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館シリーズへのオマージュとマラルメについての薀蓄を交えつつ、作者らしい名探偵最後の事件を描いた作品だった。
最初の章で与えられた過去と現在の事件についての情報の歯抜けが、以降の章で少しずつ埋まっていく。
最初の章での一人称と石動パートと作中作パートでの書き分けが上手に感じた。
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ネタが若干「ハサミ男」とかぶっていたが、これはこれでまたおもしろかった。
過去の名探偵と現代の名探偵の対決という構図がおもしろい。
本編後に収録されていた水城優臣の話は途中まで読んで、あとは飛ばしてしまった。本編とどう関わって行くのか結局わからなかったが、少し蛇足だと思った。
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うーん、水城の件はたしかにえー、と思ったが、それ以外はなんというか若干ドキドキが少なかったかな。好みかもね。
後半の鮎井が書いた小説の章や、その後の石動の章がそんなに意味があったかというと謎かな…惰性的な感じ。
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(※館シリーズのネタバレもありです※)
このタイプのミステリが増えてきた今、そこまで斬新さは無いもののとても良く出来た面白い作品でした。
過去と現在が鏡の様に綴られている。なる程、と思わされました。
なんせ館シリーズへのオマージュがてんこ盛り。
『男女誤認』は迷路館、『場所誤認』は黒猫館、『一人二役』は十角館や水車館、『人物誤認』は人形館でしょうか。
そして作中のマラルメの詩の様にまるで韻を踏む様に繰り返される出来事や、情景、小物。
よく考えられているなぁ、とすごく感心させられました。
個人的には『ハサミ男』より面白かったし、素晴らしいと思いました。
石動シリーズ、ちょっと他のも読もうと思います。
(バカミスもあるという噂ですが、良いか~、と思えるくらい面白かった。笑)
『樒/榁』も対になっていて面白かったです!
シュンちゃんの正体には笑ってしまいました。笑
ただただ、あちこちにフラグ立ての様に記された水城探偵の別作品をもう読むことが出来ないのが残念で仕方ありません…。
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本作は全三章からなり、第一章は病を抱えた「ぼく」の内面が語られます。病のせいか「ぼく」の記憶は錯綜し、過去の出来事の断片が次々と現れてきます。何のことだかよく分からないまま読み進めるうちに、読者はショッキングな出来事に遭遇することになります。
第二章以降は14年前の梵貝荘事件の顛末を描いた「過去」と、石動戯作による梵貝荘事件の再調査を中心とした「現在」が交互に語られます。「現在」の調査そのものはやや面白みに欠けますが、カットバックを利用し、最後まで緊張感を途切れさせないところが素晴らしいです。
トリックは取り立てて目を引くものはありませんが、真相の「ある部分」はなかなかインパクトがあり楽しめました。
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石動シリーズを全て読み終えた。キマイラが最初だから、歪ながら。もうこいつに会えないのが寂しい限り。石動のイメージは俺には、ネットワークのいろはを教えてもらった女慣れしていないあの人なのだった。
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ああ、この展開ね。と見せかけてのこの展開。
トリック自体に奇抜さは無いが、真理的トリックの裏をかくような技術に舌を巻くしかない。
若干の物足りなさを感じなくも無いが、これを面白いと言わずしてどんな作品を面白いと言えばよいのか。
ということである。
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物足りなさすぎる。というか同時収録されてる短編はなんなんだ。てっきり更にもう一波乱あるのかと思いきやただの蛇足だろあれ。
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まるで法螺貝を模したような館「梵貝荘」で起こる陰惨な事件。
名探偵 水城優臣が解き明かす異様な殺人の動機。
そして14年後の現在に名探偵 石動戯作に持ち込まれる依頼。
「水城優臣の推理は間違っていたかも知れない」。
石動が最後に辿り着く名探偵の正体とは。
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普通に読んだら、まあ叙述トリックもの?なのかな...うっかり騙されました。
しかし若干消化不良です。
イマイチ物足りない感。引用が多くてちゃんと読むと混乱するし、水城が解決した事件のトリックもまあそんなもんか、という感じで素通りしていってしまった。
面白く読めて騙されたけど、すっきりとはしないそんな印象。
しかし、続編と銘打ってる二作品は、続編というより番外編?読むとちょっと楽しいオマケみたいなものでした。
本編の続き、ということではなかった。残念
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私は石動戯作を殺したことを後悔していない
という帯がかかっていたもので、終始 気が気ではなかった。
アルツハイマーを患う主格、石動のバイブルである探偵小説、実際に起こった過去の事件が交錯する複雑なつくりで目がはなせない。
そして最後の種明かしは、石動が尊敬してやまない探偵の正体。
夫を愛する妻の気持ちが胸にくる、
めずらしく人情味あるほのぼのした幕引き。
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長編である鏡の中は日曜日と,樒と榁という日本の短編からなる作品。
鏡の中は日曜日は,名探偵水城優臣という人物を中心に据えた作品。殊能将之の作品で,名探偵役(というより,狂言回し?)となっている石動戯作が,梵貝荘事件と呼ばれる,名探偵水城優臣最後の事件の再調査を依頼されるところから始まる。
この作品を引っかき回すのは鮎井郁介という人物。鮎井郁介は,水城優臣を崇拝し,水城優臣の活躍した事件を小説にして発表している。石動戯作が水城優臣が解決した事件を再捜査していることを知り,石動戯作が水城優臣の名声を貶めようとしていると考え,石動戯作を騙って水城優臣に会いに行く。そして,水城優臣の夫である水城誠伸に,石動戯作として殺害されてしまう。
つまり,男性のように書かれている水城優臣が,本当は水城優姫という女性であるとう叙述トリックが,鏡の中の日曜日という作品のメイントリックである。
殺されたはずの石動戯作が生きていて,水城優臣が女性であるという真相が終盤で明らかになる。この真相は驚愕だし,貼られている伏線も見事。構成次第では,もっと驚愕な真相として書くこともできたと思われるが,さらっと書いている点が憎らしい。
短編の樒は,名探偵水城優臣が登場する作品。榁は,その16年後の作品。樒を見ると,若い頃の水城と石動に接触があったことが分かる。いずれも,短編として十分楽しめる。
殊能将之の作品は,叙述トリックの冴え,作風,文体,石動戯作のキャラクターの魅力など,その全てが非常に好みの作風である。★4で。
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2015年10冊目。
何となく某名作とかぶるなーとか思わないこともなかったけど、これはこれで楽しめた。読んだことがあるようなトリックのはずなのに、結局騙されるんだ、あたしはw
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私は石動戯作を殺したことを後悔していない、という帯がかかっていたので、ドキドキしながら読んだ作品。最後のどんでん返しは見抜けなかった。石動が推理した程度ぐらいは、考えていたけれど。でも、この結末はちょっとデジャビュ感がある。
過去の作品と比べちょっと物足りない気がするのが残念。ぶっ飛び感が少ないというだけで、これはこれでよい作品とは思う。樒と榁は、おまけみたいな話。読者サービスってところかな。
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『黒い仏』はあまりにアレだったわけだが、こちらはいい意味で普通。端正な本格ミステリといえる。ユーモアも楽しめるし、ミステリとしても表題作のとある部分には驚かされた。人によっていろいろな楽しみ方が出来るのではないだろうか。表題作は作者の優しさも感じられる傑作。「樒/榁」も楽しめた。