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紙の本
こんなミステリはじめて!
2001/12/29 19:18
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヒイロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
今、アメリカ中で不可解な「死者の蘇り事件」が頻発していた。この怪現象の中、ニューイングランドの片田舎トゥームズヴィルの「スマイル霊園」で殺人者の魔の手が伸びようとしていた。主人公のパンク少年グリンは、自らも死に、そして蘇ってしまう。殺されても蘇る被害者、果たしてこの不可解極まる状況で、グリンは真相をつかむことができるのだろうか?
読む前は、重厚長大な作品のイメージがありましたが、読んでみると意外にもお手軽に読めてしまった感じがします。途中、若干疲れてしまった部分があったのは否めませんが。
内容は、文句なしに面白かったです。 「死者が蘇る世界」という特殊設定が詳細に作り込まれており、全く違和感を感じさせないのがすごいです。果たしてどんな結末になるんだろう? とドキドキしてましたが、最終的には仰天することができ、満足です。年に何作か、このような作品と出会えるのが理想ですね。
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深い
2016/01/24 19:19
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投稿者:ヴァン - この投稿者のレビュー一覧を見る
いわゆる特殊状況下での殺人をテーマとした作品。
この作品における特殊条件とは、表題からも分かるように
「死者がよみがえる可能性がある」という条件である。
死が終わりではなくなった世界における
殺人の意義とは?動機とは?被害者・犯人・目撃者とは?探偵とは?証拠とは?
今までの常識では解けない謎がそこにはあった。
「死」に対する自分の認識も再考察させられる作品。
紙の本
やがて迎える死に向けて。
2003/07/12 02:51
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投稿者:purple28 - この投稿者のレビュー一覧を見る
生きとし生ける者、全てが必ず迎える“死”。
肉体は朽ち果て、器を失った魂はいずこへか…。
いずれは迎える終焉。
もし、そのときが訪れなかったとしたならば。
医学的に死が認められた“死体”が、生きているときと何ら変わりなく思考し、行動する世界。人知の理解を超えたその中で、殺人が起こる。
人は死んだら終わり。the end。
病に侵され予感する死。不慮の事故で瞬時に悟る死。いきなり他人に強制終了された死。いずれにおいても、過程は違えども最終型はみな同じ。同じはずだったのに。
死者が生きていた頃と同じ思考と記憶を持って甦ったなら、その世界における“他人の死”もしくは“自分の死”とはいったい何を意味するのか。
キーワードは“死生観”。
前々から噂は聞いていたものの、実際読みはじめると、苦しかった。このストーリーはどこへ行きたがっているのか。理解するのに少し時間がかかった。
けれど、後半。
かけ違えたボタンを1つ直すと、みるみるうちにその“姿”が見えてくる。そこへ辿り着くまでの道のりの長さは、自分の理解力の欠如だと実感する。
目の前にあるものを、ありのままにしか見られない自分。与えられたものだけで満足する生活にどっぷり浸かり、自ら思考することを忘れている自分。
真実を求める前に、自分なりの考えを持つこと。それを根気強く組み立てていくことで、今まで見えなかったものが見えてくる。そんな当たり前のこと、と頭で理解していても、実際自分でやってみると案外できない。
“死”について考えること。すなわち、“生”に貪欲であること。
今自分が生きている世界では、死者は甦られない。ならば、今自分ができることは、死を迎えるとき、思い残すことはないと言い切れるような人生を送ることだと、私は思う。
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本格ミステリの殿堂
2002/04/04 15:34
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投稿者:真 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者のほかの作品と同じく、非日常的な異世界を構築して、そこだけで通用するロジックを使い、ミステリを成立させた作品。本作では、「死人が生き返る」というとんでもない世界、とうてい論理など成り立たないような世界の中で、ガチガチの本格ミステリを完成させている。いわば本格ミステリの定型を破りながら、徹底的に本格ミステリにこだわった作品。そういう意味では読者を選ぶ話かもしれないけど、この屈折した世界観が好きな人にはたまらない作品だと思う。著者の作品をまだ読んだことのない人は、まず「キッド・ピストルズ」シリーズなどでヤマグチ・ワールドにふれてみてはいかかがでしょう。
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本格ミステリベスト100堂々の1位
2001/01/19 16:26
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投稿者:松内ききょう - この投稿者のレビュー一覧を見る
死者がよみがえる。とあるアメリカの片田舎で起きた怪現象。頭を割られても、刺されても、とにかくどうにも生き返る。そんな異常現象の中、町でも名の知れ渡る霊園で殺人事件が起こった。途中自らも殺されてしまった主人公グリンは、自身の黄泉返りを隠しつつ事件の真相に迫るのだが…。
探偵役である主人公が物語中盤で死ぬという設定の大胆さといい、死者が蘇ると堂々と表記しながら本格推理として真っ向からの論理勝負へ流す展開といい、作者の独創性が迸る作品。死者が蘇るという、一見明らかに本格推理のルールを無視している設定において、作者と読者に示されたルール上であれば本格推理は成立する、ということを証明した、ある意味これ以上の本格はないというくらいの本格推理小説である。
舞台がアメリカということや、カタカナ名前の登場人物達に気後れして、長いこと触れずに来たのは本当に惜しいことをした。一旦読み始めればそんなことは些末なことと忘れるほどに、著者の筆運びは巧みであり、次から次へと出てくる新しい登場人物もきちんと読み分けられる。それにしても「主人公が途中で死ぬ」という情報を持って読んだというのに、あくまで推理小説として読み進めている中で、やはり主人公に途中で死なれてしまうときのあの衝撃といったらない。この錯覚的なパラレルワールドの魅力は、読んだ人が他者にこの本を薦めるときの書評も考慮に入れた上での、作者の大マジックという他ないのではないだろうか。本格推理の至高のルールを知る上で、何としても読んでおかなくてはいけない作品だと思う。