紙の本
謎解きと
2018/11/11 18:17
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投稿者:ケロン - この投稿者のレビュー一覧を見る
謎解きとロマンスという定番な内容だけど、処刑人の父を持つ娘という特殊な状況で、厚みが出ていました。
人間関係や、閉鎖的な村、迷信などを絡めて読み応えもありました。
紙の本
稗史ミステリー
2016/12/25 19:55
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投稿者:kobugi - この投稿者のレビュー一覧を見る
時代性を活かした作品。医学がまだ確立されていない頃、産婆が医師的役割を担っていた。噂や憶測が招いた魔女狩りの恐怖を体験した人々が、迷信から抜けられず、一方、そんな群衆心理を政治に利用する試みも。科学捜査の証拠主義に飽きた時、手にしたい1冊。噂など人の心の負の部分が殺人を合法化していく。現代のハラスメントにもつながるのでは、そんな思いを抱きつつ読了。
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投稿者:ぽぽ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドイツの作品はあんまり読んだことがなかったので、どんな感じかなと不安でしたが読み始めると設定も楽しく、よかった。
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中世ドイツを背景に、一風変わった舞台装置の中で繰り広げられる、正統派冒険ミステリ
1659年、ドイツ・アウグスブルグに近い街、ショーンガウ。
戦争の傷跡が癒えかけた街で、子どもが殺される。遺体に奇妙な印があったことから、魔女の仕業だと街中が大騒ぎになり、魔女として産婆が捕えられる。
だが、街の首斬り人、クィズルはどうしても産婆の仕業とは思えない。
産婆が捕縛されているにも関わらず、殺人は続く。だが、街の有力者は魔女である産婆が悪魔を使って罪を犯したと言い張る。
首斬り人、そしてその聡明な娘であるマグダレーナ、マグダレーナに恋する若き医師ジーモンの3人は、産婆の無実をはらすべく、独自の調査を開始する。
制限時間は、街の支配者である選帝侯の執事が到着して、産婆の処刑が命じられるまで。
街の孤児たち、傭兵、廃墟、隠された財宝、施療院、拷問、魔女、悪魔。
魅惑的なキーワードを綺羅星のごとくちりばめつつ、物語は、480ページ・二段組のボリュームを疾風怒濤のように駆け抜ける。
ところどころ展開の荒さが感じられないではないが、非常におもしろい作品である。
粗を補って余りあるのは、背景となっている中世ショーンガウの街や生活の描写だろう。
首斬り人や医師という職業がどのようなものであったのか。魔女狩りはどのように行われ、どのような人が犠牲となったのか。また、街というものはどのように治められていたのか。
もちろん、物語であり、学術書ではないので、細部に誤りなどはあるのだろう。だが、この世界で、生き生きと活躍している登場人物たちは、血肉の通った魅力的な人々であり、歴史小説を読む醍醐味を十分に味わわせてくれる。
自身の祖先について語る、作者あとがきもまた読み応えがある。
「首斬り人の娘」シリーズは、本作を合わせ、4部作とのこと。続編の翻訳も待ちたいところだ。
*本作のタイトルロールは「首斬り人の娘」、マグダレーナであるのだが。彼女もかなり魅力的に描かれ、かつ活躍もしているとはいえ、この物語は、どちらかといえば、「首斬り人」自身の物語であると思う。
なお、原題は、「Die Henkerstochter」。Dieは女性名詞につく定冠詞で、Henker = hangman、Tochter = daughterであるようだ。Henkerはどちらかといえば「(首)吊り人」だと思われるが、訳者あとがきによれば、Henkerと、本来、首斬り人を指すScharfrichterとは、16世紀以降、ほぼ同義に用いられているとのこと。
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処刑吏が探偵役というめずらしさがまず好み。
そしてこの人やたら物知りで頭がいい。
時間がないという焦りからのスピード感があるのでイッキに読めました。
拷問シーンや処刑シーンがちょっとグロいので、そういうのがダメな人にはおススメできませんが、おもしろかったです。
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17世紀。ドイツ南部の街シェーンガウで子供が殺された。遺体にあった奇妙なマークから、産婆のマルタがその犯人として疑われ、「魔女」として裁かれることに。
首斬り人(処刑吏)のクィズルは彼女の無実を確信するが、かつての「魔女狩り」の悪夢を繰り返さないよう、マルタの自白を引き出すよう法廷書記官たちに命じられる。
後に続く、第二・第三の子殺しと里子の失踪事件も獄中からマルタが悪魔に指示したとされ、いきり立つ群衆は彼女を火あぶりに処すよう望み・・・
クィズルとその娘マクダレーナ、彼女に恋する医者のジーモンは真犯人探しを始めるのだが・・・
血に穢れた職業として人々に忌み嫌われる首斬り人が、当時の大学出の医者(埃にまみれた知識しかない)よりはるかに医療に詳しく、薬草や毒草の扱いを熟知していたり、人々が迷信じみたことを本気で信じているなど、ちょうど先日読んだ「世にも奇妙な人体実験の歴史」にリンクする部分もあり、なおさら興味深く読んだ。
ジーモンも最初は軽薄な洒落者っぽいのが次第に変化してきて良いですね。フランスの処刑吏モノの「イノサン」も売れているみたいだし、歴史ミステリとしても読み応えあり。
ただ、ドイツが舞台のせいかアルトバイエルンみたいな名前の人物が多くてややこしかった。
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ドイツの17世紀の小さな街の「魔女」騒ぎ、その事件を調査する、処刑人、新米医者〜 処刑人の娘のマグダレーネが良い味を出しています。ドイツ語の原作を英語に翻訳して話題になった本だそうです。最初の方は少しだれる感じがしますが、その後の犯人たちとの対決は面白いですよ。17世紀のドイツの小さな街の生活を描いているところも珍しい作品ですね〜ミ(`w´彡)
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あまり馴染みのないドイツミステリ。
翻訳待ちの同シリーズがあと 3 本あるらしい。
多分読むだろうな。
面白かった。
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面白かった。
首斬り人の苦悩や、
人情味あふれるところとか、
医薬の知識の豊富さとかが、
なんだかいろいろよかった。
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珍しいドイツの歴史もの。
とても気に入りました。
1659年、ドイツ南部バイエルンの小さな町ショーンガウ。
子供が殺され、遺体にあった奇妙なマークのため、魔女の仕業かと疑われる。
産婆のマルタが投獄され、町の為政者たちは、問題をてっとり早く片付けようとする。
事件が長引けば、遠くの本拠地にいる領主らが大挙して訪れ、その滞在費を町の有力者達が負担することになるのだ。
町の首斬り人クィズルは拷問を担当するのだが、マルタの無実を信じ、手立てを工夫しようとする。
クィズルの娘マクダレーナに惹かれている新米の医者ジーモンは、クィズルを尊敬していて、犯人探しに協力することになる。
首斬り人は、まともな職業とは思われず、人は避けて通る存在で、家も町外れの城壁の下にある。
マクダレーナは美貌で生き生きした娘だが、その美しささえ悪魔と取引したと噂される始末。ジーモンとは身分違いで、悪くすれば彼女が晒し台にかけられる危険さえあった。
実際にはクィズルは安く医療を施すのが日常の仕事で、町でも指折りの知識人だったのだが。
最後の宗教戦争といわれた三十年戦争でドイツ全土が荒廃し、それから10年たっても町にはまだ傷跡が残っていた。
そして、70年前には、ショーンガウでは魔女狩りの嵐が吹き荒れたことがある。
戦争に行った経験のあるクィズルは、決して魔女狩りを繰り返してはいけないと動くのだった。
大柄で冷静で知識豊富で勇気もあるクィズルがなんといってもカッコイイ。
当時の独特な政治体制や、人々の偏見、遅れている医療などの重い状況と、若い世代の住民のおしゃれな格好や、走り回る子供達の活躍など、いきいきと描かれています。
荒々しい雰囲気もありつつ、危機を乗り越える冒険が上手くできていて、わくわくするような展開に。
作者の祖母がクィズル家の出で、祖母の従兄弟が膨大な資料を集めていたそう。
クィズルとマクダレーナは実在。この物語のような詳しいことがわかっているわけではないのでしょうが。
愛のこもった綿密な描写と構成で重厚さを出しつつ、楽しめる読み物になっています。
4部作だそうなので、続きが楽しみ!
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17世紀ドイツのとある村で起きた児童連続殺人事件をその村の首斬り役が謎を解いていくという話。主人公の職業が首斬り役ということと、まだ魔女狩りが日常としてあったという設定が斬新。ただ、あえてなのか翻訳の漢字が難しくて・・・。ちょっとそこに苦心しました。
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田舎町の人々が、子どもを失った悲しみと怒りや、正体のわからない殺人犯への恐怖から、無実の産婆を魔女として吊るし上げていく。産婆一人の犠牲で混乱が収まるならと、事実から目を背けようとする執政者。そんな中、唯一冷静に真実を探ろうとしたのが、処刑人というある意味特別な立場の父娘。
得体の知れないものへの恐怖のせいで無実の女性を魔女と決めつけ、無知ゆえの残忍さで彼女の処刑を求める人々の姿は、愚かに思えるけれども、実際に自分が同じ立場だったら、多数派側に流れないとは言い切れない怖さがあります。
むしろ処刑人クィズルのように、どこまでも理性を貫くという方が難しいのでは。
子どもたちを狙った連続殺人事件の謎解きをしつつ、人間の本質をあらゆる面から描いているように思います。
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本書は著者のデビュー作で、処刑人一族だった著者の先祖をテーマにした歴史ミステリーです。
本国ドイツでは本書をシリーズ1作目とした全4巻が刊行済みとの事ですが、(訳者の後書きによれば)本書がヒット作になるのにアマゾンとその電子書籍サービスkindleの力が大きく影響を与えたとの事で、著者は時代の流れにうまく乗った小説家の一人と言えるでしょう。
では前置きはこの位にして以下であらすじをご紹介。
かつて行われた戦争の後遺症に今も苦しむショーンガウという小さな街。
この街で子供たちを狙った殺人事件が起こる。
遺体に魔女の刻印が施されていた事で、魔女と見られた産婆が獄につながれる。
彼女の無罪を信じる処刑人兼拷問役人のクィズルは、なんとか彼女を救おうとするが・・・
戦争の傷跡に苦しむ街の様子や隣り街との交易をめぐる争い。
処刑人を忌み嫌いつつも、その博識により彼の作る薬を求める街の人々。
正式な街の医者の息子と処刑人の娘の許されざる恋。
裁判のためショーンガウにやって来る伯爵がもたらす危険がある、誰かれ構わず魔女として火あぶりにされると言う災禍を恐れる有力者達。
これらが主人公たちによる真相究明と絡み合い、本書に複雑さをもたらしています。
主人公の処刑人が街の人々の反感にも関わらず、産婆を救おうとするなどちょっとありえない感じのするストーリーではありましたが、その分、安心して読める内容でもあります。
本書を例えるならば、赤川次郎さんの小説を長く、そして様々な設定を追加して複雑化した後、それに歴史風味を追加したと言った感じになるのでしょうか。
"重い"小説をお読みになられたい方には甘すぎる小説かも知れませんが、ディズニー映画等がお好きな方にはお勧めではないかと思います。
興味をお感じになられれば、一読されてみては如何でしょうか。
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久し振りに深夜まで没頭し、一気読み!
舞台はドイツ、暗黒の中世からは抜け出したものの、まだ魔女狩りの記憶が生々しく残る時代。
首切り人=処刑人という主人公の設定が斬新、背景として当時の様子が詳しく描写され、興味深かったです。
最高に面白かった、続編に強く期待しています♪
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翻訳の所為なのか、話の内容は陰惨なのに、随分明るい印象の本だった。
妄信の愚かさ恐ろしさ、事を簡単に済ませる為に冤罪と分かっている者を処刑しようとする権力者、時代が時代だから仕方がないと頭で理解していても、やっぱり嫌悪が抑えられない。
同じ名前の登場人物が何人もいたけれど、当時は名前の種類があんまり多くなかったのだろうか。