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アテのない旅したいね
2020/01/11 07:22
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しんごろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
精神病棟から男女2人が脱走して逃走する話。博多からどんどん鹿児島まで南下。それまでの過程がめちゃくちゃ。こんなことやあんなことして、コラコラとツッコミながら楽しく読めた。ラストはちょっと切ないけど、どこかずれてて噛みあってない。恋には発展しないかもしれないけど、2人には奇妙な絆が生まれたように思えた。花ちゃん、なごやんも病気が治るといいね。
絲山流ロードムービー 『逃亡くそたわけ』
2010/04/02 19:51
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:惠。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
絲山作品(文庫)を全て読もうと決めたのだけれど、本書にはなかなか手が伸びなかった。「精神病院」に「自殺未遂」に「逃亡」…裏表紙を読むだけでいやーな重さを感じてしまう。だけど…意を決して読んでみた(おおげさ)。
そうしたらっ!!!
軽いのなんのってーっ!!!!
いや、軽いという表現はおかしい、な。思っていたよりずいぶん軽いといいたいわけだから…「重すぎずサクサク読める」がより正確だ。
自殺未遂が見つかって精神病院に入れられた「あたし」は入院仲間の「などやん(24歳男性)」を誘って、彼の車で逃亡の旅に出る。福岡、大分、別府、阿蘇、宮崎、鹿児島、指宿…ふたりは各地を転々としながら逃げ進む。車内はふたりきり。入院仲間という関係性しかないふたりは衝突し、けんかし、仲直りし、時には車が調子を崩したりして、ひたすら逃げる。
これはロードムービーだな、うん。(と思ったら、映画化されているようです)
本書に登場する人物はとても少ない。ほぼ全編車での逃亡劇なので、登場する会話のほとんどが「あたし」となごやんのものだ。
名古屋生まれで東京コンプレックスのなごやん。
福岡生まれの福岡育ちのあたし。
見舞いにきた親とも会話を標準語で押し通すなごやん。と、博多弁全開のあたし。この対比が楽しい。
このなごやんがまた、めちゃくちゃいい人なのだ。はじめは頼りない男だなぁ…と思っていたのだけれど、作品の終わり頃には大好きになった。絲山さんの描く「ヒト」って、なんだか好きだなぁ。
亜麻布二十エレは上衣一着に値する。おかしな二人の九州縦断癒しの旅。
2007/11/30 22:44
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よし - この投稿者のレビュー一覧を見る
「亜麻布二十エレは上衣一着に値する」この幻聴が聞こえてくると、おかしくなる。プリズン(病院)を脱出。入院ン仲間のなごやんと逃亡を謀る。何もないふたりが行き着いたところとは…
病院から逃亡を図り、逃げるというロードノべルです。
この作品の博多弁が軽快で楽しくなる。
行く先々でのふたりの行動が愉快で、笑ってしまいます。特に阿蘇山は最高です。
しかし、肝心の二人なぜ病んでいったのか。なぜ不可思議な幻聴に悩まされるのかが、不明なままで終わるので、消化不良ぎみ。
不満はあるが、作品自体は面白い。
余談ですが、わたし「亜麻布二十エレは上衣一着に値する」って何か知ってました。
聞いたことがあるなーと考えていたらやはりそう。
この作品は直木賞候補作だったのですが、その時は落選。
落選の理由は、逃亡する二人の病理が描かれていないことだそうだ。
確かにそのとおりだと思う。もう少し掘り下げて書いて欲しかった作品です。
しかし、その後、「沖で待つ」で芥川賞を受賞。
何とも不思議な独特の文章が持ち味ですね。
病んでいる二人の少し、ちょっと変わった逃亡記を読んでみてください。
とにかく面白い作品かなー。深くは考えないで読まれることをお薦めします。
九州縦断癒しの旅に、どうぞ。