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久々の読書で、すごい大作に出会ってしまった。
圧倒的に壮大な世界観。実現しない世界を、読者の頭の中に、こんなにも鮮やかに再現させられるなんて。想像力が掻立てられる文章につられて、どんどんページを捲ってしまう。
この世界を取り巻く環境やシステムが大きく変わっても、変わらない人間達、政治。
自分の信念を信じて、より良い世界の実現のために、時にぼろぼろになりながら、真摯に闘う主人公の生き方に胸が熱くなった。
「彼らは全力で生きた。それで充分じゃないか。」
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新たな地球規模の危機。
皆、それぞれのいる場所で出来る役割を果たして行く。
外交官の青澄をメインに話は進むが、私が心惹かれたのはツェン・タイフォン。
体制の中にいて、高官である兄、海上民や部下を守り、海に生きる。
相棒であった人口知能のマキが、遠く離れた場所から言う最後の言葉が、すべてだと思う。
「彼らは全力で生きた。それで充分じゃないか」
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こりゃすごい。びっくりです。SFをあんまり読まないのでよくわからないんですが、こんな本格的なSFを書ける女性作家って、いま他にいるんだろうか。
ショコラティエの話を書いてる人っていうイメージでした。
もう気を抜いたら置いて行かれそうなくらい、読むのにも集中力がいる。全部読むのにかなり時間がかかってしまった。
でも、ページを開けば一瞬で別世界に連れて行ってくれる牽引力はハンパないです。
専門的な科学的知識(たぶん)に基づいて描かれた近未来は、ぜんぜん見たことのない独特の世界。
「魚舟」とか「袋人」とか、よくこんなおかしなものを思いつくなあ、っていうのがまずひとつ。イマジネーションの力ってすごい、と純粋に感動しつつ作者の作り出す世界に浸れます。
環境が変わった自然界に生まれた奇妙な生命体たちが描かれるいっぽうで、それとは真逆の、人間の技術で生み出したコンピューターたちの世界も描かれます。
人間のサポートをするアシスタント知性体っていうのが登場するんですが、これがちょっとスタンドっぽい、ポケモンっぽい。かっこいい。ほしい。
でもって、全体としてはスケールの大きな地球規模の異変を描いてるのに、官僚同士の権力争いとか、理解のない上司の下で身動きとれないとか、些末で人間的な小競り合いの描き方もあるあるすぎて絶妙。
過去のトラウマを抱えつつ理想のために死にもの狂いで動く外交官の主人公・青澄や、海で生きる伝説の女性・ツキソメなどのキャラクターたちもそれぞれの立場でしっかり信念を持っていて魅力的です。
要するにどの角度から読んでも面白い、死角がない、すんごくよくできた物語なんです。
壮大な地球の物語、最後に残されたのはほんの小さな希望。
生き物はどんな形であれ、生まれたからには生き抜こうとする権利がある。
行きつくそのテーマに大きく頷いて、読了。
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いまを生きる世界から少しあと、もしくはかなりあとに起こりうるかもしれないテンペスト。異形の者たちが生き生きと(殺伐と)暮らす世界で、それでも外交官や海の生き物など現実世界の香りが残っているのがとてもいい。
練りこまれた物語に引き摺り込まれたらあっというまでした。
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今回も腹の探り合い・ドロドロした自分たちだけ精神とかの駆け引きにへとへと。
よく分からない読後・・・。
何とか読み終わってよかった・・・。
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テンポよく、最後まで面白く読めた。
ラストの台詞はあとがきによると物議をかもしたように見受けられるが、それができる精一杯なのだと私は腑に落ちた。
ツキソメやタイフォンといった魅力的な人物をはじめ、設定も豊富に盛り込まれておりこれで何冊も書けるんじゃないか、というところを惜しみなく詰め込んでいて、でも個人の人生すべてには言及しないために、主役が全体(群像劇ということではない)であることが見えやすくなっているのかもしれない。ミドルネームもほとんど説明がないので、唐突に話題に出てくる感じがするが、あまり触れないのは他者との関係構築の形を限定しないためなのだろうか。
何にせよ久しぶりに面白い本を読んだ!関連作品もぜひ読みたい。
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そうきたか、さすがSF!とわくわくした。
普段の日常生活で思い通りにならないことが多いせいか、ファンタジーやらSFやらで「スペシャルスキル(魔法とかSF的アイテム)」で問題 を解決することにあこがれを抱きがちだけれど、この話で書かれているのは、ほんとに地味な交渉ごと。けれども、大きな力での解決を「暴力」と し、粘り強く交渉を行う姿は尊い。うわーってなる。
アシスタント知性体ちょう萌える。
アンドロイド萌えの人におすすめする。
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頭脳への介入とか
サポートする知性体とか
進化(?)する生命とか
未来がこんなんだったら
いやだなぁ…
海中生物になる人類はやりすぎ…
こわい
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壮大な設定の中で、個人的な視点から書かれている。それでいて、やはり世界の広さを感じさせる。読み終えるのに随分時間を掛けてしまったが、最後まで読みたい、という気持ちは無くならなかった。幕切れも、すべてを語り尽くさず、良い意味で読者が想いを馳せる余地を残している。面白かった。
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ヒトの遺伝子情報がどれだけの割合で残っていたらヒトと言えるのだろうか。見た目がまるで違ったら、それはもう別種の生物としか言えない気がする。この地球が再び息を吹き返した時、そこに住まうものは全く新しい生物だろう。
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アシスタントの扱いがいまいち。主人公に介入するタイミングが都合良すぎてな。どうせなら「出来ると思ったんで放っておきました(にっこり」ぐらい皮肉を言い合える関係で描いて欲しかった。
あとツキソメと青澄の関係がちょっと淡白すぎる。
お互いの過去や、勢力関係を描くのに手一杯で、今現在動いている人間同士のやり取りが少ないなあと感じた。
淡々と感じるのは青澄さんが冷静沈着なせいかな?綺麗な子だから口説いてしまえ!ぐらいのお茶目さがあれば華があったんだが。
こういう危機的状況が起こり、それに応じてどのようになるか、という仮説を見る視点ではおもしろい話だったかも。
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極限の状況下において、何をなそうとしたか、生き様ともいえるもの貴さが描かれた作品。物語中で何かが解決したわけでもなく、結末も決してハッピーエンドではないが、清々しい読後感にひたれた。
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アシスタントの扱いがいまいち。主人公に介入するタイミングが都合良すぎてな。どうせなら「出来ると思ったんで放っておきました(にっこり」ぐらい皮肉を言い合える関係で描いて欲しかった。
あとツキソメと青澄の関係がちょっと淡白すぎる。
お互いの過去や、勢力関係を描くのに手一杯で、今現在動いている人間同士のやり取りが少ないなあと感じた。
淡々と感じるのは青澄さんが冷静沈着なせいかな?綺麗な子だから口説いてしまえ!ぐらいのお茶目さがあれば華があったんだが。
こういう危機的状況が起こり、それに応じてどのようになるか、という仮説を見る視点ではおもしろい話だったかも。
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『交渉というのは価値観の異なる他者との対話だ。だから、ときにはまったく解決がつかない場合もある。どこまでいっても平行線にしか見えないことも……。
けれども、それに対して知恵を絞り、言葉を絞り、体力を絞って、両者が進むべき道を模索しなさい。その行為は、人間が最も知的である瞬間なんだよ。
たとえその場で、どれほど乱暴な、どれほど感情的な言葉が飛び交ったとしても、最後まで決してあきらめるな。間接的な効かせ方とはいえ、言葉は暴力を止められることもある。それを忘れてはいけない。』
人類滅亡が迫る中、言葉の力だけで平等で人々が安心できる社会を築こうとする青澄の行動原理に共感はできないけれども、共感できないからこそ物語が面白くなっているのですごく良かった。
人間の複雑な感情が織りなす物語をAIの視点で描いているところが秀逸。そのAIにこそ感情移入してしまう不思議な作品。
人類滅亡が始まるまでの40年間を描いた続編も読みたい!
久しぶりのSFだったけど、素敵な作品だったなぁ。
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スミマセンm(_ _)m なんか時間つぶし的な気持ちで読み始めましたが、なめてました。心から謝りたいです。素晴らしかったです。出逢いに感謝したいです。科学的な部分で理解が充分でなかったところも多々ありますが、人類の存亡をかけてのあらゆる駆け引きというか水面下での駆け引き。面白かった。私には無理だけど。最後の終わり方も良かったですし。「深紅の碑文」も読みます!