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なんか、外国の小説を読んでいるような
不思議な作品。
空気を読んでいるような
つかめそうで、つかめなそうな
そんな不思議な作品だった。
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初の絲山作品。
不愉快な男による、不愉快な旅のお話。
何かが心に突き刺さる、とても不思議なお話でした。
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ひもの人生、結婚、はんざい。
かるい、あたまのいいひとのしゃべりかたのかたりでものがたりがはじまります。
あたまのいいしゃべりかただから、きいていておもしろい。
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ほんとはどういう人間なのかと聞かれたら、不愉快な本の続編みたいなもんでしたってはぐらかすかもしれないね。それでも、芋虫の割にはがんばったんじゃないの。
(P.8)
悪いけど、ボクにはほんとに何もないんだよ。杉村には寂しいって言われたけど、ボクは寂しさなんかで空間を歪めたりはしない。物質的に言えばボクは八時間前に水になったところだ。今のボクはストレートでぺルノー飲んだってすぐ濁る。酒じゃなくて、ボクが濁るんだ。
(P.135)
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男性主人公、しかも変わったやつとかヒモ系とかを語らせるのは絲山秋子 に限ると思う。残念なことにそれを証明するほど読書をしていないが・・・・。
主人公の落ちっぷりが見事で、彼は誰も恨んでいないし、自分を憐れんでもいないし、悲観的にもなっていないし、かといって笑い飛ばすこともできない。とにかく救いがないのである。
誰を恨んでいるのかは薄々わかるのだけれど、気付いていないのか気付かないフリをしているのか・・・。そういうところが現代社会の弱い立場の人たちを見ているようで何とも言えない気持ちになる。もしかすると私も「弱い立場の人」なのかもしれないことにもはっとする。
浪人や留年は許されるが、大学卒業と同時に就職が決まっていないと「負け組」のレッテルを貼られてしまぞと警鐘を鳴らしているようにも見えるし、そういう社会を嘲笑しているようにも見えるこの作品。
大学を出てもそのへんのアパレル系の店で店長をやるくらいしか能がない男、ちゃんと働いていても犯罪行為でしか自分を癒せない女、留学するほど能力があるのに性癖のせいで自分を押し殺してしまう哀れで不愉快さも表せない男。
こういう話を高学歴な絲山秋子のような作家が書くと妙に説得力がありリアリティが増す。だから私は彼女の私生活まで気になってしまうのだ。現代社会の影の部分であったり、人があえて目をそらしてしまうことを堂々としかし悲観的にならずに書ける作家の一人だろう。
まったく不愉快で愉快な1冊であった。不愉快なので星はあえて3つとする。
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全くのジャケ買いならぬ、ジャケ借り。薄いしね。芥川賞受賞作家さんだった。それでも結構さらりと読めて、最近の傾向だろうか。純文学感はない。一人の男の話で、どうってことないっちゃどうってことない。何言ってんのかよくわかんないとこもあるし。でも新潟が出てくるのはうれしい。たびの人って言い方は富山だけじゃなく、新潟でも使うぞ、と思ったり。でも意外と心に残るというか、引っかかる感じ。
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日本人のそこそこ若い男が主役で、このような小説が成り立つのかと、少し驚いた。読んでいる間中、どこで止めてもざらっとした感触が残る。それが段々とクセになってくる。
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初絲山氏。
初挑戦なので作風がわからなかったのだが、どうやらいつもこんなトーンの作品を書く方らしい。
自堕落な主人公ケンジロウの目を通して語られる物語は、軽薄なのに理屈っぽい、リアリティ溢れるようでいてどこか不条理な奇妙な世界だ。
読んでいて楽しい物語でもない。どちらかというと不快を感じるくらいのストーリーなのだが、不思議と引き込まれあっという間に読了した。
何をどこまで描くか、どういう言葉選びにするか、そのあたりの著者の絶妙なさじ加減の為せる技なのかもしれない。
一歩間違えると嫌悪でだけで終わってしまいそうだが、他の著者の作品もちょっと読んでみたくなる、癖になりそうな感じだ。
思いのほか文学的に幕を閉じるラストも悪くない。
オマージュ的に取り上げられるカミュの「異邦人」も、どんな話だったかすっかり忘れてるなあ。
読み返してみようかな。
余談。
初めて読むので短編なら入りやすいかな、と思って手にしたのだが、短編集じゃなかった…。
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「盗む」の章は富山が舞台。富山に住んでいるので、一々街の情景とか人の息遣いが立ち上ってくる。特に近代美術館の描写は肉薄してくるような親近感がある。ミロ、マグリット、ピカソ、ジャスパージョーンズ・・・・。うんうん唸りっ放し。魂が飛び出すって感じも凄くよくわかる。伝わってくる。
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『愛なんかいらねー』の続編ですが,それほどの毒を感じない。
あっさり読めて,後に何も残っていないのです。
たとえば奥さんが浮気したらすぐ別れるなんて,主人公のキャラからすればおいおいって感じです。若いころの毒が抜かれて,いい人になる,そういう小説ばかり多い気がする。
小説なんだからあまり現実に迎合しすぎないで主人公にはぶっ飛んでほしい。
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「じゃあ、あんたのモデルは一体誰なんだ?」
絲山作品の中でも特に幾つも付箋を貼りたくなりような言葉が溢れている作品だった。
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この空気感、嫌いじゃない。
装丁が安っぽいのが残念。
意味を考えながら読むより
あまり深いことを考えずに読むようにしたら
進む進む!
偶然、今住んでいる広島のことも出てきて
景色が広がる!
年に一回、、数年に一回、、読んだら
感想が全く違うものになりそう。
楽しみ!
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音楽の色々を知らないわたしは、このにおいを嗅ぐとモータウン系の音を思い出すとか、イギリス人がアンチメロディアスに走るのは単純だとか、ニュアンスがわからない。どういう意味か気になるけど、そのまま読み続ける。
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この作者の描く世界は、たいてい歪んでいる。
正方形に力を加えていびつにしているけれど、その気になれば
いつでもそ知らぬ顔の正方形に戻れる。
そんなことを繰り返して、本来の形がわからなくなってしまう。
そんな感じ。
こんな主人公が周囲に居たら、絶対やだな。
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初の絲山秋子。ずっと気になっていたけれどなかなか手に取る気になれず。ようやくタイトルが好みのものを見つけて。
内容は一言にまとめればしょうもない男の半生。主人公がちょっと偏屈というか変り者ではあるけど、どうってことないっちゃどうってことない話。しょうもない男ではあるけれど、彼なりの理論というかこだわりがわからなくもないから、ところどころ刺さるものもあったりして。でもよくわからない部分もあったり。
さらさら読めるかわりに、読んだそばからさらさらと忘れていってしまう物語。読後感は悪くないから、難しいことを考えたくないときに読むのがいいかも。