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「銀河鉄道の夜」、幻の第5稿には、7色のダイヤモンドの在り処を示す暗号が隠されていたという。突如姿を消した妻と子は、そのためにさらわれたのか?妻は父からダイヤの在り処を知らされていたのか?童話作家を目指す中瀬は、誘拐犯よりも先回りする為に、宮沢賢治の童話の謎を探リ始める。
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サブタイトルの「宮沢賢治の迷宮」、に惹かれて買ってしまいました。
鯨さんの作品はいくつか読んでいますが、いずれも「雑学」「薀蓄」系。今回も、宮沢賢治に関する薀蓄満載です。賢治童話の様々な言葉をつなげて、宮沢賢治という人物像を再構築し、更に一つのメッセージへとつなげていく、この「こじつけ」が、ここまで来ると天晴れ!と言う感じなのであります。
ただ、ちょっと浅いかな。『邪馬台国はどこですか』は本当に唸らせるような構築だったのに、残念ですね。そして、あまりにも幼稚なストーリーとキャラクター。ベタ&荒唐無稽。これまで読んだ短編ではなんとか隠せていた小説技術のなさ露呈という感じでした。残念。(この作品は長編1作目で、前に読んだ『北京原人の日』は悪くなかったので、これも一つの足がかりだったのかもしれませんが)
また、さらわれた妻が作中を通して、何の意味もなく、メッセージ性もなく、ひたすら陵辱され続けるというのも・・・。レイプをこのように軽く扱うことに怒りすら覚えます。
口直しに、『邪馬台国はどこですか?』を再読しようかしら・・・。このままだと二度と著者の作品を手に取りたくなくなりそうです。お気に入りの作家さんだったのに。
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テンポはあるのでさくさくとは読めるんだが、こんなもんね、と思ってしまう。でもまぁ、レインボーダイヤはなかなかに夢のある設定でした。
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内容としては楽しめたが、あれほどの性描写の必要性はあったのだろうか。あのような目にあって今後夫婦としてやっていけるの…?そちらにばかり気をとられてしまって、せっかくの謎解きに集中しきれなかった。
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◆ネタバレ満載のため未読の方はご注意ください
『銀河鉄道の夜には幻の第5次原稿があった」みたいなアオリ文句で発売されたときから気になっていた作品。でも5次原稿全然でてこないじゃん。こりゃいくら宣伝としてもちょっとアコギだなあ。
解説で書かれていたが、ハードバイオレンスじゃなくてB級エロの要素もなんだかなーだし全体を通してぜんぜん緊迫感がない。賢治作品の解読もいまひとつ取ってつけたような印象は否めない。児玉が犯人であることも途中でわかっちゃったし(最初だけ登場してその後ぜんぜん出てこなければ、そりゃ消去法ですぐわかるよな)。ダイヤが祠の中に隠してあったというのも最早おいおい…ってかんじ。「春と修羅」の読み(春=性欲)と実はアジトは隣の家の地下だったというのはなるほどと思わなくもなかったが。
おまけにラストもしょぼーん。というわけで、久しぶりに突っ込みどころ満載の作品だった。同じ賢治を題材にしていても夢枕獏の『上弦の月を食べる獅子』とは大違いだった。