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紙の本
自分な中にいる加害者
2005/07/23 19:03
7人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:de_chocolat - この投稿者のレビュー一覧を見る
最悪です。特に三分の二くらいまでは。その後はどうだろう。もちろん虐待その他はむちゃくちゃになってくるんだが、同時に読んでいて冷静にもなります。この図式〈暴力への憧れ+性的なものを内包しながら、それを安易に提供しない存在への怒り→暴力への正当性〉て、わりと日常にもあるじゃんねぇ、な気持ちになってくるからです。自分が痛いわけではないわけだし『あんなもったいぶった奴はやられちまえばいい』という感情(主人公サイド)は、わりと見覚えがあるものだし(というかそっちの方が怖い感情だと思いました。主人公の最初は少女に好感を持つが、彼女の裸を見たいという好奇心が満足できなかった時に、彼女に反感を抱いてしまうシーン。実はここが一一番怖かった)、子供が『大人には取るに足らないもの』という自覚のもとでつまらない思いをしているので『一人前扱いしてくれる大人はいいやつ』と(特にそれが親友のママなら)繰り広げられる異常な行為に共感めいたものでもって〈ゲーム〉と呼んでしまうこともわかるさそりゃ、な。でもそれが小説であるなら、どこかにもっと救いはあっていいはずだし、途中どこまで酷いことになっても最後にはなぁ、絶対なぁ、という希望を持って読んでしまうのは無理からぬことよだと思う。そうだよね(涙)。
これは一人の少女が同じ年頃の複数の少年たちに虐待を受ける(リーダーがその子供たちの母親であるというのはある意味興味深いですが)というお話ではあるのだけども、これはもっと他の図式、たとえばこの瞬間にも虐殺を受けている民族と、『自分はそれを知っているけども、直接手を下しているわけではないから自分は罪を犯しているわけではない。また虐殺されている方にもそれなりの原因はあるはず』と、平気でご飯を食べている例えば平和な国々(両親が離婚寸前であってもなお、子供の自分は愛されていると自覚できる家庭)とたとえれば、今現在この瞬間にもどこにでもある風景と見られれるのじゃないだろうか。読後感が最悪で読んでる間もむかむかするのは、決してその虐待そのものではなく、それを見ている主人公の目線(=自分)だと言う気がする。
紙の本
恐怖だけではなかった読後
2001/09/22 01:06
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:こふきいも - この投稿者のレビュー一覧を見る
冒頭の記述者による苦痛とはなにかうんぬんにはじまり、少女の死に至るまで残虐尽くしなこの物語り。前触れも、内容も、その結末も、どこを見ても、取っても、救いとか希望とか癒しなどという連想はみじんもない。でもその中にあって、それだけではない何かがあるようにも思う。そう思わせられるのがこの小説の、魅力といってはこの悲惨な物語には語弊かもしれないが、いやたしかに魅力なのだ。ケッチャムという男は偉大な作家である。随所に見られる緊張感、涙なしには決して読めないどこからわいたか知れない高揚で読者を巧みに導く筆力に圧倒されるとき、彼の優れた才能に舌を巻く。この作品はただの恐怖小説などではない。この作品が読者にもたらすものは、閉じられた世界の恐怖ばかりでなく、恐怖でもって開かれる人間の生の感情の方にあり、それをつむぐケッチャムが意図するのは恐怖の連鎖ではなしに、そこかしこにばらまかれた不思議な感情の粒、そのひそかな作用ではなかろうか、とさえ思わせる。一読を薦める。
紙の本
何もしない罪
2001/06/03 00:00
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投稿者:どぶねずみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
隣家の少女の虐待に、傍観を決め込む少年に自分を見てしまう。少年が傍観者も同罪だと気がつくまでに、読み進めるのが辛いほどの凄惨な描写が続く。怖いというより、気持ち悪いホラー小説。
紙の本
ノンフィクションとは思えない残酷さ
2019/01/03 23:11
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くるまえび - この投稿者のレビュー一覧を見る
この話が現実で起こったとは到底思えませんでした。それ程この本の内容は陰鬱で陰惨です。道徳観念が欠けた登場人物達の中で善良な主人公の心情が複雑に変化していきますが、その過程が私にとってはもどかしく感じました。
紙の本
思っていた話と違ったが…
2017/10/13 00:14
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投稿者:神林 - この投稿者のレビュー一覧を見る
いきなり意地悪い展開になるのかと思っていたが、最初はなかなかなごやかな雰囲気。ただここからじわじわと壊れていく様は見ていて胸がむかむかする。後味は悪いが救いが全くないわけではなかったのですこし消化不良ではあった。
電子書籍
面白いが
2016/01/11 18:16
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投稿者:猫目太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
隣で何が起きているかわからない。わかったところで何が出来るか。心に引っかかる物が残る。読後「面白いが読者を選ぶ」と人に進めようか迷う。
紙の本
読後感最悪
2015/01/26 18:11
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投稿者:もも - この投稿者のレビュー一覧を見る
読後感最悪という帯に惹かれました。
なんだかなんだか、読むのが辛いお話でした。
実際にあった事件だとか?
それを知ってさらにムカムカ、、、。
日本でも同じような事件があったので
やっぱり読後感は悪かったです。
実話をもとにして、こういうお話をつくることで
このような酷いことに嫌悪感を抱く人が増えて
このような犯罪が起こらないようになるといいです。
紙の本
苦悩のナイフ
2003/12/22 03:59
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投稿者:紺乃卓海 - この投稿者のレビュー一覧を見る
健康的な体、ふくらみ始めた胸を持つ少女と
主人公少年の出会いは美しく描写されている。
晴れた日の川辺
その穏やかな物語の始まりが
「隣の家」に入り込むはめになってしまった
少女のむごたらしき日々のなかに夢のように現れては消える
希望の切なさを助長している。
主人公の少女に対する思いと、行動の伴わない葛藤は
狭いコミューンの中で生活している人々の持つある種の
冷たさ、だらしなくもたれあう姿をも描写している。
コミューンの中に一滴しずくが落ちる。波紋が広がる。ゆるやかに。
そのゆるやかで残虐極まりない時間、出来事は詳細に書かれているので
脳に焼きつくイメージは相当グロテスクなものになる。
それは筆者と訳者のうまさだと思う。
狭く穏やかな輪のなかで、隣の家で何かが起こっている。
知ってしまった少年の苦悩は自ら手を下し残酷な仕打ちをしたものより
深く、突き刺さる。
少年は大人になりこの物語を語り始めた。
大人になってもまだ生々しく突き刺さっている苦悩のナイフを
どうにもできないでいる。
隣の家の少女は
見て見ぬ振りをしてこなかったかと問いかけてくる、読者に。
そして、苦悩のナイフに気づくか気づかぬかは
多分読者それぞれの生き様に依っている。
と、思わせられた一冊だった。