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自らの描いた数学教師「坊っちゃん」より、はるかに数学が得意だった漱石。数学が苦手で、士官学校の受験に失敗した二葉亭四迷。父親や社会の偽善を憎むがゆえに数学に没頭した、少年時代のスタンダール。英国の科学・数学偏重の風潮を、ガリヴァーに托して皮肉ったスウィフト――。東西11人の作家と数学、作品と数学にまつわるエピソード集。
※いずれも著名な作家さんたちばかり。数学を通して彼らを見るのも、意外な発見で面白い。
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[ 内容 ]
自らの描いた数学教師「坊っちゃん」より、はるかに数学が得意だった漱石。
数学が苦手で、士官学校の受験に失敗した二葉亭四迷。
父親や社会の偽善を憎むがゆえに数学に没頭した、少年時代のスタンダール。
英国の科学・数学偏重の風潮を、ガリヴァーに托して皮肉ったスウィフト―。
東西11人の作家と数学、作品と数学にまつわるエピソード集。
文学的素養や発想法に着目した、古今の数学者たちについても触れる。
[ 目次 ]
作家と数学
「坊っちゃん」より数学が得意―夏目漱石
試験さえなければ数学は面白い―正岡子規
数学教師は異常性格者―泉鏡花
数学ができなくて士官学校不合格―二葉亭四迷
幾何学で女房教育―石川達三
和算小説の先駆者―新田次郎
日本の古典と計算―井原西鶴
九九を知らなかったイギリス貴族―スウィフト
数学にも偽善がある―スタンダール〔ほか〕
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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夏目漱石、正岡子規、泉鏡花、二葉亭四迷、石川達三、新田次郎、井原西鶴、スウィフト、スタンダール、ポオ、ヴァレリーという作家が取り上げられている。中身を読んでみると、これらの作家が数学を愛していたと言うのは必ずしも事実ではないが、作中で数学に触れているか、数学に関して何らかの意見を言っているかしている作家ばかりである。
この本は雑学の宝庫というのが第一の印象。四六時中という言葉が、4と6の掛け算が24となり24時間中で一日中という意味の語源になっていることは、恥ずかしながら初めて知った。また、「坊っちゃん」の主人公が数学の教師だと言うことも、過去に「坊っちゃん」を読んだことがあるにも関わらず、完全に忘れていた。このように、雑学の知識がつまっている本。
しかしながら、この本の持っているメッセージとして数学教育のあり方のようなものが、所々に語られている。数学という学問は、実社会に適用できるような実用的な学問ではない。数学を学ぶことで論理的思考力を鍛えることはできるか。といったようなテーマである。論理的思考力を鍛えるには小論文を書くことが好ましいという考え方も紹介されている。このような主張を読んでいて、僕自身は数学では、幾何学の補助線の引き方など、ちょっと違う視点から考えてみるという直感力を鍛える事が出来るのかも知れないと思った。
また、ヴァレリーの数学者への警告で上げられている点も興味深い。『日常生活での事柄の多くは不確かな事柄を前提としている。そういう事柄に数学の論法を適用しても良い結果は得られない。数学は確実な前提に基づく推論である。数学の論理を適用する前に、常識的な観点から考えてみることが大切なのである。』ただこの警告にちょっと誤解があるかなと思うのは、ほとんどの数学者は数学の限界を自覚している。実際には数学者以外の人が、数学で解決できない問題を数学に期待することが多いのではないか、と感じた。
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夏目漱石、正岡子規、泉鏡花、二葉亭四迷、石川達三、新田次郎、井原西鶴、スウィフト、スタンダール、ポオ、ヴァレリー。
東西11人の作家とその作品の、数学にまつわるエピソード集。
『数学を愛した』というタイトルには偽りがあるかも。
特に西洋の作家には、数学偏重の風潮に対しての皮肉な視線も目立つように思う。
馴染み深い作家の作品でも、数学というフィルターをかけてみると違った姿が浮かび上がってくるのが面白い。
本で読むより、この先生に数学の講義を受けながら、ちょっとしたエピソードとして語ってもらえると、数学も好きになれるかも知れない。
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本好きな数学の先生が書いた本。
やや散漫だけど、数学という観点から
いろんな作家のことを論じるのは面白い。
わたしも苦手だけど数学は好きだし。
数学は唯一の宇宙的言語だとも思ってる。