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高校時代にぺらぺら読みました。
純文学を買ったのがはじめてだったので読むのにかなり時間がかかりました・・・。
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白痴の女と火炎の中を逃れ、「生きるための、明日の希望がないから」女を捨てていくはりあいもなく、ただ今朝も太陽の光が注ぐだろうかと考える。戦後の混乱と頽廃の世相にさまよう人々の心に強く訴えかけた表題作など。いずこへ、白痴、母の上京、外套と青空、私は海を抱きしめていたい、戦争と一人の女、青鬼の褌を洗う女
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清廉潔白な人たちが不謹慎な人に対して目を光らせている世の中だから、こういう小説を読むとホッとする。「戦争と一人の女」、「母の上京」が好き。
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いずこへ
白痴(1946/昭和21年)
母の上京
外套と青空
私は海をだきしめていたい
戦争と一人の女
青鬼の褌を洗う女
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戦時中、白痴の女に寄り添う伊沢の話。白痴の性質が描かれていて寄り添う男の心理が新鮮。葛藤、逃避、自卑、それでも女が欲しい。時代背景と言葉の古さがあり今の自分には読みずらい。
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角川文庫版とは収録作が違うため、借りました。
「戦争と一人の女」がお気に入り。安吾が書く女性像がけっこうびびっときます。
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同著者の『堕落論』を読んでから手に取ったせいもあるかもしれないが、本著に収められたいずれの作品にも「堕ちる」というテーマが共通するように思った。
今まさに堕ちてゆこうとする者、堕ちることへ憧れる者、そして結局のところ底の底まで堕ち切ることのできない自らの浅ましさを軽蔑する者。描かれているのはそうした人間たちばかりだ。
堕ちることが安吾が目指した人間昇華の理想的手段だとすれば、日本を奈落の底へ導こうとした戦争とは、まさしくその手段を実行する最適の環境であったに違いない。
戦争による破壊、戦後の荒廃、情欲、貧乏。暗澹たる背景を有した作品であるにもかかわらず、しかし登場人物の生き様が感じさせるのはある種の清廉さに近く、それこそ安吾の理想とした堕落の在り方なのだろう。
暗い穴に身を投げ、その落下に身を任せることで、すすがれていく魂を思う。果てまで堕ちぬいたその先で、人間の本質が「ニッコリ」笑い佇んでいるような気がした。
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表題作を読むのは二度目になりますが、他の作品が未読なので手にとったら…すごい。特にラスト二篇『戦争と一人の女』『青鬼の褌を洗う女』は、安吾の描く女の心情の明け透けさに圧倒された。戦争文学は数多あるけれど、こんな視点から語られる物語はなかなかないのではないか。解説には現実と理想における葛藤云々とあったが、それは青臭いものではなくて、安吾の描く女はその葛藤を寧ろ強かに受け入れてどこまでも自由たらんとする。本当に、この本のおかげで戦争に対する新しい視点を得ることができた。
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白痴を知ったのは、確か高校生くらいで、浅野忠信が主演していた映画で知って読んでみようと思ったのがきっかけ。
なんていうかなぁ。希望もなんもないけど、手を握ったものを捨てるほどの潔さもない。生きることだけ。
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文学について何か語るには
俺はまだまだ若すぎるのだろう。
退廃。デカダンス。
丹精な文章からほとばしるそれは
そら恐ろしいほどのオーラさえ感じさせるのだが。
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なるほど、安吾はこういう人だったのか。ニヒリスト、かと思っていたらそういうわけではない。特に気になったのはやはり「青鬼」。いろんな要素が消化しているように思った。
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全体を通して、戦争と終戦が人々に与えた影響を繰り返し考えさせられました。
それにしても、女性視点でさえ書きあげてしまう坂口安吾はすごい。
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『いずこへ』
どうしようもなくなった主人公が、ある小説の一節を思い出し、図書館へ行く。そこで手当たり次第に本の目録をめくるのだが。
「俺の心はどこにあるのだろう? どこか、このへんに、俺の心が、かくされていないか?」
これを読んだとき、まさに「これだ!」と感じた。本を読むという事は、なんだか、そういうことなのかもしれない。
『私は海を抱きしめていたい』
高校の教育実習で知り合った方が、この題名をいたく気に入っていたのがとても印象に残っている。
曰く「なんて綺麗な言葉だろうと思った」。
まあ、基本的にダメな男と女なんだけども。
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戦後間もない時代の作家の空気がもろに出ている。
こういう感じの肉欲の表現、この時代独特の感じ(そしてちょっと脱線ですが1980年代のつまらない日本映画の感じ)。
よっぽど戦時あるいは戦前の道徳の抑圧が凄かったのか、それとも単なる作家というアウトローの自画像なのか。
個人的には前者を背景にした後者なのかなと感じる、市井の人々とは何か違うような気がする、何の根拠もないですが。
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これまで読んだどんな小説よりも、エロティックで背徳的。戦時下、常に死と隣り合わせの日常で、享楽を貪る男と女を描いた7編を収録。
その中からいくつかの感想。
「白痴」
空襲の最中、男と女が押入れで息を殺しておびえている状況が現実感を伴って空恐ろしい。がなりたてるラジオ、警戒警報のサイレン、高射砲の音、B29の通り過ぎる音。照空灯の真ん中にぽっかり浮かぶ機影、真っ赤に色ずく夜空……
畳み掛ける恐怖のイメージに鳥肌が立つ。戦争という言葉は、あまりに大きすぎて概念として捉えることしか難しいけれど、この物語はリアルに教えてくれる。
「戦争と一人の女」、「青鬼の褌を洗う女」
戦時下の日常において、自分の体をおもちゃにして遊ぶ女たちを描いた作品だ。
ただ、己の肉欲のために肉欲の塊と化した女の匂い立つようなエロス。
背徳的、官能的で、エロ小説以上にエロい。快楽のアリ地獄に落ちていきそうだ。苦しくて切なくて胸がふさがれそうな物語だ。
肉欲でつながった相手の喪失感は、時に心でつながっていた相手の時よりもダメージが大きいのは、それは一点の曇りもない純粋さがそうさせるのだろうか。人間の理智なんて肉欲の前では簡単にひざまずいてしまうのだろう。