非凡な町で平凡な夫婦が
2022/03/20 14:58
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
神々と人間たちが共存共栄する、黄金町が魅力的です。マンネリ化していた青奈・那津男の関係も、少しずつ進展していくようで心温まります。
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現実と変な世界が不思議と溶け、混ざり合っている物語。
その2つの混ざり具合、その引き合いの出し方がすごく優しくて心地いい。
妙な景色に出会っても、なんの違和感もなく「ずっとそうだった」と自然に受け入れているその感覚が、不思議な浮揚感を醸し出している。
不思議な町で、妙な人たちと暮らすなかで得る、ふわふわして大事なナニカ。
読み終えても、なんだかふわふわしてます。
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不思議な雰囲気を持った小説。
ふわふわした独特の色彩がある印象。
雑誌で読んだのが少し前だから、
内容を若干忘れている。
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ツッコミ不在の、不思議な町の不思議な話。
あまりにも当たり前に不思議なことが書かれているので、「そんなもんなのかな」と、すんなり思えてしまいました。
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すばる文学賞受賞作。
不思議な事が起こる黄金町に引っ越してきた青奈夫婦。
この町では初詣には閻魔様を詣で、民家の屋根ではしゃちこほこが動いている。
そして謎の存在、アーちゃん。
そんな町のそこここに存在する不思議を当たり前の日常として受け入れている風変わりな住人達との日常が、妻目線で描かれています。
この妻の語り口が軽妙で味わいがあり、非現実な中にも妙に生々しさのある部分を上手く中和している感じがします。
読後もなんだかふわふわした余韻が残ります。
おしゃべりオパール、欲しいかも(笑)
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この前図書館で目に止まった本はことごとく不思議な世界のものばかり。
年度末のゴダゴダで疲れた脳が呼び寄せたのかな。
本書は大人のファンタジー。
突拍子もない空間に若干戸惑ったが
馴染んだら案外好き。
アーちゃんが切ないがいとおしい。
【図書館・初読・3/29読了】
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屋根の上のシャチホコが動いたり、
蓮池に毎日お釈迦様が生まれたりと、不思議な描写が
日常のそこかしこに挿しはさまれます。
そんな不思議な町で暮らす、
こころのあり方が不思議な町の人たちと、
そこへ越してきた、夫婦の話。
書いている内容は至極普通の、浮気を繰り返す男、
ふわふわした妻…というちょっと昼メロな要素ですけど、
不思議な描写で、ほんわりした愛の物語調になっています。
でも、心底愛っていいなー、とならない。
なんか孤独。現実もこんな感じですか?とさめて終わります。
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仕事を辞め、夫と一緒に新しい町に引っ越してきた青奈の日常を
ゆるゆると描いた本なのですが
面白いのは、普通の描写の中に時折顔を出す、不思議な数行。
たとえば。。。
初詣の帰り道、突如として現れ、いたずら坊主を投げ飛ばす閻魔様。
筆を振り回して通りがかりの人にペンキを塗りたくる、アーちゃんという子ども。
(しかも、アーちゃんは歴代何人もいるらしい)
民家の屋根の上で、蛇をむしゃむしゃ食べているシャチホコ。
指にはめると喋り出し、持ち主にアドバイスまでする指輪、おしゃべりオパール。
公園の池に浮かぶ蓮の花がひらくたび、毎日姿を現すちいさなお釈迦様。
黄金町に住む人々がなんてことはない日常として受け入れている
こんな摩訶不思議なできごとに、「ほうほう、そういうものなのね」とばかりに
青奈も夫の那津男も、実にあっさり馴染んでしまうのです。
黄金寺に捨てられて、寺で育てられ、町で乱暴狼藉をはたらいても
町の人になんとなく許され、13歳になるとその身分(?)を卒業するという
歴代のアーちゃんたち。
心の中に積った汚いものをアーちゃんという生け贄に投影して
みてみぬふりをして過ごしている町の人たちは
いつまでも成長しないコドモの部分を抱えながら
大人として偉そうに過ごしている自分を見るようで、なにやらほろ苦くて。
密かに不妊に悩む青奈も、崩壊しかけた熊のぬいぐるみを溺愛する那津男も
女性に見境のない、青奈の雇い主の千ちゃんも
アーちゃんなしでも自分の汚さに向き合って、浄化できる日のために
魔法の巣のような黄金町で、自分を包む卵の殻を
内側からコツコツと、たよりない嘴でつっついているのですね。
不思議な味わいの物語です。
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ほんのりファンタジー。
あぁ、こんな世界もあるかもなぁ、と思える。
主人公が抱える悩みや考え方に共感する部分もあってか、読みやすく、1日で読了。
黄金寺、蓮の花、お釈迦様が湛えているだろう光、ペンキの色など、読了後の余韻に鮮やかな色彩が浮かんだ。
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当然のように変なことが起きる、誰もそれを気にしない、そんな黄金町の物語。失業して旦那とも微妙な関係の青奈と、彼女に仕事をくれた千ちゃん、その恋人のダイヤ。それぞれの微妙な感情を不思議な町を通して描いた、大人のファンタジー。
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しゃべるオパールの指輪、破壊的なあーちゃん、元あーちゃんだった千ちゃんとダイヤなど青菜と那津男夫婦の周りに起こるあれこれが、のほほんとしていて不思議な世界を創っている。
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夫の知り合いから格安で借りた一軒家に引越してきた青菜。おしゃべりオパール、あーちゃんの自由すぎる行動
…
すばる文学賞受賞作
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一文が驚くほど長い作家。仕事柄、単文で句読点を打ちたくなってしまうので、読んでいて最初はめげそうだった。でも、負けてなるものかと読み進めていったら、ファンタジーというにはちょっと毒気があって少し考えさせられたりもした。
まぁ、最後まで高橋さんの文章にはあまり馴染めなかったんだけど…。
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「人生なんかまったく不公平にできているもんなんだけど、その中で賢いやつはうまいこと幸福をみつけていくし作っていくんだよね。それをみるたびにおいらはすこし感動しちゃうんだな。その機会は誰にも、あんたにも平等なんだ」 (P154)
「人間ってさ、馬鹿な生き物だろ。だから、心の中に汚いものがあってもみてみぬふりしてるんだな。それがアーちゃんという形になってあきらかになる。自分の中の汚いものは消すことはできないけど、アーちゃんなら迫害することができる。ほら、キリストがさ、人類を罪から救済するために磔(はりつけ)になったって、キリスト教のやつらが主張するじゃん。キリストも心の中の罪を形にしてやったんだよな、きっと。無知な人間にはそういう目にみえる生け贄《にえ》が必要なんだよ」 (P157)