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某戦国さんが私は小村寿太郎だ!といってたのがほんと笑い話だ。この人が今日本にいてくれたらパンダの国やキムチの国相手にどんな外交をしただろう⁈
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[翻った忍耐の証]陸海の両面で大戦となり、多くの人命と資材が費やされた日露戦争。両国共に戦争継続のための能力に陰りが見られる中、アメリカ大統領ルーズベルトの仲介の下、ポーツマスにて講和会議が開かれることに。のっぴきならない調整の結果、決裂間近で結実に至った会議の模様、そして日本側全権の小村寿太郎らを始めとする人々に焦点を当てた歴史小説です。著者は、『破獄』や『ふぉん・しいほるとの娘』など、多くの歴史の一場面に光を当ててきた吉村昭。
外交交渉をつぶさに、そして臨場感をもって読者に追体験させるという小説は珍しいのではないでしょうか。息詰まる交渉はもちろんのこと、それを取り巻く会議への参加者やポーツマスの様子など、漏らすことなく往事の雰囲気を伝えることに成功していると思います。特に後半、会議決裂かに思われた段階からの両者のつばぜり合いには、結末を知っている後代の私たちが読んでも興奮を覚えること間違いなしです。
小説ではあるのですが、あまりに緻密なため、一つの外交のテキストも読めてしまうのではないかと思います。会議に至るまでの周到な準備、仲介者との間での細かな連絡・報告、そして「敵」にすらなりかねない交渉相手との信頼など、(参加したことはまだないのですが)現在の交渉の実態にも近いものがあると思います。交渉の内幕というのはあまり表に出てこないと思いますので、そういった意味でも価値ある読書体験でした。
〜歴史の浅い日本の外交は、誠実さを基本方針として貫くことだ、と思っていた。列強の外交関係者からは愚直と蔑称されても、それを唯一の武器とする以外対抗できる手段はなさそうだった。〜
それにしてもルーズベルトのあの仲介にかける意気込みはどこから来ていたのだろう☆5つ
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熱狂する群集に見送られて米国へ出発する全権大使・小村、その胸には帰国した時にはその全く正反対の群集が待っていることを予感していたという。その歴史が100年を超えて吉村昭により、生々しい現実として蘇ります。小村の家庭から始まりその人となりが明らかになるとともに、ウィッテとの交渉は息詰る迫力により描かれています。交渉が纏まった時の小村・ウィッテ双方の頬が緩みそうになるという記述はまるでその場面に居合わせたかのように生き生きと再現しています。ポーツマスのその部屋を探訪する研究熱心さが生んだ賜物です。礼拝に出席し、ポーツマスの人たちに親近さを感じさせ、味方に引きつけようとする日露代表。フランス語が話せることを隠し。和平交渉成立後、流暢なフランス語でウイッテに話しかける小村の姿。ルーズベルト大統領とその親友・金子堅太郎のドイツ皇帝からの親書を巡っての駆け引き。その他、国の存亡をかけた彼らの人間ドラマです。そして和平成立後、日米の精神的な隙間が広がり、日米対立への伏線が見え、日露戦争から15年戦争までの期間が以外と短いことを改めて感じることになります。
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著者吉村昭は小村寿太郎のポーツマス条約交渉の経過を丁寧に描いた歴史小説。
明治から大正にいたるこの時代の政治家は日本の将来に対する責任感とリアリティを持って、非力な日本を舵取りして来たということがよくわかる。
この後日本は無責任な政治家・軍人によって散々な目にあうのだが、志やビションを失った国や組織は劣化するという事だろうか?
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父から昔から勧められていた作品。吉村昭らしく淡々と書かれているのだが、国家の大きな曲がり角をクロージングする大役を、ある意味負け戦覚悟で挑んでいく主人公の姿・心境、交渉におけるスリリングなやりとりが鮮明。文体が古いので読みにくいかもしれないが、慣れてしまえば手に汗握る描写に吸い込まれて、あっという間に読了してしまうでしょう。
吉村昭は膨大な取材をもとに作品を書いていると聞いたことがあるが、歴史の中に散らばった情報を繋ぎあわせて再構築し、ここまで惹きつける「物語」に仕上げてしまうところに魅了される。
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日本が開国列強国へと進む中強烈な自制心をもって国に尽くした男の物語。私生活は幸せとは言えずも信念の人、もっと評価されてもいい人だと思う。韓国から見ると暗殺された伊藤博文と並ぶ憎むべき対象だったはず。伊藤は暗殺、小村は壮絶な病死…国に命を捧げた男達だ。安重根も韓国から見れば命を捧げた人物、が、日本には列強に比べてもまったく引けを取らない優秀な人物が多く排出した。一体この小国にどうしてこんな多くのエネルギーが隠されていたのだろう。
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日露戦争の後片付けだとおもったら どうしてどうして、面白いですね。剣を持たない戦争。
小村寿太郎は食えない感じでした。それがいい。
条約締結後の日比谷騒動、伊藤博文暗殺、日韓併合などが流れるようで興味はつきません。
日露から大平洋戦争までの知識をバチっと埋めたいです。
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〜14.4.4条約を結ぶまでが戦争だよ。坂の上の雲では終われない日露戦争の先を詳しく知れる。国の交渉の行われ方も興味深い。妥協点や譲歩、捉え方を変えるなど微妙なやり取りが面白い。
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坂の上の雲に見るような戦争の功労者を英雄視するのは容易いけれど、本当の英雄とは、自らの覚悟と知恵を武器に国の平和と未来を勝ち取った小村寿太郎のような人だと思った。
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日露戦争講話会議全権の外相、小村寿太郎を描いた作品。
彼は日本の存亡を賭して、身を削って講話会議の妥結を勝ち取った。
「 日露戦争でもあきらかなように、資源のかぎられた島国の日本では、軍事力には一定の限界がある。人口五千万の日本人の団結心は強く将兵の士気も高いが、大国と戦争するには人員が少く、物資も枯渇し、長期戦には堪えられない。 」日本の国策上、外交が重要なのは今も昔も変わらない。
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今では日露戦争は、「坂の上の雲」にもあるように、日本が勝利したということになってますが、自分が中学生の時は「負けてはいないけど、勝ってもいない」と先生から教えられていた記憶があり、それが不思議でなりませんでした。
今回その日露戦争後の講和条約(ポーツマス条約)を舞台にしたこの本を読んで、その疑問が解けました。
・日露戦争終結後の講和条約の日本側の全権大使は外務大臣小村寿太郎。ロシア側は蔵相ウィッテ。
・日露戦争における日本の味方は、日英同盟を結んでいた英国と、当時はまだ世界の警察ではなかったアメリカ。ロシアの味方は英国と対立していたフランスとドイツ。
・日露戦争に臨んだ日本は、最初から短期決戦で決着させるために、戦争が有利に展開しているうちに講和を持ちかけようと、アメリカのルーズベルト大統領にその仲介を依頼。世界への影響力を誇示したかったルーズベルトも、再三ロシアのニコライ皇帝に提案したが、ロシア側は最初それをことごとく拒否。
・しかし、203高地で有名な旅順が陥落し、その後奉天大合戦で惨敗し、バルチック艦隊が壊滅し、皇帝に対するレーニンによる共産主義勢力の革命の兆しも出ていて、ついに講和に応じることに。
・日本としては多くの犠牲者と戦費を費やしての勝利であったため、国民は賠償金や領土拡大に大きな期待を持って小村をアメリカに送り出した。しかし、日本軍にはこれ以上戦争を続けるだけの軍隊も、弾薬も、戦費もなく、日本政府としては一刻も早く講和に持ち込みたかった。
・一方のロシアは、海軍は全滅したとはいえ、陸軍はまだまだ精鋭が健在で、続々とシベリア鉄道を使って援軍を送り出している状況で、ニコライ皇帝がウィッテに伝えた講和の条件は「ロシアの一にぎりの土地も、一ルーブルの金も日本に与えてはいけない」。
・こうして始まった講和条件の話し合いは難航。日本が求めた、日本政府の韓国への政治的保護政策の実施や満州鉄道の権益にはロシアも同意したものの、日本への領土分割と戦争賠償金については全く譲歩せず。
・交渉当時のロシアは、戦争継続のための準備を進める一方、国内では革命の機運と同時に戦争反対の機運も高まったいる状態。日本は戦争継続も辞さずという世論が熱を帯びる一方、戦争を継続する戦力が殆どない状態。
・結局このチキンレースは、ロシア皇帝が「樺太の南半分は割譲してもよい」と譲渡し、決裂寸前、戦争再開寸前で講和は成立。
・この結果、賠償金を放棄した日本は「平和を尊ぶ人道国家」として世界で称賛され、この講和を斡旋したルーズベルト大統領はノーベル平和賞を受賞。
・しかし、日本国政府から、戦力がもはやない、ということを知らされていない日本国民(戦力がないことを公表すると、ロシアが一気に攻めてきて、日本軍は壊滅すると政府は予想)は、軟弱な外交交渉を行った政府に反発。全権大使小村寿太郎の自宅は焼き打ちされ、各地で暴動がおこった。また、そんな講和条約を斡旋したアメリカにも強い不信感が生まれた。
・一方、アメリカ国内においても、あの大国ロシア���打ち負かした日本に対して急激な警戒感が生まれ、これが後々、日米を戦争に導く火種となった。
というのが、ポーツマス条約が締結された背景であったようです。全権大使の小村寿太郎は、最初からこうした結論を予想し、国民から激しい非難を受けることを覚悟したが、戦争を終わらせるため、国のためにあえて臨んだということで、こうした人物が日本を救ってきたんだなと、またひとつ納得。
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淡々とした筆致のなかに、日露両国外交団のギリギリの駆け引きが重く伝わってくる。講和成立でハッピーエンドとならず、日比谷騒擾事件の顛末まで叙述されていてとても痛々しい。「坂の上の雲」に加えて読むことができて良かった。
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こんなキーマンがいたからこそ、今の日本がある
「就活のまえに」の中で中沢孝夫さんが取り上げていて、興味を持って読みました。日露戦争の講和条約締結に尽力した小村寿太郎の功績を、詳しく明らかにしている本です。
事実を淡々と描写するような文体は、最後まで読み終えることができるかどうか不安に思わせましたが、緊迫の交渉シーンは迫力があり、一気に読了することができました。いまさらながら、日本近代史を掘り返しては見識を新たにしている今日この頃ですが、学校の授業でこういう話を聞くことができなかったものでしょうか。単純に「日露戦争でも日本は勝利を収めた」なんて習っただけじゃ、話にならないです。凄いんです。
小村寿太郎がポーツマス条約を締結に持っていかなかったら、今の日本はどうなっていたのか。こんなキーマンがいたからこそ、今の日本があることを、我々はもっと知らんといかんです。英語教育も現代ほど浸透していない当時に、これだけの国際的なネゴシエーション力のある人物が日本にいたことを知って、105年経った今の自分達がどれだけ進化したのかというと、結構疑問に思えてしまいます。実は進化したのは移動手段(船から飛行機)と通信手段(電報からインターネット)だけであって、「人間力」そのものは、昔のほうが凄い人は大勢いたのかも知れないです。もちろん、金子らがそれぞれの役割を果たした「組織戦」であったことも、忘れてはならないですけどね。
いやー、頑張らないといけないです!
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日本の危機的状況を救った影のヒーローなのに、当時の国民の理解を全く得られなかった不運の主人公である。
彼の歴史的成果や苦労が手に取るように分かる良書なので、坂の上の雲とセットで読むべきだと思う。
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薄氷を踏んできた日露戦争の終幕を飾る外交戦。
その事実を隠蔽してきた付けが日比谷焼き討ち事件(東京騒擾)につながり、それを糊塗するための方策が後の15年戦争の種となってしまった。そんな感慨が残る小説である。
なお、今後、日露戦中から在米し、米国世論に対する日本への好意的目線の扶植に努力してきた金子堅太郎に注目すべきだろう。そして、彼らその役割を付与した意味も。