説。もともと少年文庫用のものを笠原家提供の資料を基に改稿した作品。箸休めに最適の中編小説。
投稿元:
レビューを見る
江戸末期、福井藩医師笠原良策は自らの勉強した漢方では天然痘の脅威に太刀打ちできず無力感がいっぱいだった。その中種痘法を知り、それを福井藩に持ち込むために並々ならぬ努力を払う。遂に成功した場面に涙を禁じ得ない。また福井藩主松平春嶽の英邁さと、それについていけない官僚機構に理不尽を感じるのは良策だけじゃないだろう。
投稿元:
レビューを見る
江戸時代末期から明治にかけて福井で天然痘と戦った町医の話。
現代の人間である私には想像できな事だが、天然痘の惨禍は凄まじいものであったらしい。
感染した人間の1/3は死に、生き残った者にも生涯消えない痘痕を残す恐ろしい病で、種痘が広まるまでは対処方法がなかったという。
西洋では広まりつつあり効果を上げ始めていた種痘を日本に導入することに尽力し、日本の天然痘の治療の先駆けとなった福井藩の医者笠原良策。
人の命を救うために自分の財産もなげうって、それだけではなく命の危険すら冒す。
そこまでの壮絶な努力をしてすら役人や医者たちの非協力的な態度、迷信に満ちた庶民たちの悪意によって思うように種痘が進まない。
そこに至るまでの道のりは想像を絶する困難に満ちていたが、彼の志は最後に実を結ぶ。
クライマックスのシーンはやはり種痘を施した子供とその親と共に雪中の山道を越えるシーンであろう。
あと一歩で遭難してしまうところまで行きながら奇跡的に全員無事で生還する。
これがフィクションでなく実際にあった事なのだと認識するたびに深い感動が沸き起こってくる。
投稿元:
レビューを見る
江戸時代末期、恐ろしい勢いで蔓延した天然痘を根絶しようと奔走した医家の笠原良策。
自分の栄誉のためではなく、人のため、世のためにここまで打ち込めるのは並大抵のことではない。
新しいことを始める時には、必ず反対する者がいる。
だが、これらを打ち破ってこそ、偉業を成し遂げることができる。
この姿勢は、現代にも通じるものがある。
投稿元:
レビューを見る
福井藩に天然痘の予防法を広めた町医、笠原良策の物語。何度も当時の人々が、種痘を嫌がる場面が出てくるが、天然痘の膿を植えつけるということは、理解できない恐怖だったことがよくわかる。
主人公の、新しいものも積極的に学び、自分で判断し、良い物を取り入れる姿勢に感服。そして、藩主も正しいものを実行する人物であったことから、この偉業が成し遂げられた。
クライマックスは、京都から福井への雪中行軍。