- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
増殖する凶気。
2004/06/15 20:46
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:川内イオ - この投稿者のレビュー一覧を見る
国内での十分な議論のないまま、まるで暴力団に
みかじめ料を払うかのように、アメリカ大統領に
多国籍軍参加を確約したこの国の首相。
紛糾した年金法案の議決の後に、まるで厚顔の
詐欺師のように、しれっと給付水準の前提を
下回る出生率を発表する省庁。
同時進行するように、地方の子どもは暴走し、都会の若者は空へ舞った。
『凶気の桜』には、思想に依ることでやり場のないイラつきを
発散する術を見つけた若者の、暴力、狂気、そして孤独が描かれている。
ヒダリでもミギでもない「ナショナリスト」としての
使命と暴力への衝動に駆られ、渋谷の街を疾走する
ネオ・トージョー。リーダー山口はメンバー二人と共に、
渋谷にたむろする「脳ミソのぱさついた」若者を
手当たり次第に襲い、徹底的に痛めつけ、ねこそぎ金を奪い、
女はレイプし、街を浄化していった。
影響力を持ち始めたネオ・トージョーに近づく、裏の世界の住人。
頭の切れる右翼、老いた国粋主義者、そしてプロの殺し屋。
与えられた車、奢られた飯、刺激的な殺しの話。
付け焼刃で矛盾だらけの思想以外に拠り所を持たない山口達は、
ひたすら現実的な「大人」の嘘と偽善と甘言に翻弄され、
弱肉強食の資本主義に染まった裏の世界の泥沼に足を踏み入れる。
ひとりはネオ・トージョーを抜け、右翼構成員に。
ひとりはナショナリストを見切って、殺し屋の下に。
ひとり残された山口は、両の羽をもがれた鳥のように、行き場を失う。
この物語は、決して「右翼」や「ナショナリスト」といった、
一部の人間にはとっつきにくいだろう、思想を語った作品ではない。
『凶気の桜』に描かれているのは、圧倒的な「苛立ち」と「不安」だ。
主人公の山口は、何も考えようとしない同世代の若者に、
自分達を見て黙殺を決め込む大人に、そして何より、
社会から無視されるているような自分の存在に苛立つ。
そして、居場所のない孤独な山口は、拠り所として思想を手に入れた。
それは、宗教にすがる人間が自己の存在の肯定を求めるのと変わらない。
この苛立ちと不安は、無力感を伴う閉塞感として、
余すことなくこの国を覆っている。
この閉塞感を打ち破るために、一部の子ども、若者は
これからもあらゆる「行動」を起こし続けるだろう。
大人が、この「行動」をヒマ潰しとして消費し続ける限り、
大人が、身も蓋もなく自己保身に走り続ける限り、
その数は増加し続けるだろう。
凶気
2002/10/09 21:03
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひで - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画化ということもあり、期待して読んだ。
内容はおもしろかったが、本の題名が内容に勝っていると思う。
作者の現代日本に対する不満が随所におりこまれ、大変共感できる部分が
多かった。しかし、凶気ということばほど内容が凶気だったかといえば
それほどでもなかったと思う。
ただし、読んでみる価値は十分ある。この作者の凶気をどう感じるかは、
読者自身の問題。「潔く生きろ!」というメッセージを感じてほしい。
よく分からん
2023/04/21 19:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あや - この投稿者のレビュー一覧を見る
何が伝えたいのかよく分からなかった。
イキった若者が筋モノに使い捨てられた感じ。
あれだけいきってるのに身体ちょっと弄られたくらいで
身代わりになる程おっさんに耽溺しちゃうかぁー??