紙の本
戦場の先に見つめる未来
2012/01/24 15:22
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦艦島で別かれた千々石武夫と吉岡ユキが再開した日から一年が過ぎた。音無航空隊所属として敵機を屠り続けていた武夫は、“サイオン島の魔犬”と呼ばれるほどの恐怖を敵に与えていた。しかし戦局は、物量で圧倒的に勝るレヴァーム皇国が、帝政天ッ上の少数精鋭を抑え込み始めていた。
雲鶴航空隊に転属となり、機動艦隊の航空戦力として力を揮うことになった千々石だったが、ヴィルヘルム・バルドーと旗艦グラン・イデアル率いる大規模機動艦隊を前に、彼我の戦力差を思い知らされることになる。せめて一矢報いようと戦場を飛翔する千々石が見た敵機は、海猫が操るものだった。
エピローグはこの手の物語がたどり着くべき所にたどり着くのだが、そこに至るまでの千々石の鬼神の様な空戦に圧倒される。さすがに海猫との最終決戦の部分はやり過ぎじゃないかと思ったけれど。
そして気を揉ませてくれるのは、ユキと武夫の関係だ。一方は戦場に出ているし、一方は戦意高揚のための仕事をさせられて時間も取れない。このまま再開できないで終わるのかと思ったところ、彼らにチャンスを与えたのは意外な人物だ。その人物のおかげで、彼らの物語は時代が許す限りの場所へと到達することが出来たのだ。
これは褒め言葉になるかは分からないけれど、作者は負け戦を描くのが上手すぎる気がする。
電子書籍
この本を読んで
2015/09/23 20:21
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投稿者:いし - この投稿者のレビュー一覧を見る
昔、アニメでやっていたとある飛行士の恋歌という作品のシリーズものを調べている中でこの作品を知りました。後半からの盛り上がりがすごいのでおすすめです
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かっこ……よすぎだろ!(ToT)
泣いた。その清々しさと誇り高さに、幾度となく本を持つ手が震えた。
帝政天ツ上と神聖レヴァーム皇国の
己の全力をかけて戦った中央海戦争
その決着がつく時が、ついにきた。
次第に物量で押しはじめてきたレヴァーム軍に
疲弊していく天ツ上軍の飛空士たち。
極限状態にありながらもその胸に燃える闘志と誇りは消えることなく、彼らを奮い立たせる。
空では無敗を誇る千々石も、度重なる出撃に疲労の色は濃い。
しかし、満身創痍の千々石の前に
とうとう
再会の思いに焦がれて止まなかった男の、その両翼が煌めくのだったーーー。
追憶を読んだ時には、ただひたすら敵対するものとして恐怖の対象だった真電と、天ツ上に繰り広げられたドラマを見て
悲しくて仕方がなかった
彼らのうちに宿る思い、願い
そしていかにレヴァームが差別の眼差しでこちらを見ていたのか
ひたすらショックだった
戦争は一元的ではない
誰が諸悪の根源というのでもない
起こるべくして起こったただの事象としての戦争にもはや意味などなく
無駄に命が散華していく
ほんとに戦争は虚しいものだと、読みながら痛感した
それでもその戦いの空に、流れる血に、交わされる意思のやり取りに
言い様のない格好よさを覚えて高揚する自分は、やはり残酷なのだろうかと
ちょっと思ってもみたり
あんなにかっこよかったシャルルにはつい
必死で、来ないで!!と祈ったw
そして何度となくファナに、早く戦争を終わらせてくれと願った…
これ以上誰かが犠牲になる前に…
虚しいばかりに命は散って
海も空も大地も、砲弾と鉄屑に汚れ
ほんとに失うばかりで何も残らなかった戦争だけど
読了後のこの清々しさは、いったいなんだろう…
彼らと駆けた空はすぐ目の前に見え、彼らの命の軌跡を刻んでいる。
どこまでも変わらず続く
自由の青い空
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とにかく空戦があつすぎる。
ほんま鳥肌立ちっ放し!
いやー、もうほんまこれを読めてよかったです!
久々に感極まりました。
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読みながら、日本人としての遺伝子が疼いてしまった事を認めざるを得ない。
アメリカ人の日本人観が、マジでこういう風に形作られたような気さえしてくる。
このへんはさすが小学館、てことなのかなぁ。
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ロマンあふれるハードボイルドな話だった。ビークル対海猫は燃えた。天ツ上を美化しすぎで個人技が戦況そのものを左右させてしまうが、ハードボイルドロマンだからしょうがないか。
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戦場は非情なものであること戦場のロマンティシズムを見事に融合させていて、あっという間に引き込まれました。
太平洋戦争の戦史をよく研究しており、戦略・戦術的に不可解な展開がない物語を構築しているのも素晴らしかった。
飛空士シリーズは全て読んでいますが、この感動は第1作の「とある飛空士への追憶」以来です。(もちろん「とある飛空士への恋歌」も良かったですが)
本作をこれから読もうという方へ。
本作を読む前に第1作の「とある飛空士への追憶」を読むと、より物語の深さを感じることができると思います。
人を愛することのすばらしさと強さが分かるような気にさせてくれる作品です。
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今人気のライトノベルとは、かけ離れたものですが、非常に心に残る作品でした。 展開が見えながらも、「いや、そんなことはない」と願望を抱きながら読み進めました。 空に生き、空に死した大空のサムライたち、大空の騎士たちに、敬礼と祈りを捧げたくなりました。 今、私たちが立って、生きている土地も、先人たちの努力があったからだこそだと。 私たちも、未来の子供たちへ、安全で幸福な世界を渡していくことが課題だと、この作品を通して、感じました。 また、飛空士シリーズが出るということで、今から楽しみです。
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面白い。ライトノベルでもこれくらいの面白さは必要だと思う。単純にワクワク、ドキドキが多く、分かり易い展開。なので安心して読めました。
色々と実験しているところも興味深く読めました。
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作者の趣味思考をフル稼働させた作品。
それだけに主人公・千々石への愛が半端ない。
戦場を駆けるために生まれたこの男、生き様がアツい。
宿敵・海猫こと狩野シャルルとの前時代的な対決模様もこれまたアツい。
中央海戦争という荒波に立ち向かった、天ツ上という船は沈むことなくその航海を終えることができたのか、それは読んで確かめてほしい。
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いや,いいよ.凄い良かったよww
特に,最後の展開・・・
飛天御剣スタイルッ!!
天・翔・龍・閃ーーーーーーッ!!!
・・・みたいになってたぞww
いや,マジでww
気になった方は是非に
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これは堂々たる小説です。ラノトベルの枠を完全に超えています。
ハードカバーでも良いんじゃないでしょうか?
飛空士シリーズはどれも素晴らしいのですが、この「…夜想曲」は完成度が群を抜いています。空戦モノでも
日に日に厳しくなる戦局や戦争の無残さ、両エースが舞うクライマックス。誇りのために戦う若者達の哀しさ、美しさ。響き渡るユキの歌声など……読んでいて熱いものがこみ上げて来るシーンの連続。逃げることなく、正面からこのストーリーを書ききった犬村さんに拍手と喝采を送りたい作品でした。
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最高傑作。人がもつ不思議な感情、誇りをこれでもかというくらい魅力的に描ききっている。明確な形をもたない民族・国家を想い、その誇りを身を呈してまで守ろうとする様にどうしてここまで感動を覚えるのか。そうした英雄達の儚さをよりいっそう際立たせていたのが、誇りを守ることよりも生きることを懇願したユキの女性的な描写だった。素晴らしい。
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ここ最近で1番のディープインパクト。 迫力ある空戦の描写の細かさと熱さはラノベの域を越えてしまっている……もはやラノベではない、な。
もう言葉はいらない。 読むべし読むべし!
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シリーズ第1作の追憶以降ぱっとしねぇなぁと思い続けて早幾年、ここに来てようやくの大ヒット。燃えた燃えた。互いを恋焦がれる焼けつくような海猫と魔犬の思い、意地と信念で自分の命を燃やす天ツ国の兵士たち、これ読んだ男は間違いなく熱くなるな。