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4年ほど前に文庫本として刊行されている本ですが、解説にあるように、今日時点(2013)では、約50年ほど前に書かれた原稿のようです。挑発的なタイトル(10ページ読んで飽きたら捨ててよろしい)という本だったので、読んでみました。
気づいたら、数十ページは読み終わっていて、読まれる手紙を書くにはどのような点に気をつけるべきかという考え方は、いまでも役に立つと思いました。解説では、かなり前に書かれたという感じを受けないと書かれていましたが、私は少なくとも戦前に書かれた文章なのだろうなと思いながら読んでいました。
今では、手紙の代りに、メールや Lineを使って若い人はやりとりをするのかもしれませんが、その時にも役立てる必要がありそうですね。自分の打った内容を冷静に見直す時間を確保するのは、手紙を書くよりも難しそうですが。
数々のアドバイスがありますが、現在の環境に置き換えて(自分なりに解釈して)取り入れていこうと思いました。
以下は気になったポイントです。
・筆不精をなくすには、1)便箋・封筒・切手を身のまわりにいつも用意しておく、2)趣味のよい便箋、封筒を使って手紙を書く楽しみをもつ、3)便利な葉書をいつも鞄やハンドバックに入れて置いて、外出先の途中で大いに利用する(p33)
・手紙を書くとき、1分間だけペンを持って目をつぶる、これを送る相手の人の今の顔形を心に思い浮かべる(p44)
・文章を書くときに気を付けるのは、1)冒頭文は文例集のような形式的慣用句は使わない、2)相手の性格、趣味などを手紙を書いている間だけ眼に浮かべる、3)自分の言いたいことをぶっきらぼうに描いた手紙は良い手紙とは限らない(p76)
・見舞状のコツ、1)月並み文句は使わない、2)病人を苛立たせることはかかない、3)同じ病気の人の全快を知らせる(p87)
・ラブレターでは最後の1行で、ゆさぶりをかける(p102)
2013年6月9日作成
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遠藤周作さんの、昭和的なユーモアが散りばめられたお手紙講座本。特に「悪い」手紙の例が、もう笑ってしまう。
しかし、今の世でも何がヒントになるかと思いきや…そこは…といったところ(個人的感想)。実用書というより娯楽本ですね。
本の趣旨としては、相手を思いやって、更に定形分や気取った文章を避けてと言う事が書かれてます。
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タイトルからは想像できないが、
遠藤周作がラブレターの書き方を説明している本。
思い出すのは、三島由紀夫も手紙の本を出している。
趣向は違うが、人間性が現れていて、本だけではなく作者にまで惹かれる。
手紙を書く重要性からはじまり、なぜ筆不精か理由があり、手紙を書きたくなる方法まではじめに説明がある。
タイトルの10ページは過ぎるがもちろん続けて読む。
あとは、例文を踏まえながら「読む人の身になって」を説明されている。
「海と毒薬」や「沈黙」などを書いた作者とは思えない、とてもユーモラスであった。
内容は、「読む人の身になる」以外にも、3つが一貫している。
・書き出しに注意。決まり文句で始めない。
・自分の言葉で書く。
・短文にする。
最近、手紙を書くことはほとんどなくなったが、メールの影響で文章を書くことが増えた。
この本はメールを書くのにも応用できる。
自分に特に役立ったシチュエーションは二つ。
「断るときの手紙」と、「お悔やみ状」の書き方。
本文にもあったが、「お悔やみ」はとても難しい。
先日、母が他界した際いろいろな方からメールをいただいた。
もちろん、メールをもらったことだけでたいへんうれしかったが、
思い出せば、形式にとらわれすぎているもの、感情が大げさなものなど多かった。
お悔やみ状は「あなただけでなく、自分も同じような悲しみにあった」ことを書くことがポイントとなっている。
確かに、そうである。
私がもらったメールで一番心に響きなぐさめられたのは、同級生の親友からもらったものだった。
「俺らもそういう年になってしまったよね」
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作家の勉強の一環として、たとえを勉強するのは面白いなあと思いました。遠藤周作さんの文章は優しさを感じます。
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ラブレターやお悔やみの手紙文を検証しながら、相手の身になって考える文章とはどんなものかを解説している
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遠藤周作さんが、手紙の書き方について思うところを述べたエッセイ。というか、柔らかい手紙文章術。
今風に言えばメール文章術、と置き換えられる内容ですね。
特段に心打たれる事はなかったですが、全体に砕けた分かり易い物言い。謙虚さと誠実さ、それにユーモアの志向が明確で、井上ひさしさんとか北杜夫さんという味わいでした。少し進んだ時代だと椎名誠さんとか。
冒頭の章で、貰う側になれば、手紙貰って嫌なことはまず無いよね?ちょっと、嬉しいよね? と、述べてる部分があり、具体的でわかり安く腑に落ちました。
遠藤周作さんは、「文学者ではなく小説家です」という感じで、平易で、良い意味で俗であることに拘られたそうですが、そういう魅力は感じました。
あと、タイトル。ちょっと、あざといかもだけど、まず秀逸だと思います(笑)。
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読書録「十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの
本を捨てて下さって宜しい。」4
著者 遠藤周作
出版 新潮社
P25より引用
“いずれにしろ名分を書こうとする意識やむつかしい手紙文の文
例をマネる必要が全くないと考える時、あなたは少しは手紙を書
くのが気楽になりませんか。”
目次から抜粋引用
“一寸したことであなたの人生が変る
筆不精をなおす一寸したこと
手紙を書く時に大切な一寸したこと
返事を書く時に大切な一寸したこと”
芥川賞作家である著者による、手紙の書き方についてのコツを
記した一冊。
セールスマンの売り込みについてから具体的な文章の書き方ま
で、すぐにでも使えそうなコツが紹介されています。
長年未発表だった原稿を元に出版されたものの文庫化。
上記の引用は、筆不精の直し方のコツを記した章での一文。
最近の私は手紙どころか年賀状すらメールで済ませてしまうので
すが、メールであってもやはり文章を書く時はそれなりに力が
入ってしまうものです。
筆不精にならないためにも、気楽に文章のやりとりが出来る相手
がいるということが、結構大切なのではないかと思います。
一つ一つのコツが細かくまとめてあるので、人に対して文章を
書く時にとなりにあると便利な一冊なのではないでしょうか。
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古い本だけど、中身は現代でも通じる、手紙の書き方。
コミュニケーションの本質はいつの時代も変わらないよね。
昭和のエッセイを読む機会が今まで殆ど無かったので、氏の味のある文章にえらく感激しました。
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手紙を上手く書きたいって人のための本です。少し自慢ですが、だいたい私が思っていることや考えが同じでした。この本の刊行はずいぶん昔ですが、時代の変化があっても書く技術に変化はありませんね。
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人付き合いのときの態度、言葉すべてに通ずるものであるように思う。
てらいすぎず、しかし相手に寄り添う。それで考えすぎて固まってしまうのではなくて、それでも一歩前に出て、できる範囲で相手に関わり続ける。そうやってちょっとずつ上手く人と接する練習をするほかないのかなあ。
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手紙の書き方についてユーモアを交えつつ教示した本。
書かれたのが昭和30年代なので、言葉回しが今の時代には合わず、そもそも手紙をしたためる機会が無いので本来の活かし方は出来なさそう。
しかし、表現力の鍛え方や、相手にモノを伝える姿勢も述べられているので、文章力を上げるには適していると思う。
また昭和30年代の若者文化を垣間見れる点も良かった。
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時代背景、使うツールは違えど、基本は変わっていないなと実感。
人間の気持ちの扱い方なんて、そう変わらないのだなと。
手紙の書き方は相手の身になってするような、ゲーム。ブログにも応用ブログはラブレターを書くようなつもりで(笑)自分の言葉で自分なりの表現、慣用句、形容詞を作り出すことも大事。
オリジナルな言葉。
形式的な書き方をしない。
形式的にすると楽だけど、ないように変化がない。。。
時には、すんごい入り方をしても良い。
いろいろなスタイルで伝える。
下手でも自分の言葉、思いを書く事で次へのきっかけを見つけられる事を期待して
文は相手の身になって、受け取る側読み取る側の身になって、どう感じ取るか、どんな情報を欲しがっているか想像しながら、書き上げること。
これは一つの訓練。誰に対して書いているかイメージを繰り返す。
伝えたいことを何度も連ねない。
最後に強烈なインパクトを
この作品の時代背景がいつなのかと思いながら読み進めると、昭和35年頃、、、。女性の変わりよう(大胆に)はかれこれ50年以上続いているという事に、、、(笑)
※一寸(ちょっと)
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手紙の大切さ、手紙の書き方について書かれている。
当時に比べて今は手紙を書くことがあまりなくなって、この作品に教えてもらったことを実践する機会があるかどうかはわからないが、それでも読んでよかったと思えた。
どんなコミュニケーションにも通ずることばかりだったし、何より、読んでいてとても楽しかった。
ユーモアを交えて書かれた文章はリズミカルで、今とは大分言葉遣いが違うにも関わらず、すんなりと頭に入ってきた。
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遠藤周作氏の作品は、海と毒薬や沈黙しか読んだことなかったため、最初はイメージが違ってびっくり。なんて洒落ててお茶目な人なんだろう!手紙や私信を出すときの書き方や心構えなんかの指南書だが、堅苦しくなく、面白く読める。恋文のところなんかは笑ってしまったけれども、相手があってこその文章、この本で学んだことは大切にしたいと思う。
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人の心を温めるそして自分のこころも温める考え方の秘訣が、
遠藤周作さんは「侍」「死海のほとり」など、キリスト教にかかわる作品を何冊か読んだ気がします。こころの洗われる美しい内容であるところは、ワタシにとっては三浦綾子さんと同じジャンルの作家さんです。
執筆から半世紀たって発見されたこの作品は、なるほど内容は50年前の手紙を書く秘訣の内容ですが、人の心を温めるそして自分のこころも温める考え方の秘訣がちりばめられていました。遠藤さんの作品はワタシにもいっぱい残されています。じわじわと少しずつ読みたい作家さんの一人です。