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「よその成功事例のケーススタディなんかやっても、スタディしているうちにビジネスの環境は変わるからあまり使いものにはならない」ということを某社で健在の創業者社長が言っていたのを思い出した。
その意味ではビジネススクールの研究に裏打ちされた失敗事例集みたいな本。
経営者と経営学の研究者の関係は、芸術家と批評家の関係に似ている。
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表題からして裏の世界の話かと思ったが違った。現代の企業の抱える問題点を学問的にあぶり出しているのが本書である。会社員にとっては、「あぁ、うちだけじゃないんだ」という妙な共感を得られる書物でもある。
経営とは何か?
買収は何故繰り返されるのか?
企業は誰のものか?
株主の利益の最大化は正しいのか?
取締役会は機能しているのか?
そういう企業の本質に対して、悉く学問的な研究成果を以て切り込んでいく。バサバサと切り捨てていく様はなるほど一種の快感である。しかし、今後どうするべきかというと答えに詰まる。最終的には、現状否定だけでは、何もなし得ないということを思い知らされた一冊だった。
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経営学のエッセイ集。だが実際の論文をベースに議論を展開しているので結構鋭い。
常識に一石を投じるまさにthat's interesting的な面白さに溢れた一冊。
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流行りの経営手法、買収、取締役会、その他多くの企業で当たり前のようにやられていることや言われていることが、実は意味がなかったり、時には害でさえあることを実例や根拠を示しながら、論じている。逆に、何も商品を産み出していないような研究開発や不要と思えるような組織再編に意味があると言う主張も面白かった。
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ふだんビジネス系の本はあまり読まないんですが、これは面白かった。自分の会社に当てはめたりすると特に。
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入山章栄『世界の経営学者はいま何を考えているのか』(英治出版、2012年)には、経営学の三大ディシプリンを①経済学、②認知心理学、③社会学としている(p.46)。その分類に従えば、フリーク・ヴァーミューレン『やばい経営学』(東洋経済新報社、2013年)は②に該当する。著者は本書で企業経営の非合理な側面をあぶり出しており、社会心理学の書籍を読むような驚きがあった。
たとえば第6章(経営にまつわる神話)には、ISO 9000の導入によって企業の長期的なイノベーションが阻害される調査結果が記されている(p.193)。ISO 9000に限ったことではないが、プロセス最適化に関するマネジメントシステムは形骸化しやすいので、無理もない。しかし、短期的な利益(世間の評判や株価の上昇)は得られるので、流行に従って導入してしまいがちだ。そのほか、研究開発部門の真の貢献は研究開発ではなく競合企業の新発明を素早く模倣することにあるという点も興味深い。
情報システムとの関連では、知識データベースである「ノウハウ管理システム」の事例(p.212)が興味深い。プロジェクトに入札するためのノウハウ管理システムが構築・運用された企業で、システムの効果を検証するために社員のデータベースの活用が入札成功率に与える影響が調査された。すると、内部データにアクセスすればするほど入札に負けるという、予想を覆す事実が判明した。過去のノウハウが見つかると、それで満足してしまって思考が停止するためだ。著者は、「高価な文書データベースは廃止したほうがよい」と述べている。
また第7章(暗闇の中での歩き方)では、イノベーションをめざすと失敗するリスクが大きくなるうえ成長もしないという結果が示される(p.228)。むしろ、うまくいっている他の会社を「そのまま」コピーするのがよいという。優良企業の成功要因は複雑に絡み合っていて、1つ1つを取り出すのは難しい。従って、最初は完全にコピーし、時間をかけて修正していくのがよいのだそうだ(p.246)。
また、組織再編についての助言も納得のいくものだ。著者は、たとえ明確な理由がなくても組織再編を行うべきだと主張する(p.253)。それは社員同士のつながりを活発にさせるとともに、過度の権力の集中を止め、変化に対する適応能力を高める効果がある。
学生のころ、『Dilbert』というエンジニアを主人公にした米国のコマ漫画で、効率化のために機能を集中させ、その1年後にボトルネック解消のため機能を分散させる経営層の説明を聞いた主人公が「こいつはマネジメントの天才だ」と独白するシーンを思い出した。あれはまんざら間違いではなかったのか。
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「ヤバい経営学」は別のヒット書籍からの転用らしいですが、この邦題の軽さが、内容の軽妙さとシンクロしていると思いました。「会社って組織ってやつは…」「経営者って存在ってやつは…」なんかデータと事例を多用して皮肉っぽく展開していくのですが、その根底は決してネガティブなものではなく、会社という仕組み、会社経営という行為についてのポジティブな期待を感じました。最近のビジネススクールでは数字による効率化だけではなく、人間の本性を活用することへの言及が増えている、という話を聞いたことがありますが本書のその流れに位置するするのでしょう。基本は「ヤバい」からこうしたら、じゃなくて「ヤバい」からどうする?なのでもうちょっと突っ込んで考えたくなりますが、まずは、「気づけ!」ということだと受け止めました。
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経営の意思決定と組織に関する、極めて真っ当な本。視点が新しく、すごく勉強になる。有用な情報なりコネなりを集めることができる組織が強いのかな、と読んでて思った。
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素直に面白い。訳もこなれていて読みやすい。
まさに自分が普段感じているビジネスの現実を思い浮かべながら「あるある」と笑ってしまうことを、各種の論文等で裏付けてくれるので楽しい。
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とても良い本です。是非経営者の皆さんに読んでほしい。私も裸の王様にならぬよう、頑張らねば!
しかしこの題名はちょっと軽すぎるのでは、、
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ヤバい経済学をはじめて読んだときと同じ衝撃度。ただし、経済学ヤバい(超おもしろい)とは違って、経営者ヤバい(間違いだらけ)、世に出回っている経営理論ヤバい(間違いだらけ)というところがミソ。
経営戦略ヤバい(役に立たない)、優良企業ヤバい(今がピークで後は落ちるだけ)、リストラヤバい(やると潰れる)、M&Aヤバい(ほとんど失敗)、カリスマ経営者ヤバい(ほとんど運の世界)、社内データベースヤバい(金太郎飴化が進んで差別化できない)、イノベーションヤバい(たいてい潰れる)、株主重視ヤバい(長期的には社員重視のほうが生き残るかも)、エトセトラエトセトラ。
本書を読み終えた人は声を大にして叫ぼう、「王様は裸だ!」
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訳がちょっと固いような
内容自体は(本当に裏付けがあるのかはともかく)科学的でまっとうな手法を使って常識に反すると思われることを述べるという良いスタイル
まあたしかにこんなもんなのかもねーとは思うけど、まゆつばなところが散見されることも
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・経営者も他の経営者のまねをしているにすぎない。
事例:新聞社は新聞のサイズを小さくすればいいのに、なかなかそうしない。製薬会社のMRも非効率だが、すべての会社がやっているからなくならない。
★全く同感。
・経営が危ないときは、コストよりも売り上げを重視したほうがよい。
・経営が危ないとき、経営者にできることはあまりない。
・ほとんどの買収は失敗に終わる。新聞は買収合戦の勝者を賛美するが、当初の予定より大幅に多い金額を支払うはめになったその会社が果たして勝者なのか。
・アナリストが、この会社を分析対象にする、としただけでその会社の株はあがってしまう。
・無能な研究開発部門でも、他社のスキルを分析するスキルがあるので、持っておくとよい。
・ルイ・パスツール「チャンスは、その準備を整えたところに舞い降りる」
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そんなに(全然?)ヤバくはない。
想像の範囲を超えない。
最近,調子に乗っているなぁ…と感じている経営者等が
戒めのために読むといいのかもしれない。
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「ヤバい経済学」の二匹目のどじょう狙いとおもっていたのだけど、読んでみたら意外に面白かったです。
やってることが「ヤバい」というよりは、今の経営現場で行われていることの問題点をあぶりだすという内容。
特に興味深かったのは次のようなこと。
まず「選択バイアス」、目に見えるデータだけから判断するとダメという話。例えば、革新的なプロジェクトは組織横断的なチームから出るという概念、組織横断的なチームは成功もしてるが、失敗してるものもある。成功している事例だけを調べると誤った結論を導いてしまうということ。
それに、「原因と結果の取り違え」。企業が成功するためには、コア事業に集中すべきという考えがあるが、低迷している企業は、他に儲かるビジネスを探そうと多角化することが多いが、成功している企業は成功している事業に集中するのは普通。つまり、コア事業への集中は成功の原因ではなく結果だということ。
このほかにも、ISO9000は業務の効率性を高めるが、優れたイノベーションは組織のやり方を外れたところから生まれることが多いので、ISOを積極的に導入すると革新的なイノベーションは生まれなくなるとか、顧客の望むものを作ろうとすることは顧客の嗜好を満足するだけで終わってしまうが、真のイノベーションは顧客の嗜好を変えてしまうことだとか、なるほどーっと思われる記述がたくさんあり、目からウロコがたくさんです。