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ここから新しい物語が始まる。
2004/02/02 18:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:purple28 - この投稿者のレビュー一覧を見る
検死官シリーズは本作で12作目となる。
古書店で何気なく手にした「検死官」。
そこから新刊を追い、ここまでついて行くとは、
自分でも思ってもみなかった。
バージニアの検死局長であるスカーペッタは、
ばりばりと仕事をこなすキャリアウーマン。
女性にとって憧れの的であると同時に、
プライベートでは多くの悩みを抱えていて、
身近に感じられる存在でもある、というところが
このシリーズの魅力。異国の地、アメリカが舞台で、
検死官という、なじみの薄い職業についていながら、
読者が彼女に同調できるのは、限りなく
実在する人物のように描かれているからではないかと。
彼女の日常の習慣、好き嫌い、性格など、
非常に細かく、そして生々しく描かれていく。
描写が生々しくて痛々しいのが、近藤史恵だと思っているのだが、
パトリシア・コーンウェルの場合、読んでいて痛くないのはなぜか。
そこはやはり、“舞台”が整っているから。
凶悪犯罪の見本市・アメリカ。
無残な死体が集まる検死局。
解剖が毎日の仕事である検死局長。
あまりにも読者の日常とかけ離れている舞台。
しかし、そこに登場するのはリアルな人物ばかり。
このギャップが読む人の“痛いところ”に
届きそうで届かない距離なのではないかと思っている。
さて。本作「黒蝿」だが、読んでいて違和感を感じた。
3年ぶりの新作だし、久しぶりだからかと思っていたのだが、
訳者解説を読んで納得。
これまでスカーペッタの一人称で描かれていたのが、
今作より三人称で描かれているのだ。
これまでは、スカーペッタに寄り添って、
読者も一緒に事件を“体感”していたのが、
ただの“観察者”になってしまったようで、ちょっと寂しい。
けれども、これが“第2部のスタート”なんだな、と実感してみたり。
そういう風に考えていけば、少し物足りないストーリーも、納得できる。
プロローグなのだから。
検死局長を辞任し、フロリダに居を移したスカーペッタ。
コンサルタントとして、検死官の仕事は続けているが、
彼女がこれまで作り上げてきた“城(仕事場)”はもうなく…。
マリーノは警察をやめ、ルーシーは自分の信じる道を進む。
これまでの“地位”を捨てる選択をしたのか、せざるを得なかったのか…。
地位は捨てても“過去”は、“自分”は捨ててはいない。
それらは捨てることができなかったのではなく、
乗り越えなければいけないと分かっていたから。
上下巻に分けるほど長かったストーリーだが、
少々盛り上がりに欠ける。衝撃も少なめ。
これがスカーペッタの目を通して描かれていたなら、
もっと衝撃も大きかったことだろう。
でも、これが新しい物語の始まり。
本作で解決されていないことが残っている、というのが、
次作への期待を膨らませてくれる。
彼女も●●●たことだし(笑)。
(紫微の乱読部屋)
12作目
2022/03/24 01:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MR1110 - この投稿者のレビュー一覧を見る
このシリーズは検屍官が主人公とあって描写が具体的なのですが、今作は特にグロテスクな表現が多いように感じて読むのが辛いシーン多めでした。
パトリシアへの手紙
2004/01/14 23:13
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エンドルフィン - この投稿者のレビュー一覧を見る
パトリシア・コーンウェルの検屍官シリーズ最新刊『黒蠅』です。わたしがコーンウェルの友人なら、彼女に次のような手紙をしたためることになるでしょう。著者本人への手紙だからかなり際どいネタもあるのでご注意ください。
ねぇ、パトリシア。君の最新作『黒蠅』を読ませてもらった。三年ぶりの検屍官シリーズなので前作がどんな結末か、うろ覚えだったのでストーリーを追うのに少し苦労したよ。今までケイの一人称表現だったのを三人称の視点にしたり、年齢設定を変えたり、シリーズも長くなると大変だなぁと思いながら読んでいたのだけれど、物語の後半にはびっくした。君は知るはずもないけれど(そして日本でも若い人は知らないと思うけれど)、昔日本で花菱アチャコというコメディアンがいて、彼の有名なセリフを思い出してしまったのだ。「無茶苦茶でござりまするがな」というのだけれどね。パトリシア、常々君の才知と美貌には賛辞を惜しまないぼくだが、今回はいくら何でも感心しない。あの彼を生き返らすのもずいぶん乱暴だと思うけれど、まぁそれは許すとしよう。でもその彼とルーシーにあんな事をさせてはいけない。法を超えた彼らの行為を物語に持ち込むのは、同時多発テロ以降のアメリカの空気の変化が君にも影響しているようで心配だ。
ぼくたち、日本のファンはたとえ、どんな内容であろうと、この検屍官シリーズを途中で放り出すわけにはいかない。最後まで付き合うつもりだ。でも、君に一つ提案があるんだ。この検屍官シリーズは次回作で最後にしようよ。それもあまり間隔をあけずに、早い時期に出そう。ストーリーはここまで来たら、少々大胆でもかまわないと思うから、決着をつけようよ。そろそろ、ケイ、ルーシー、マリーノ、それにベントンの四人を君の呪縛から解放してあげてもいいころだと思うよ。