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いやぁ、久しぶりにガツンときた1冊でした。
(終章より)本来、「人間社会の愚かさに詠嘆する」というのは、小説とか芸術の仕事だ。小説や芸術に、万人に共通する愚かさが描かれているとき、人々は感動する。その感動のメカニズムをこの新書でやりたいというのが私の意図だ。
・・・(途中省略)・・・自分自身の嗚咽を搾り出すようにして書いた次第だ。
マスコミが伝えないハリボテ日本農業の実態!として、知らなかったお話がいっぱいあって、読んでいる途中には、これもあれもといっぱい付箋つけたのですが・・・最後には哀しみの世界にどっぷりでした。
(2012/12/30)
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農家はお金がなく善人。
嘘であるを
はっきりだしている。
数字が少ないので、
裏ずけに乏しい。
やはり、半農半会社では農業は救えないことが分かった。
どうすれば、農業を救う手助けができるのかは、個人レベルでは不明だ。
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技能集約型農業が日本の農業が生き残る道というのが主旨。だが、もはや手遅れで、技能がどんどん失われて行っているという。本当に美味しい農作物を作ることが出来るには、この方法しかないのだろう。ただ、消費者自身もそれを認識できる味覚を持ち合わせていない。農家、農協、行政・官僚・政治家、消費者、マスコミなど様々な問題を指摘しているが、技能集約型農業の復活は絶望的のようだ。ならば、次善の手立てを考えて行くしかないのではないか。自分の手で耕している訳ではないが、これからも考えて行きたいテーマではある。
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「技能集約型農業」を日本の農業の生き残る道とし、「マニュアル依存型大規模農業」である企業の農業参入や逆にノスタルジーに耽る風潮、マスコミを虚妄に満ちたものと非難する。「技能集約型農業」は現実には困難、というのも同感。残念ながら。
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農業の肝は技能であり、その技能は失われる一方で、そしておそらく復活しないだろう、という絶望に包まれた一冊。農政や農家、農協を攻めるばかりではない。生産者の顔が印刷してあればオマエラは満足か、とばかりに、消費者が、よい技能でつくられたおいしいものを判別できないことを嘆く。僕などは、おいしくない材料をおいしく調理する技能があればよいではないか、などとひねくれてもみるのだけど。
生命を育む技能、という点で農業を見ると、いろいろゲンナリすることがあるのは事実かもしれない。
農業に限らず、技能をもったプロの仕事は届きにくいし見つけにくい。絶望も嫌いじゃないけど、それを明るく訴えるしかないんじゃないかなあ、顔写真とか以外で。
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誰向けに書かれた本なのだろう?農業に関わっていない人にとっては中身が少し分かりにくいような気も。でも「農業は尊い!成長産業だ!」とばかり言われる中で、こういう本の存在は大切だと思う。
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挑発的なタイトル。日本の農業は、言われているほど安全でも安心でもないし、逆に言われているほど絶望的でもない。問題は、正しくない根拠に基づく楽観論、正しくない情報に基づく悲観論、その両方だという。
農業には、他の産業と同じように、マニュアルに従って作業だけしていればよい側面(やり方)と、状況に合わせて職人芸で対応していく側面(やり方)があり、後者が致命的に損なわれつつあるという。
うむ。確かにその警鐘の鐘の音は耳に届いた。
工芸や町工場の分野で職人の技が称賛をあびることはある。
同様に、農業にも職人的な技がある、というのは言われるまで気が付かなかった。
ただし、内容というよりは口調のせいで非常に聞きにくい。
具体的に指摘できないのがもどかしいが、隣接分野で言うと、田中淳夫氏の森林に関する書籍は同じように現在の日本の林業の問題を糾弾していても読みやすかった。
農業の衰退の原因の一つを「見る目のない消費者、舌のおかしい消費者のせいだ」というような時には、話す側に「言うこと」と「聞いてもらえること」の間に横たわる大きな溝を埋める努力が必要だ。
田中氏はそれを行っているが、本書の著者神門氏はそれを行っていないように感じた。
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タイトルにそぐわぬネガティブな観点で
日本農業の現状を分析しています。
若干タイトルに反したポジティブな内容を期待したのですが。
ネガティブな内容だったので
レビューもなんとなくネガティブで。
日本農業の技能を残すことが鍵だと
この本では主張されていると同時に、
日本人の舌が退化しているから
高い技能により育てられた高品質の農作物が
競い負けてしまうことについて嘆かれています。
味覚オンチの自分としては
「舌の能力の回復」の方法もわからず、
食べ物の味の正当な(定量的な)順位付けができないので、
本書におけるおいしい野菜を作る人々についての説明に対して
単なる筆者の「宣伝や演出」なのか否かの
判断がつきません。
満州ブームと農業ブームの類似性についての話は
なんとなく蛇足だなと思いました。
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正しい絶望法というタイトルの通り、生産から消費まで農業に関わる人達、つまり日本人全員を徹底的に批判してます。
根拠のない批判は読み辛い点がありました。消費者が舌で野菜の良し悪しが判断できなくなった、名人農家の作物を妻が調理すると美味しい、名人農家の玉ねぎは目が痛くならないしピーマンのえぐみがないなど、序盤から読んでいてうんざりします。
農地転用の問題の解決策は地域の監視の目だそうで、生活保護不正受給を密告しろっていう馬鹿げたガイドラインと同じことにならないかと感じた。それこそ、本文中で著者自身が批判していた「ムラ意識」なのでは?
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以前に、日本の農業生産高が世界でも有数で素晴らしいという論調の本を読んだことがあります。その時は日本には少数の農業従事者で、高品質な農作物を生産していて素晴らしいという思いでしたが、この本では、それとほぼ反対の意見を述べています。
この本の著者である神門氏によれば、日本の農業では、農作物を作る技能が低下していているとのことです。それには美味しいものを見分けられなくなった消費者にも責任があるとしています。
改革方法も述べていますが、一番印象に残ったのは「平成検地」の重要性でした、日本では、地租改正(明治検地)、戦後の農地改革以降は行われていないようで、農地がどのように使われているか、税金もどのようにおさめられているかが見えなくなっているようです。以前に、歴代の統治者が検地を実施する難しさがなんとなく分かってきました。
以下は気になったポイントです。
・日本の農業保護額は4.6兆円で、日本農業の付加価値額の 3.0兆円を上回っている(p19)
・処理が不適切な糞尿が農地に不用意に投入されると土壌が窒素過多になる(p23)
・流通マージンの大半は、実はスーパーでの小売値と仕入値の差額である、100円のうち65円程度(p27)
・担い手が現れるのを警戒している農家もいる、マスコミ集めの数年間限りの農業参入は歓迎するが、担い手としてムラに定着してもらいたくないというケースもある(p51)
・自ら農業を行う場合、もっとも好まれるのは稲作、機械化が進んでいて週末労働で充分に対応可能、JAなどの作業受託サービスも行き届いている(p53)
・2004年の改定により、文字通りの減反対策は終了した、30%程度の農家は生産調整に加入していない(p61)
・世帯員一人当たり所得で、農家は勤労者世帯よりも 15%程度高い状態が1980年以降続いている(p71)
・よい先生は子供を総体で把握するが、へぼな先生はチェックリストづくりに汲々とする(p117)
・第一次世界大戦後の日本のインフレを考慮すれば、当時の日本円の価値は下がっていたので、旧平価の半分くらいで評価するのが妥当だっはず、それを旧平価で金本位制に復帰したので、大幅な円の切り上げ
なった(p138)
・耕作面積といっても、作業の受託・委託をどう扱うかで変わってくる(p160)
・JAの金融企業は2008年リーマンショックで国内では最大損失を出したと言われている、組合員農家の負担を強いる形で、1.9兆円の増資をした(p163)
・正組合員数は、407万戸で、農水省の農家戸数の253万戸を大きく上回る、また準組合員戸数は408万戸もいる(p169)
・2008年以降に豊作にもかかわらず世界の飢餓人口が増えたのは、リーマンショックによる世界不況で途上国の貧困層の収入が減ったから、食糧の絶対量の問題ではなく経済力の問題(p187)
・平成検地(農民基本台帳の洗い出し)、情報公開、人から土地への大転換が必要である(p211)
2013年3月17日作成
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そうなんだよ、忘れていました。
本書の指摘「美味いもの生産せよ」。
小難しくない根本的議論、皆忘れてたでしょ。
「絶望」という極論を投げるが、割合真っ当な問題提起。
論理展開は無理やり持っていった感一杯ですが。
議論の進展の全くない農業諸問題に辟易するなら
この本に刺激を求める価値がある。
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「日本の農業のレベルは高くない」「有機農法だから美味しいとは限らない」「野菜工場の事業化は困難」といった農業の固定観念を覆すようなことが記されている。そして著者は「技術」ではなく、マニュアル化できない「技能」集約型の農業こそが日本を農業を救うと主張する。
若干著者の価値観が反映され過ぎているような感じはするけど、その分インパクトは大きい。僕も有機農法=美味しくて環境に良い、と考えていたけど、どうも思考がストップしていたみたいだと気付かされた。
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耕作技能の復権を中心に説く
改革派・保護派の双方を批判
まず土地のあり方(平成検地)から見直すべき、とする
新規就農者にやせた土地を貸し出し
地力が回復したところで追い出し、親族に耕作させるとか
形だけの大規模農家を作って補助金を受け取るとか
実際の農家は安い固定資産税に持ち家で、
普通の都会人より儲かっているとか
料理のうまい奥さん話とか、昔満州今農業とかは
なんかなー、という部分もあるのがご愛嬌
18 耕作技能
24 堆肥もどき、EM菌?有用性乏しい微生物
27 スーパーの大根100円、農家には30円。直売所「ごみ箱」
32 えぐみ、硝酸態、過剰な窒素が取り込む
37 担い手育成で土木工事→後に宅地転用
39 土つくり
52 転用機会!!!
65 牛に成長ホルモン、去勢ホルスタイン
71 農家収入
95 日本の農家は自然保護と両立、欧州は自然破壊的
114 書類審査
129 農家の日本人バイト、すぐ辞めるのでダメ
136 重工業、市場を求め海外へ。大量生産で安くなる
153 農商工連携、補助金の受け皿
160 名ばかり大規模農家
164 JAの政治能力喪失
170 JA、農業共同利用施設で大赤字
177 限界集落より身近な高齢者を助けるべし
183 輸出補助金付きダンピング。発展途上国の農業大打撃
191 アスパラガス、K名人
202 マスコミが新規就農者をおだててダメにする
207 平成検地
222 技能のある農業者は花作りもうまい。
川上、農業生産者の技能低下
川下、消費者の舌の衰え
植物工場、投資額に見合う収益が上げられない
電力高いから、海外でやったほうがまだいいのでは
奇跡のりんご、文字通り奇跡的。
ただし粗放農業では現代社会を支えきれない
土作りと堆肥作り
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スーパーに並んでいる商品は、美味しいものより安いもの、売りやすいものです。いつからこんな売り場になってしまったのでしょうか?食に携わっている者は必読です。
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著者の区分に従えば、”マニュアル依存型”とは”技術集約型”であって、必ずしも”技能集約型”に対して劣るものではない。恐らく著者は企業が大規模に参入している”技術集約型”の実態を全くご存じない。知らないなら偉そうなことを言わなきゃいいのに、イメージだけで語るから説得力がない。
高品質、高価格の技能集約型農産品の生産量が低価格のマニュアル農産品より少ないのは当たり前である。カローラよりベンツの販売数が多いなんてことは普通ありえない。名人の野菜が売れないのは消費者の舌が愚鈍化したのが原因ではなく、純粋に貧しくなった日本人には高くて買えないのだ。それなのにすべての野菜をベンツにせよという。あきれてものが言えない。