紙の本
著者の太陽のように熱い気持ちが伝わる!
2013/07/09 00:05
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kwt - この投稿者のレビュー一覧を見る
太陽が巨大な核融合炉であり,その内部構造を知ることは難しいことは,大学時代に学んでいたので知っていたが,その巨大な未知の塊に挑む様々な工夫の成果を本書は教えてくれる。荷電粒子の移動が生み出す磁場が,そんなにも太陽の挙動を複雑なものにしていることに驚かされ,その小さな変化が地球の気候変化に大きく現れることを再認識させられた。
本書の大きな特徴は,著者が太陽の営みを知ることに喜びを感じ,知り得た知識を出来るだけ易しく,読者に伝えようとしているところにあると思う。
その思いが観測衛星を飛ばすための雑多な作業に注がれ,得られたデータを公開することにより,後輩や世界の研究者が様々な知見を明らかにし,それが著者の喜びっているのだろう。その苦労が思われる。
残念なことは,まだ道半ばして,太陽活動のすべてが解き明かされておらず,その未解明なところが著者の説明をあいまいなものとしている雰囲気があることかもしれない。分かり易さのために,もっと断定的に持論を展開されても良かったかと思う。
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太陽の活動が活発になるはずの周期に、その兆候が見えないことよりも、地球上で人間が起こす環境への影響のほうが、地球にとって人間にとって重大ということ。
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4重極構造について見聞きしたことがあり、プレスリリースも読んだがそれぞれの関係性が掴めていなかった。この本のおかげで太陽物理研究の概況を知ることが出来た。個人的にはコロナ加熱問題に関する研究の部分が興味深かった。
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近年太陽活動は低下して,周期も延びてきてるそう。太陽研究三十年のキャリアをもつ著者が,この太陽の異変をつかみにして,太陽の科学とその歴史についてやさしく解説。
太陽については,黒点と磁場の関係,太陽嵐などある程度解明されているけど広く知られてはいないことが多いし,まだまだ解明されてない謎もたくさん(コロナ加熱問題など)。身近な天体だし,とても魅力的。
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今、太陽の黒点が少なくなっている状況、どういうことになっているのか、太陽の極が代わるのはどういうことなのか、興味深い話が書かれていて、また、わかりやすく書かれているため、すっと読めてしまった。いい本。
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太陽の様子がどうもおかしい。11年の周期が長期化し、ここ20年の間には黒点数も減少。これらは何を意味するのか?2012年1月、太陽の4重極構造の兆候をとらえた観測衛星「ひので」の最新データから、人類にとって最も身近な存在、太陽の謎に迫り、地球への影響を考える。
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太陽の周期数や黒点の数も減っている。太陽に何が起きているのか、太陽からくる地球への影響はどんなものがあるのかを、わかりやすく説明した一冊。日本の今年の気候はどうなるんだろう…。
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【太陽の活動低下は地球寒冷化の予兆?】太陽に異変が起きている。黒点数の減少、周期の長期化、4重極構造の兆候。最新データから太陽の謎に迫り、地球への影響を考える。
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黒点やフレアの発生メカニズム、コロナが高温である理由が仮説ながら説明されていて、おもしろかった。
磁極は黒点数の極大期の時に入れ替わり、22年周期。
太陽の外側30%は対流層で、原子核と電子がばらばらになったプラズマ状態。その内側に薄いタコクラインがあり、ここで磁場が強められている。その内側の50%は放射層。中心核で核融合が起きている。
表面では高緯度より低緯度の方が自転が速い(差動回転)が、放射層は緯度によらず同じ。両極を結ぶ磁力線にはプラズマ粒子が巻き付いているが、差動回転によって水平方向に巻かれて磁束線を生み出す。磁束線の内部の物質は外部に押し出されて軽くなって対流層を浮き上がり、熱が供給されなくなるために低温になって黒点となる。
黒点はN極とS極のペアで発生するが、その中間部分の磁場が失われた磁気中性線の上空にプロミネンスが発生する。黒点ペア間の逆向きの磁力線がつながると、磁力線に巻き付いているプラズマ粒子が上下に吹き飛ばされて、1000万度以上の熱を発生してフレアになると考えられる。フレアによってコロナが加熱されている可能性がある。