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ルポルタージュとしては、
周辺取材も少なく、客観的なデータも少なく、
多少、感情の入った文章も気になりますが…、
(著者の感情が、前面に出てはいけないと思う)
何よりも、題材が、とてもよかったと思います。
(題材買いした感じ…)
もっと、ビジネスやマーケットの実態や、
携わる方々のプロフェッショナルな部分と、
人間としての苦悩や仕事としてのやり甲斐が、
客観的かつ理性的に、淡々と書かれていれば、
素晴らしいルポになったのでは、と思います。
平易に、さらっと読むことができますし、
(ルポとして、よいか悪いかは別として…)
題材としては、とても大切なことですし、
機会があれば、一読されるとよいかと思います。
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国際霊柩柩送士のルポ。海外から日本へ送られてきた遺体の入国手続きや遺体を整える作業をした後に遺族まで届ける。逆に、日本で亡くなった他国の人を送り出す、という仕事をしている会社、そこで働く人のノンフィクション。
毎日、死と接する。
現代の日本は、死と接する経験は少ないが、本来、死は誰にも訪れる日常のものである。死があるから生があり、生があるから死がある、両者は一体であるということを再認識させられる。
人間は、身近な人の死に接し、事実として受け入れられず、とことんまで悲しまないと、その先に進めない。死者と向き合うために、崩れた死体を整え、死化粧を施して遺族に引き渡す。遺族は生前の面影を残す遺体と接して悲しむことで初めて別れを告げることができ、区切りをつけることができる。
その場を用意するのがこの職業となる。
あくまでも黒子として生きるが、なくてはならない存在をクローズアップしたこの本、あるいはその職業は、もっと評価されてもいいと思う。しかし、表に出ることはない。
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もっと 淡々と 国際霊柩送還という仕事を取材、紹介してるのかと思ったが、どちらかといえば 感情的なところが多く 漠然としか 仕事内容が 理解できなかったのが 少々 残念。
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つい最近もアルジェリアでテロにあって亡くなった10もの遺体が日本に運ばれてきた。シリア内戦で亡くなった山本美香さんのこともまだ記憶に新しい。本書は、こうした遺体の送還に携わる専門の会社エアハウスの人々(国際霊柩送還士)の生きざま、仕事に対する職人芸とも思える態度、亡くなった人々、その家族の話を中心につづられる。数年前「おくりびと」という映画で、そういう職業の存在がクローズアップされたが、ぼくはこの本を読むまで、国を超えて遺体を運ぶ人々の存在を知らなかった。外国で死ぬというのはふつうの死に方でないことが多い。だから、それを取材するには、単なる興味だけでなく、人間の生き方や死についての自分なりの考え、死生観をもっていないといけない。本書はだから、遺族やエアハウスの人々に取材した佐々涼子さんの死への対し方を問うものにもなっている。エアハウスは、外国でなくなった人を日本に運び、日本で亡くなった人をその母国に運ぶ。外国といっても、遺体処理エンバーミング技術の差によって、とんでもない状態で送られてくることがあるそうだ。その遺体(特に顔)をできるだけ生前の状態にもどす仕事をかれらはやる。きれいな死に顔と言ったりするが、それはエンバーミングをほどこされているからそうなるので、では、自然な姿でとなると、それは遺体が腐食することを知らないものということになる。日本人は遺体や遺骨がなければ死んだことが信じられないし、遺体に対してもそれをさわろうとする。つまり、遺体にこだわるが、これは外国ではあまりないそうで、ここに遺体に対する文化の違いを感じる。人は死んだとき、どんな姿で家族や友人たちと対面すべきか、重くのしかかってくる課題である。
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泣ける。
ダークな内容の割には、さくさく読める。読了感は意外と爽やか。
ご遺体に対する各国間の違いについて、もう少し踏み込めたらよかったかな。少し軽やかすぎて、もったいない。
311の後だからこそ、アルジェリアのテロの後だからこそ、という今だから出せる一冊という感じがする。
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海外で亡くなった方の遺体を処置して遺族の元へ返し、日本で亡くなった海外の方の遺体も処置して海外へ送るという仕事を取材したレポルタージュ。
海外で亡くなった方は、大抵普通の亡くなりかたでないため、損傷が激しかったり、きちんと防腐処理がされていなくて腐敗していることがある。そうでなくても、飛行機に乗せると圧で耐えきれなくて体液漏れをする。そんな遺体を損傷が激しい所は手当てして、生きているような化粧をする。利恵を筆頭とするこの会社は羽田空港の貨物発着場の近くにあり、そこで処置をしているが、彼らに妥協という言葉はない。
様々なエピソードや、遺体ビジネスの被害をうけた遺体などの話が載っていたが、損傷が激しい遺体を修復している描写などは読んでいても辛い。それでも、誇りをもってやっている彼らの様子を見て、世の中になくてはならない職業だと思ったし、本当に尊い職業だと思った。グローバル化が進んだ以上、こういう仕事の重要性が増して行くと思う。
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海外で、事故で、事件で、自死で、亡くなる人達。
遺体を送還するにも国際的共通のルールがあるわけではない。
防腐剤なし、体内にトイレットペーパーを入れられて帰国する遺体たち。
国際霊柩送還士は、その遺体を生前にある姿に戻し、遺体を待つ家族に還す仕事。
人は本当に悲しんでこそ、納得のいく別れができる。
その別れに関わりながら、悲しむ出来事だからこぞ、家族に忘れ去られることを本望とする人達。
プロに徹する…我々もまたまた学ぶべきその姿勢に、思わず涙がにじんだ。
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考えてみれば、なるほどこういう仕事もあるはずだ・・・ということがわかる。他国で亡くなった方を国内の遺族裏もとへお届けする、またはその逆も。
これも、考えたらそういうことをしているんだろうということはわかる。エンバーミング(防腐処理)である。そして、遺族へ届ける前に身体の修復をするのである。最後のお別れをするために、生前の記憶を美しく残すために、そして「忘れる」ために。
こんなふうに、社会を支えている人たちがいる。国際霊柩送還士のたまらなく素敵な仕事のルポ。
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この本を読まなければ全く知りえなかった遺体搬送の実態。
遺体を遺族に届けると言う特殊な職業とは一体どう言うものなのか、きっとこの本が出版されたことによって読んだ読者は、色々な思いを胸に抱いたと思う。
無知と言う物は本当に怖い。
ビジネスの道具として遺体がずさんに扱われている今の日本の現状。
でも実際この本を読むことによって、死んだ人との距離のとり方や、どういった業者がずさんであるかどうかを知った。
広く大題的に広報活動をして沢山の人に知ってもらった方が良いと言う気持ちにはならなかったけど、ひとりでも多くの人がそっとこの本をとって静かに胸のうちに溶け込ませてほしいと思った1冊だった。
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死は決してに非日常ではない。
それに纏わる様々な「情」と真剣に向き合う事は一人の人間の中でさえ収集のつかない大仕事だ。 その「情」の注ぎ先を日本人は先ず遺体に向ける。そこから遺族の長い心の旅路が始まるのだ。始まり無しに終わりはない。
彼らはその始まりを想像を絶する技術と心の注ぎ方で整える。日本人ならではの死生観が世界中を駆け巡って尊い仕事になっている。彼ら無くして心の旅路は終わらない。今まで理解し難い幾つかの日本人の「情」について新しく学んだ。
世にはびこる心ない儲け主義の悪徳業者の存在に怒りを覚える。
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国際霊柩送還
こんな仕事があることはじめて知った。
読めば読むほど、この仕事の重要性を理解できる。
死について考えることを避けてる自分がいるのは確か。
でも、最後は家族の元に帰りたいと思うだろう自分がいる。
また帰るなら普段通りの自分で帰りたい。
死によってそれもできなくなった人をサポートしてあげるということに加え、残された遺族の方々にもきちんと受け入れられるような環境を作り出す。
素晴らしい仕事です。
家族を大事にする日本人。
今もそうか?
世の中を見渡し、そんな風に考える。
でも人がどうとか周りがどうとかどうでもええねん。
そう娘や息子に言ってるくせに自分事には出来ない勝手気ままな俺。
あかんねぇ。何度も思い直そうとするも変われない。
でも諦めずに変われるようにチャレンジしよう。
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アルジェリアの事件もあって、直ぐに読みたくなりました。
ドキュメンタリーにしては、ちょっと文章に感情が入り込みすぎなのが好みではなかったのですが、なくてはならない仕事、会社が未だ零細企業規模で行われていて、それがしっかりと機能していること、それが数人の情熱的な仕事で成り立っていることに感動します。
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《親を失うと過去を失う。
配偶者を失うと現在を失う。
子を失うと未来を失う。》
最近、中高生のわが子と同じ本を読んで各自の感想を述べ合うことができるようになってきた。
親子でも感じるところはそれぞれであったりするけれど
同じ作品を通して互いの視点を感じ合えるのも感慨深いものである。
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国際霊柩送還なる仕事についてのドキュメンタリー。海外で亡くなった人の遺体を日本に送り処置して家族に還したり、逆に日本で亡くなった海外の人の遺体を綺麗に処置して故国に送り返す仕事。死にたいして真剣に取り組む人人々が見事に描かれている。エアハースという会社のことは覚えておこう。
それにしてもこういうビジネスがあるとは驚いた。目立たないところに儲かりそうなネタがあるものなのだな。
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お仕事探訪の中でも、怖いもの見たさ的な興味があったことは否めないが・・・すごい仕事だ。体力的にも、精神的にも。自分や日本人の死生観を見つめるきっかけにも。