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紙の本
なかなかである。ラストが著者の趣味に引っ張られすぎて、ちょっと残念。
2011/11/12 20:56
9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
三浦さんは軽やかに読ませる作家だ。エッセーでボーイズ・ラブの漫画を愛すると公言するだけあって、男二人組の小説を書くとうまい。直木賞受賞作のまほろ駅前多田便利軒もそう。ただし、いかんせん趣味に走りすぎるとちょっとね、となる。月魚はそういった意味で惜しい作品である。
「水底の魚」「水に沈んだ私の村」「名前のないもの」の三篇からなる。うしろの二編は、水底の魚の設定を受けて、少し角度を変えた話だ。
「無窮堂」という古書店がある。物語の軸は、無窮堂店主の真志喜と、幼な馴染で古書店屋の瀬名垣のコンビだ。瀬名垣は古書店といっても店舗はもたず、卸売専門。仕入れて来ては、古本業者の市に出品したり、専門古書店に持ち込んだりする。実は二人とも古書店のせがれで、瀬名垣は親父の代から、真志喜は爺ちゃんの代からの商売である。
東京の神田界隈で、この話に出てくるような古書店にお目にかかったことがある。Book Offとは違って、価値のある本を積極的に見つけるというスタイルだ。Book Offのビジネスモデルは成功していて、ある意味で出版不況の一端を担っているのだが、昔ながらの古書店とは雰囲気がぜんぜん違う。三浦さんは古書店でバイトをしていた経験があるとのことだが、こんな店だったのかもしれない。古本屋という表現を使わず、あえて「書店」としているあたりにもほのかなこだわりを感じるところである。
作中で真志喜が言う。
「図書館に入ってしまったら、本は死んでしまう。流通の経路に乗って、欲しい人の間を渡り歩ける本を、生きている本と呼ぶんだ」
私個人の考え方には合わないが、ひとつの思い入れとしては充分伝わるものがある。こんな考えの古書店主がいたら、相当に魅力的な人物だろう。古書店主である二人が、過去のしがらみや、幻の本などの思い出なども絡め、コンビを組んで活躍する。古書店の業務が垣間見え、そんな側面もなかなか面白い。
文庫版書きおろしの「名前のないもの」で、所有欲や愛着について書かれている。不思議と、本というものはそんな香りが強い。なぜだろう。そう言いつつ、我が家の書棚に入った本を眺めると、でもこの子たちは売りたくないんだよな、などと思う自分がいるのである。本当に、なんでだろう。
紙の本
匂う以上の
2017/11/06 20:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:偽ウミガメ - この投稿者のレビュー一覧を見る
若くして古本の世界に住む二人のお話。
所々、確信を持たせるBL感。
しかし、さすが三浦先生。そんなことに気づかなくても十分楽しめるストーリー展開なのでは?
ワクワク、ドキドキしながらも、少し憂な世界観にはまり、一気に最後まで読んでしまいました。
紙の本
不思議な関係
2017/08/26 09:17
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:akiko - この投稿者のレビュー一覧を見る
三浦しをんさんが描く男性像や、男性どうしの関係は、ご本人の趣味であったり憧れを反映させている面もあるのだろうが、その曖昧な世界は私にとってなんだかふわふわと心地よい。