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考えてみれば、自分より若い作家さんがずいぶんと増えました。
先頃いろいろあった芥川賞受賞者もうんと若い方々でした。
若い作家さんの存在は知っていますが、めったに手に取ろうとは思いません。
頭が固いというのか、柔軟性が無いというのか、はたまた意固地なだけなのか、自分でもわかりませんが、自分にはあわない。と決めつけているようなところがあります。
今回の 絲山さんもそのひとりです。「ふっと手にとってしまったんです」ね~~ 題名に惹かれたんですかね。
内容が濃いのか薄いのか、私はじっくり読み込む方ではないので、読了後、さあ考えてください。というような本はちょっと苦手でして、それでどうなんですか?とこちらが問いたいでした。
やたらと出てくる、言葉をのばす「う」の変わりに使われている「―」。何かの効果をねらっているのでしょーがひじょーに目障りでした。
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最近読んだ『ニート』のなかの短編、『愛なんていらねー』の続編、『不愉快な本の続編』。
「たびの人」、乾の物語。『愛なんていらねー』では成田さん目線だったけど、こちらは乾目線。いろいろありながら、淡々としてる乾の感じが良かった。流石絲山さんだなー。好き。
章ごとに居場所が変遷してくんだけどそれをポイントする装丁も良い。
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考え抜かれた、端的でむだのない言葉は、参っちゃうくらい的確で、そこが好き。
行動に意味があるところ、ないところ、そのバランスが現実世界と同じで、そこが好き。
意味のないところを、深追いしない、ほうっておいてくれる、そこが好き。
だから私はこの著者が好き。
この本には、私の好きがつまってる。
乾は主人公で、気づいてる、抗う、特別な存在だけれど、その乾がどうしようもなく恋したのが、平凡で俗っぽい、くだらない女だったことが、最高だった。
ラストは唐突にほうり出されて歓喜。私は納得したいわけじゃない。
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ヒモ生活から失踪して、流されるように新潟、富山と移り住む男が主人公。
しょうも無い男の話だが、文章のリズム・テンポが良いので次々ページをめくってしまった。
な〜んだか冷たいし、人間的にどうよ?という男なのだ。
相手の身になってみるとかしないし何か欠けているようにも思える。
でもついつい読んでしまう。
土地の描写が秀逸。感じ方の面白さ、新潟にしても富山にしても行ってみたくなる。
呉にいたってはジェノバとの対比!とても興味深かった。
ラスト、小説の主人公にされた男が標本になるまいと必死に抵抗してくる。読み手に対して好戦的な態度で。
この作者らしいニヒリズムを感じた。
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しょうもない男?女もか?を書いて秀逸らしいが、よくわからない。共感する部分が全くないせいか、自分の感性が無さすぎるのか?「海の仙人」にまた会えるのではないかと、この作家さんの本をつい手に取ってしまうが、未だ果たせない。
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絲山さんが書くのは、「だめんず」でなく「ダメ男」。
本当、ダメ(笑)。
『袋小路の男』も、種類は違えどダメ男。
ちなみに、読み終えてから知ったけど、今回の主人公は「ニート」に収録されている「愛なんかいらねー」の青年と同じ奴。
また、この性癖の持ち主か、と思っていたら道理で。
続編でしたか。
でも、意外と憎めないのね、こいつが。
前回の作品の時は、自分勝手でなんていう奴だとしか思わなかったけど、今回の作品では惚れこんだ嫁のために自分の性癖を隠したり、一生懸命ご機嫌伺ったり、挙句嫁の浮気の所為で失語症になったりと、人間的な面も見せる。
仕事とかも、真面目にしちゃったりして。
基本嫌な性格の奴だけど。
でも、自分でも曲がった性格であることをわかっているだけに、ある意味気持ちよい。
今回は、一人の友人の顔が思い浮かんだので、余計に面白かったのかも。誰かは、内緒。
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ダメ人間って本当に多種多様に存在すんだなあと思った。乾は確かに作中出てきた万引き女や大学教授、地元が新潟のオトモダチからみたらダメでダメで仕方なかったんだろうけど。それ以上にダメなのはユミコなのでは笑 ラストは爽快。本に閉じ込められ綴られた感覚。
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年上の教授?のヒモの男・乾が主役の話。
色々なことに飽きて、女性を転々と変えるような生活を以前までしていたが、遠くへ行こうとフラフラする。
フラフラした先で、結婚。
結婚なんて考えてもいなかった。でも、なぜかした。
しかも今までの自分では付き合いたくないタイプの女性と。
結婚したけれど、精神的な意味で人と触れ合うことを避ける乾。踏み込まれたくないらしい。
今度は、その妻に飽きられる。
そうやって行く先々で居場所をなくして、転々とする男の一生を描く。
どこにいても、誰といても一人。
どこかでこの設定見たことがあると思ったら「ニート」の中の短編の続きだと、あとで知った。
面白いけど、ロマンが全くない笑
読んだあとに「ほぉっ」とするものを、今の自分は求めているだけなのか。
「袋小路の男」の中の短編、アーリオ オーリオも似たような、他人に深く踏み込まれたくなくて、静かにじわじわと独りを極めていく男の話なんだけど、爽快感がある。
「独りを極めるひと」というのは、絲山秋子作品のだいたいの共通点なんだけど、物語によって読後の感触がこんなにも違うのは、とても美味しいこと。
もっと読みたいと思わせる、素敵なひとですな。
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過酷な中を生き抜いた人が書いた文章。絲山さんのものにそんな雰囲気を見い出すことがある。『不愉快な本の続編』はその傾向が強く、読みながら「孤独」という絲山さんの本を読むと思いだされる言葉について考えさせられたり、強靭な精神を持つ絲山さんの背中が合わせて頭の中に浮かんだりするのだった。
内田先生の『他者と死者』でカミュの『異邦人』のあっと思わせるような引用に出会ったところで、また『異邦人』を下敷きにしているともとれるような作品。『異邦人』また読みたくなる。
これが「本」であることに意識的な作りになっているが、そこかしこに絲山さんの本音が織り込まれているように思う。「男であること」「女であること」に対する絲山さんの独自の意識へ関心が向かう。
それにしても文芸書を読んでいて「オラクルマスター」なんて言葉に出会うとは思わなかった。杉村の職業はSEだし。
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自己嫌悪と自己憐憫の塊のような主人公が他人との関係を壊しながら旅をする。でも、無気力なはずの主人公が妙に激情家だったり、主人公の自己嫌悪の背景があまり書かれていなかったりして、イマイチ腑に落ちない読後感。
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どういうわけか不愉快な本の「連続」というタイトルだと思い込んで読んでました。不愉快(ともいいきれないときもあるけれど)なケンジロウの物語の連続であり、最後の始末として、書かれた本の中の人になってしまったから目くじらたてないでくれということかな。
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単純に面白くて、一気に読んだ。
主人公がめちゃくちゃダメな人なのだけど、その迷いとか狡さみたいなものに、ちょっと自分を重ねて読んでしまう。
先日、絲山秋子さんの講演を聴くチャンスがありました。ユーモラスで、笑いを取るのが上手、そして照れ屋さんな感じもチャーミングだなぁと改めてファンになりました。
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何だろう。
どうしようもないダメ男だし、
感動エピソードがあるわけでもないし、
でも心にズシッときて、捕らわれる文章。
色々メモしたくなる言葉がたくさんありました。
やはりこの作家さん、好きだなぁ…(しみじみ)
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変態でしょーもない男の一人語り。
なのに読後感すっきりでした。
この方のタガの外れぶりが大きいからだろうか。
私は好きな作品になりました。
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序盤から主人公のキャラが強烈でとてもひきつけられた。転々としていくごとに章が変わっていく構成が面白いと思ったし、旅の小説ではないけど各地での出来事にスポットライトを当てるうまいやりかた。いつも以上に簡潔にそぎ落とした文章だからか、とても読みやすい。でも、しっかりと土地や風景、心理描写がしっかり浮かぶ。物語はなんだかよく分からない結末に終わるが、そこに意味を見出してもいいし、出さなくてもいい、自由があるような気がする。