紙の本
ミステリー史に残る名著
2022/11/27 08:01
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投稿者:yino - この投稿者のレビュー一覧を見る
鉄道輸送されてきた死体入りのトランクを巡り、容疑者の足取りを追うミステリー。強固なアリバイを前に、様々な証言、電車や船の時刻表、地図等を駆使して、少しずつ真相に近付く過程が丁寧に書かれています。創元推理文庫版以外にも収録されているか分かりませんが、本作が世に出るきっかけとなった過程や、有栖川有栖氏等の対談等の巻末ファンサービスも充実しており、ミステリー史に残る名著をとことん楽しめました。
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2時間サスペンスでもお馴染みの「鬼貫警部シリーズ」です。ドラマの原作だとナメてかかると大ヤケドする。死体入りのトランクの動きに翻弄されっ放しだが、読者を突き放す展開ではない。脱落しそうになったら、鬼貫刑事の思考シーンが登場するので、読者も一緒になって推理のプロセスを再確認できる。刑事の推理は論理的で、それが作者のミステリに対するフェアなスタンスを物語っている。多くの作家に影響を与えた作者のテクニックに納得できる作品。
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推理小説好きなら必ずおさえておきたい一冊。クロフツの「樽」以上の出来だと私は思ってます。
戦後まもない日本、九州から東京へ送られた列車貨物の中に、引き取り手がいない黒いトランクがあった。トランクの中には男の屍体が詰められていた。そしてトランクの送り主もまた遺体となって発見される。事件関係者が皆、同級生ということで鬼貫警部は事件に乗り出します。東京ー九州を往復し、犯人がしかけた鉄壁のアリバイを崩していきます。
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シンプルなお話ながら、それでいてトリックはちょっと複雑
じっくり読んでいかないとトランクや犯人の動きに置いてかれそう
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少し前に読んだので詳細はぼやけているが、緻密ながら飽きさせず、面白かった。
いずれ再読したい作品。
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1949年も押し詰まった鬱陶しい日の午後、汐留駅交番の電話のベルが鳴り、事件の幕が切って落とされた。
トランクに詰められた男の腐乱死体。
荷物の送り主は福岡県若松市近松千鶴夫とある。
どうせ偽名だろう、という捜査陣の見込みに反し、送り主は実在した。
その近松は溺死体となって発見され、事件は呆気なく解決したかに思われた。
だが、かつて思いを寄せた人からの依頼で九州へ駆けつけた鬼貫の前に青ずくめの男が出没し、アリバイの鉄の壁が立ち塞がる・・・。
図書館で目に留まり、借りてきました。超名作。
まさに寄木細工のような緻密な作品にくらくらしました。
やっぱりわたしには向いていないかも・・・。
こういう緻密なアリバイ崩しって苦手なんでしたよ。。。時刻表とかね。。。
地図も時刻表も、絶対になにかあるのはわかるんですけど、さらっと流してしまうんです。
でもやっぱり、さすがというか、本当に職人芸だなぁとうならされました。
トランクのトリックとアリバイ。
推理と理解を放棄し、ひたすら流れにまかせて読み進めましたが、すこしずつ謎がほぐれてくる様子がとても心地よい。
ケースに入った死体の移動、ということで横溝さんの『蝶々殺人事件』を思い出しましたが、やはり鮎川さんもあとがきで『蝶々』についても言及されていました。
思い出しついでに再読してみようかな。
また、巻末の座談会の北村さん、有栖川さん、戸川さん、という人選は作品にぴったりでした。
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鬼貫警部が登場するまで 事件の経過が淡々と語られ、又少々ややこしく 読むのにてこずってしまったのですが、警部が登場し(それもかつて愛した女性をたすけるために!!)容疑者が警部の同級生であり一人の女性を取り合った相手までいて・・とがぜんおもしろくなってきました。 しかしそこは本格推理の古典とも言える作品だけあってあくまでも殺人のトリック、犯人のアリバイを緻密に追って話は進みます。 愛する女性がいながらも「一生独身でいい・・」と語る鬼貫は 事件を常に冷静に見つめます。そんな鬼貫警部は結構私のツボであり(笑)ほかの作品があるのなら読んでみたいな・・と思いました。
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字ちっさ(泣)ややこしいけど面白い('◇')ゞ
まさに推理の醍醐味が味わえるんじゃないかと。じっくり整理しながら読まないとごちゃごちゃしてくるけどね。
風見鶏の話もいい例えだなと思った☆
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巨匠:鮎川哲也のデビュー作であり代表作。★3つの評価は、僕が時刻表アリバイものが不得手だから。土地と列車と時刻表が絡むとどうも頭が硬直しちゃって…得意な人なら★5つの名作なんだろうと思います。個人的には『人それを情死と呼ぶ』や『りら荘事件』の方が楽しめました。でも、こういう緻密な本格ものをずっと追求した筆者がいたからこそ、日本のミステリ界の今がある。その功績はやはり、偉大です。
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論理、論理、また論理。ロジックミステリ好きには堪らないかと。
だいぶ都合のよい部分も見受けられるし、突飛なトリックでなければ“ウケ”ない現代には少々古めかしく映るところもあるけれど、裏を返せば、こんなにシンプルな謎をここまで緻密に、懇切丁寧に絡ませ解く推理小説、今はなかなかないんじゃないだろうか。
読んでいる最中、ほんの少し息切れしてしまったけれど、完走してみると不思議と別の作品も読みたくなっていた。鮎川魔力。今度は短編にも手を出してみよう。
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実在する都市や交通機関が登場する本格ミステリーです。
北九州と東京を中心に繰り広げられる本格ミステリーです。実在の都市・鉄道・客船等や時刻表・地図等も実際の物を参照しながらストーリーが進み訪れた事の無い地方や乗り物なのに何故だかその情景が手に取る様に脳裏に浮かび最新のミステリーでは味わえない趣が有ります。
鉄道貨物を利用し死体を詰め込まれた黒いトランクが汐留へ発送された、、、
容疑者のアリバイと殺人現場のトリックがこの小説の最大の読みどころです。
登場人物が犯人を追う刑事と容疑者等関係者が学生時代の友人で少数に限定されているのですが鉄道・トラック・船を利用した仕掛けの上手さは最近流行の派手なアクションでどんどん展開が変化するミステリーとは違いスローで懐かしさ満載の本格ミステリー間違いなしの作品と思います。
トリックネタの精緻さも凄いですが犯人の動機がまた驚きでちょっと犯人に気持ちが入ってしまい過激で読後感がスッキリしないギラついたミステリーとは明らかに性格が違い爽快感が有ります。
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文春の「ミステリー100」の上位にあったもので、
偶然古書店で発見。名作と呼ばれるものはやはり期待してしまう・・・
分刻みで、XとZが やら
時刻表によると人物XがQに・・・やら
私の頭が理系にできてないせいもあり、何やらややこしい。
トリックの素晴らしさに付いてゆけないまんま、流されてしまいました。
犯人、被害者、刑事、その他容疑者、かかわる人々、
みんなが大学時代の同級生だなんて無理やり感全開ですが、
これで違和感ないのでしょうか?
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鮎川哲也の戦後本格の出発点となった里程標的名作。綿密な校訂と著者の加筆訂正による決定版。(「BOOK」データベースより)
汐留駅でトランク詰めの男の腐乱死体が発見され、荷物の送り主が溺死体となって見つかり、事件は呆気なく解決したかに思われた。だが、かつて思いを寄せた人からの依頼で九州へ駆けつけた鬼貫の前に青ずくめの男が出没し、アリバイの鉄の壁が立ち塞がる……。作者の事実上のデビューであり、戦後本格の出発点ともなった里程標的名作!(内容紹介より)
伝説の名作(?)をやっと読むことができました。
いつもクロフツの樽を思わせる作品といわれる本作、私も樽は既読だけど正直細かいことはよく覚えていない。
なんか樽が馬車であっちこっち運ばれて、刑事が足で捜査していたなあくらい(笑)。
そういう意味では確かに似ている。
鬼貫刑事、最初は想い人のために休みを使って捜査を始めた。
携帯もない、電話さえ今のようにすぐつながるものではない、そんな時代の捜査はひたすら足を運ぶしかないわけで、大変ですよね。
トランクの動きと人の動きが途中でわからなくなってきたりもしたのですが、途中でなんて単純なことなんだろうと気づきました。
ところで、運送屋さんの証言がイマイチよくわからないんだよなあ。
アレは嘘ついていたってことなのかなあ。
古い作品でもストレスを感じずに読めたのは、鮎川氏の文章が美しいからでしょうね。
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メイントリックの他、地名のトリックやすり替わりのトリックなど、幾つも盛り込まれているのでとても読み応えがあります。複雑なのに破綻なく構築しているところが凄いです。
また、探偵役の鬼貫警部は何度も壁にぶつかりますが、ごくさり気ないところからトリックを解体していくロジックが圧巻です。
全体的に地味ですが、アリバイトリックの最高峰に位置する作品だと思います。
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文体は古臭く読みやすいとは言えませんが、それを越えた魅力があります。さらっと読めるような作品ではないので、読むのに気合いが必要。これを読んでしまうと今のミステリーが物足りなく感じます。天才的な閃きではなく、ひたすら論理と実証で捜査を進めていく鬼貫警部が印象的でした。