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ヒキタクニオの【凶気の桜】を読んだ。
この作品は2年くらい前に窪塚洋介主演の映画を先に見ている。
原作の【凶気の桜】は映画では映像化されなかった場面やストーリーがあり、読後感は映画を見終わった
時よりも良い。
「ネオ・トージョー」と呼ばれる若者3人が渋谷を舞台に繰り広げるバイオレンス作品。
ネオ・トージョー(日本人なら東条英機、がこの名の由来)の1人である山口が放つ言葉「暴力こそが正
義」の通り、渋谷の街を異様な白装束(彼らのいう戦闘服)に身を包み、そこいらにたむろするアメリカ
かぶれの若者達に「奪還、強制、排泄」と称した「カツアゲ、暴行、強姦」を繰り返す。
ネオ・トージョーのイデオロギーはナショナリズムを背景としている。つまり、思想は「国家主義」「民
族主義」である。そうなれば、当然出てくるのが「右翼」の存在だ。【凶気の桜】では大東亜青雲同盟な
る政治結社(任侠右翼)が、ネオ・トージョーの3人に目をかけ、利用しようと目論む。
本職の誘いに憧れを抱きつつも、「自分たちはネオ・トージョーという独立した立場。誰の下にもつかな
い」という立場を貫こうとするが、大人たちの甘い誘いに3人の思いと団結は次第に離れていき、それぞ
れの道を歩んでいこうとする。
筋者の任侠右翼を相手に立ち回るには彼らは若すぎた。なぜなら彼らのナショナリズムの根本が若者特有
の「やり場のない怒りと不安」のはけ口を探す憤りに過ぎないからである。
次第に本職に翻弄され、利用されていることにも気付かず、破滅の道へと向かっていくネオ・トージョー
の面々。大人の裏社会に足を踏み入れ、彼らが見た想像を絶する過酷な世界とは・・・。
色々な意味で色々と考えさせられる作品であった。
本当の意味でのナショナリズムとは何なのだろうか?
我々が街頭でよく目にする特攻服で軍歌を鳴らし政治的主張をする、いわゆる「右翼」は、根本を辿れ
ば、政府が作り出したものである。急増する過激派左翼(反日思想や共産主義)の鎮圧のために、昔から
政治の裏で切っても切れない関係である任侠団体にその鎮圧を依頼したのが右翼団体の始まりである。政
治思想的な右左はそれ以前の大昔からあるものだが、右翼団体の登場はこれがきっかけらしい。(もちろ
ん真っ当な右翼団体もある。右翼すべてが任侠団体というわけではない)
暴力団は取り締まれても、任侠右翼を執拗に取り締まれないのはこのためだ。実から出た錆びとはこのこ
とかもしれない。
話が大幅に脱線してしまったが、本作の大東亜青雲同盟の兵藤が語る言葉の裏に「任侠右翼と名を変えて
もヤクザはヤクザだ」という意図が読みとれる。この作品はそんな世界の内情をリアルに教えてくれる。
渋谷の街をじっくりと歩いたことはないが、おそらくはヒキタクニオが描く文章の行間に「リアルな渋谷
の現状」がぎっしりと詰��っているのだろう。「リアルな日本の憂い」とも言えるかも知れない。
右左の思想についてはここで簡単に語れるものではない。自民党が右翼思想を根源に持つとは言え、我が
日本は「民族主義」かと言えばそうではないし、左翼代表の共産党や社民党がテロをやるかと言うとそう
ではない。時代の流れに伴いやり方は変わるものである。
右翼だ左翼だということに、興味もなく、意味も知らない次代の日本を背負う若者たちが、これからどう
生きていくのか。政治に関心がない世代とはいえ、人間が3人あつまれば政治は必ず生まれる。
社会への不安や不満。日常生活で生まれるやり場のない怒りや憤り。それをどう処理していくべきか。
間違った方向へ進む訳にはいかない。この作品はそんな若者世代に警鐘をならす作品であるように僕の目
には映った。
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「時計じかけのオレンジ」の冷笑も凍りつく、ヒップなバイオレンス小説。
そのキャッチのとおり、白と黒が際立った、疾走感ある小説だと思った。ネオ・トージョーと名乗り、理由なく大人を、たむろする若者を、秩序を壊し、力でねじふせようともがく3人の若者。怒りと苛立ちを吐き散らして駆ける彼らの渇きは、彼らが一番軽蔑する、ヤクザという名の大人たちによっていとも簡単に絡めとられてゆく。あしらわれ、翻弄され、ぱっくりと自分達の青さをさらけだして崩れ落ちてゆく。いともあっけなく。
ナショナリストを語るネオ・トージョーの中心人物・山口が掲げる理想にはたいしたバックボーンはない。BGMのように思想をかじり、目についたふやけた若者たちをつぶすことに快感を覚え、自分達の撒き散らす刺に、正論を被せているだけなのだ。
ほどけそうな精神の糸を縦にちぎろうとするのがヤクザであり、雇われて人を「消す」三郎であるならば、細くなった山口の糸に撚りを戻すのが、ひょんなことからネオ・トージョーにかかわることになった景子であり、その祖母のタエである。この小説の中心で綾をなすのはヤクザと山口ら暴力を喰らう男たちなのだが、他のヒキタ作品同様に、いやもしかしたらひときわ、この作品には女性の影が匂い立つ。山口には景子が、青田には小夜子が(もしかしたらタエが)、兵藤には涼子が。女性に対峙するそれぞれの男たちは、初めて少しだけ潤って私たちの前に現れる。
この小説を、時計じかけのオレンジの冷笑には及びもつかないと言った人もいたが、それは比べる方法が違うと思う。
前者が人間を組織との対比の中で明らかに部品として書ききった作品、いうなれば俯瞰ないしマクロをフォーカスすることで部品に言及した作品であったとしたら、後者は組織の中の部品としての人間を、同じく部品との係わりの中でディテールを明らかにしたミクロ視点の作品なのだから。
部品をじっくり見れば、全体像の中では埋没してしまう傷もある。油の染みもある。その傷や染みといった個性を書くことで、この作品には独特の湿った感じが加わっているのだ。この湿った熱こそが、時計じかけのオレンジでは一切省かれた人間性と人間の甘さであり、渇ききれない人間臭さなのだと、私は思う。
冷笑?ヒキタクニオがこの作品に込めたのは、冷たいどころか、めちゃめちゃアッツイ想いだったと思うぜ?
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・9/4 この本が前から気になってたから思い切って読むことにした.これも映画化済みだから、面白かったら映画も観てみることにしよう.
・9/5 なかなか面白い.
・9/8 と思ったけど、任侠小説になってきた.なんかこういうのって調子いい時にはいいんだけど、疲れてるときは本当読むと疲れて切ない気持ちになるよね.本日読了だけど、どうしよう、映画観てみる?
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映画DVDのパッケージを観たことがあるだけで、特に内容も知らず、ただ窪塚くんのイメージだけが頭にある状態で読む。
なかなかカゲキやねぇネオ・トージョー。このまま行くなら嫌いやぞと読み始め、気付けばハマっておりました。
山口はもう窪塚くんぴったりで、完全に脳内で変換。
自称ナショナリストのイキりなお兄さんやらやくざさんやら、いろいろでてきてえげつないことをいろいろするんですが、生き方やら表現方法の別はあるにしても皆さんなかなか根っこが魅力的。
いろんな人が酷いことになるんですが、それぞれが主人公になる回があるから、読み手は誰も悪役にできないんだろうな。
ラスト80ページ、それまでの布石や「凶気の桜」がどう繋がるのか、楽しみながら読めると思います。
ただ、救えないけど。
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面白いの一言。
表題、表紙から見て難しい言い回しでナショナリズムやらについて語った小説かと思いきや、わかりやすく若者のイラつきや社会の汚さをつづっていた、映画を先に見たけど、これほどまでに見事に原作を壊さない映画ってのもすごいと思う。
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青春特有の鋭く尖った感じが良くでてた。
映画のイメージ先行で読んだけれど良い意味でも、悪い意味でも、あまり印象が変わらなかった。
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普段読まない類いの本なのですが 結構面白く読めました。
映像向きだなぁ〜と 思いましたら 映画化されてるみたいですね。
でも 読んだあとはぐったり疲れました〜
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昔に映画みたの思い出して、読んでみたんだよ。
いやあ、おもしろかった!
こういうのはスカッとして、いいね。
あとがきも、なかなか。
こんなん読んだら、自分がむっちゃ喧嘩強い気がしてくるね。ガリガリやけど。
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映画から入りましたね、てか本あるの知らんかったし。
窪塚が出てて、キングギドラが歌ってて、中学生の時の私にはもってこいの映画だった。
そして高校の図書室においてあったこの本w
図書室に置く本って、内容とか確認しないんだねw
とにかくアンダーグラウンドな世界で生き抜くのって辛いよね。
また映画見たいなー
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あんまり読まないタイプのぶっとんだ小説だけど、たまには。極右の少年たちとホンモノのヤクザの戦いは、若者と大人の対決と見てとれるけれども、そうだとすると切ないラスト。
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文体が独特。
話にまとまりが無いかと思っていたらスゴくハッキリした筋に沿って実は進んでいる。
話は綺麗に纏まるけど、最後に何の教訓が残っているのかは良く分からない。
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映画化されると知って気になって読んだ本。
窪塚洋介さんらが載った帯で想像しながら読んだ。
当時、衝撃を受けた一冊。
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・あらすじ
いきがってたら大人でてきた。
・かんそう
中二病。江口洋介的な殺し屋像のほうがいいね。映画の勝ち。
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【本の内容】
怖い大人がいねかえら、脳ミソのぱさついた阿呆がのさばるんだ。
生まれて来て、すみません、って思いを味わわせてやる―。
渋谷に若きナショナリストの結社が誕生した。
その名はネオ・トージョー。
薄っぺらな思想ととめどない衝動に駆られ、“掃除”を繰り返していた彼らは、筋者の仕掛けた罠にはまっていた。
『時計じかけのオレンジ』の冷笑も凍りつく、ヒップなバイオレンス小説。
[ 目次 ]
[ POP ]
渋谷、ナショナリスト、筋者の世界。
自分にとって、とんと興味のない世界にもかかわらず、きちんと凶気の世界に誘導されていった。
共感もできないし、価値観も違うけれど、若くて荒っぽくて、未成熟な登場人物の魅力が、興味のない者をも引き付ける磁力となったのだろう。
渋谷の街は、とくに週末の夜は人があふれていて、土地柄と集まってくる人のパワーが互いに煽り煽られて、独特の雰囲気を醸し出している。
パワーに圧されたものはすごすご退散するしかないような、そんな排他的な感じすらする。
その中で生きる人々を描いたこの物語、映画化されるのがわかるような、派手さとスピード感のあるストーリーだった。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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最初読んだ時には 思想がない右翼青年のイメージで
ネオトージョー という下りには 苦笑した。
この右翼の青年たちは どうなるのか という関心も持てなかった。
ハズレの小説という感じだったが、
ヤクザモンの世界にはいりこんで、
ぐいぐいと 引き込んでいった。
とりわけ 消し屋「三郎」が 実に存在感があった。
殺しのテクニックが、並外れていた。
兵藤のたくらみ、そして 青田の過去からの連綿とした
ヤクザの すごみと 鬱症になって、綿がつもる。
その中で、やっと 山口くんが 少しづつ
光り始めるのだが、圧倒的に 三郎の力量に、
屈せざるを得なかった。
無理やり 在日に結びつけていくが、
ある ロールモデルがあるのだろうね。
徐くんが 「西原くん」だったことは、驚いた。
過去に そんな話が あって、記憶に残っていた。
文体が 不思議なくらいに 活力がある。