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眠れる美女:異様でいて静かな世界。狂気と欲望と美しさ。温度と匂いが伝わってくる。
片腕:なんだか星新一みたいだなーと思ってしまった。考えてはいけない。こちらも不思議で官能的。
散りぬるを:主人公が既にいない、というアンバランスな中で進んでいく奇怪さ。
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「眠れる美女」「片腕」「散りぬるを」所収。解説三島由紀夫。「眠れる美女」川端の性への妄執と美意識、デカダンスでものすごく濃密。「片腕」はSFのような浮遊感を同時に兼ね備えている。やはり天才です。
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『すでに男ではなくなった老人たち』
柔らかく表現しているが、
要するに、勃起しなくなった老人たちなわけで、
そうなっても尚、裸の女の側で一夜を過ごすことを望み、
それが可能となる怪しい館に通いつめる。
文章は美しい。
直接的な描写を使わずに、ここまで変態性を表現するとは!
三島由紀夫が解説を書いてるってとこも素敵。
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単に気持ち悪ーいお話ですが、女性の描写は相当なものです。
舐めるようにして女性を見つめていたらしいと聞いたことがありますが、
これを読むと少し納得。私的には、爽快感の伴う「古都」のがおススメ!
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『眠れる美女』『片腕』『散りぬるを』収録。
『眠れる美女』は、「波の音高い海辺の宿は、すでに男ではなくなった老人たちのための逸楽の館であった。真紅のビロードのカーテンをめぐらせた一室に、前後不覚に眠らされた裸形の若い女――その傍らで一夜を過す老人の眼は、みずみずしい娘の肉体を透して、訪れつつある死の相を凝視している。熟れすぎた果実の腐臭に似た芳香を放つデカダンス文学の名作」(作品紹介より)。
宿の女将の妖しさや宿の不思議さ、老いることの醜さ哀しさに、少女のみずみずしさが際立っていた。
眠っている少女達の個性が豊か。
あやうくて不思議な世界に、思わず惹きこまれてしまいました。
『片腕』は、女の片腕を借りて帰った男性が過ごした一夜の話。
他人の腕に見られる恥ずかしさ、腕との会話、自分の腕と付け替えた時の衝撃、他人の血の流れこみ混じりあう感覚、眠りと目覚め。
不思議な感覚でした。
『散りぬるを』は、いずれ愛人にしようと思っていた二人の娘を殺された男の回顧談。
顔見知りの若い男、山辺三郎に殺された滝子と蔦子。
最初は冗談のつもりだったが、強盗のふりをして驚かそうとした拍子に、三郎の持ったナイフが滝子の胸を突いてしまった。さらに三郎は、滝子の隣で寝ていた蔦子を絞殺。裁判で無期懲役を宣告されて獄死した。
男には、訴訟記録によると滝子も蔦子も三郎を疑ったり抗ったりした様子が全くないのは不思議で、あり得ないように思える。
だが、その死のあり得なさがかえって二人の面影を生き生きとさせる。
その感覚が印象的でした。
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恥ずかしながら、川端康成の作品を読んだのはこれがはじめてで。
眠れる美女、片腕の2作は衝撃的。なんとなく、昔の本、堅そう、面白くなさそうと思っていたのがバカみたい。一読の価値あり。
村上春樹の表現がどことなく川端康成に通じる気がしたのだけど、僕だけだろうか?
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川端康成の小説ちゃんと読んだの初めてだった。(教科書を除いて)
眠れる美女は、眠らされた裸の美女の隣で老人が眠る話。すごく簡単に言うと。
でもこんな話書こう、と思うのはきっと川端さんしかいなかったと思う。
片腕も印象深い。日本語が美しい。でも重苦しい…。
09’10’21
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友達が「変態な本を見つけた」といって紹介してくれたのがコレ。
やなぎみわの写真展で表題作をモチーフにしたであろう作品を見た。
ああ、超一流のインスピレーションの源はここなんだ。
表題作ももちろん良いけど、おじさんが片腕を一晩借りる話もオススメ。自分説明下手すぎてびっくりしたけど、本当にこんな話。
艶かしいわねえ。なんだか匂ってきそうだ、ぷんぷんと。
表現力の次元でなく、もっと根本的な感受性の面で、時代性なのかなんなのか。本当に、今は亡き愛すべき作家たちは、どうしてあと100年生きてくれなかったの。
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川端文学=変態爺の妄想文
というイメージが固まって不動のものとなったのがこれのせい。
いやーマジで不快!
よくもここまで不快な話が書けるよね!
そういう意味で天才。
ノーベル文学賞って、性描写をフェチっぽく書ける人にあげる賞なんですか?
『雪国』もなんであんな評価されてるのか分からない…浮気男のどうしようもない話なんじゃないの…?
じじいが悶々とするシーンは、パチンコ雑誌のエロ小説レベルだと思います。気持ち悪い。
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後世の作家に多大な影響を与えているようです。
いろいろなところで片鱗に出会います。
ガルシア・マルケスとか吉本ばななとか。
自分もあのお店に行ってみたい。
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今風に言うと一種の風俗店となるのだろうか、深く寝入って決して起きることのない裸の若い女性のそばで老人の男が寝るという、ある意味でものすごく変態な話。
今回読んだ川端の長編のなかでも、いちばんエロい。
しかし、死を前にした老いとみずみずしい若さとを対比するのに、この設定以上のものがあるだろうか。
この小説についてはかなり激しい否定をしている人もいるようだが、僕は大好きだな。
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おそらく社会的に成功したであろう老齢の男性たちが、薬によって死んだように眠らされた一糸まとわぬ美しいきむすめと一晩をともに眠るための隠れ家が舞台。
全体的に、何とも言えないエロい雰囲気が漂っている。
江口は自分のことを男性としてまだ不能ではないと描かれているが、作中ではことにおよんでないので、もしかしたらこれはそうでありたいという切実な思いのみで実際は違うのではないだろうか?
この作品を読み返してみて、処女は特別なエネルギーを秘めた存在として描かれていることを改めて実感した。
息はしていても、まるで死んだかのように眠らされている少女。
何を行っても絶対に抵抗することもなく、首を絞めようと思えば簡単に締められるだろうという江口の夢想も何度も出てくる。
ここに通う老人たちは、過去の自分の女性遍歴を思い出すために通い詰めるのではなく、秘かにネクロフィリア的な嗜好を持ち合わせているのだろうか?
いずれにしよ、虚無感を感じるが素晴らしいと思う。
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2010年7月4日 読了。
とある課題のために読むことになった川端康成の作品。
たぶん官能的というわけではないけど、変態な香りが……他人の評価はどうであれ、少なくとも自分の好みではない。
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中編短編3作入り。
表題の「眠れる美女」は何とも表現しがたい中毒性がある。
わたしも若い女性の端くれなのに何度も読んでしまう。
性そのものが生なのか。
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計六人の眠っているだけの女を執拗に描写するところが凄い。それに関係して、女の想い出を挿入してくるのが、主人公の老人の悲哀を加速させる。老いることの恐ろしさと、男でなくなることの恐ろしさが花や風景や音で丁寧に表現されている。 自ら死ぬことを抑制され、老いさらばえた後には、「自殺するよりももっとさびしい時」があるのだそうだ。上手く生きていったところで、罪悪感に苛まれると。 「老人どもはひざまずいて拝む仏をおそらく持っていない。はだかの美女にひしと抱きついて、冷たい涙を流し、よよと泣きくずれ、わめいたところで、娘は知りもしないし、決して目覚めはしないのである」(眠れる美女/川端康成)