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地名なのか人名なのか、慣れないアイスランドの固有名詞にやっぱり苦労したけど、話しの内容とアイスランドという北の寒々しい国なんだろうなという自分の持つイメージが妙にピッタリしてるとヘンなところで感心してしまった。こういう問題を抱える家族は、それこそ洋の東西を問わず、またいつの時代でも存在するんだろうと思うと心が痛む。
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ミステリーとして読むと、もっと早くに分かるはずの事実が、ご都合的に後出しになっていて、なんだかなあ、という感じ。
でも、家族の物語、暴力や孤独に囚われてしまった人々の物語、として読むと、とても面白かった。
うっかり「湿地」を読まずに、先にこちらを読んでしまったので、いずれ湿地も読みたいな、とは思う。
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壮絶なDV。読んでいて胸がつまりました。惹きつける展開になっていて、ページをめくる手が止まりませんでした。今作も面白かったです。
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私の評価基準
☆☆☆☆☆ 最高 すごくおもしろい ぜひおすすめ 保存版
☆☆☆☆ すごくおもしろい おすすめ 再読するかも
☆☆☆ おもしろい 気が向いたらどうぞ
☆☆ 普通 時間があれば
☆ つまらない もしくは趣味が合わない
2017.4.12読了
いやー良いですね。
確かに、暗いけれども、冷たくない。
どころか、人間の温かみまで感じるようです。
で、小説の内容は今更なので、これで置いとくとして、今回、事情からとても細切れで読むようになったのですが、数行とは言わないけど、1ページも読まないのに、もう小説の世界に入っているんですね。
こういう小説は今までにも有りましたけど、とくにこの小説はスムーズだったので、ちょっと興味が湧きました。
もちろん、小説がとんでもない駄作なら、こういうことは望めないでしょうが、小説そのものが理由なのか?それとも、翻訳が素晴らしいのか、またまた、私のイメージ力が凄いことになっているのか(笑)。
まあ、小説の世界観が完成されているというのは、はっきり言えるかと思いますが、他には何かありますかね。
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前作の「湿地」といい、味わい深い。骨の正体が二転三転する辺り、読者の期待を小気味良く裏切る。その一方で終始続く妻への暴力。凄惨な描写ではあるけれど、妻を取り巻く子供達の変化や、暴力がもたらす結果が、哀しくそして丁寧に描かれている。
主人公の刑事のエピソードもいい。
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北欧ミステリを読むにつれ、どんどんその魅力にはまりつつあるのが最近の私的読書傾向。独自の気候風土が持つ異郷としての魅力に加え、警察小説として修逸である作品がこれほど多いのには驚かされる。世界的に翻訳され、海外小説にはいつも分の悪い日本であれ、最近はどんどん翻訳が進められ(数少ない北欧言語の翻訳家は大変だろうと思う)、我々の手に触れるようになったことは喜ばしい限りである。
日本の書店を賑わして最近とみに注目されるようになっているのが、北欧五ヶ国で最も優秀なミステリに贈られるという『ガラスの鍵』賞ではないだろうか。本書のアーナルデュルは、この賞を同じエーレンデュル捜査官シリーズで『湿地』に続き二作連続受賞。本書ではさらに権威のあるゴールドダガー(CWA=英国推理作家協会)賞も受賞している。受賞すれば書店の本棚に並ぶのは日本の書店の通例であるが、とりわけ『ガラスの鍵』賞が日本人に馴染みが出てくるとともに北欧ミステリが根強く人気を博してゆく状況は、この先も明るい材料であると思う。北欧ミステリの水準の高さを見るにつけ、それは妥当なことのようにしか思われないからだ。
さて、本シリーズはアイスランド警察の捜査官エーレンデュルの物語。アイスランドでは数少ないといわれる女性捜査官エリンボルクとUS流の捜査の仕方を学んできた若き捜査官シグルデュル=オーリとの三人コンビである。それぞれに強烈で、互いに主張の強い個性が捜査の中でもぶつかり合う中で、エーレンデュルは感情を表に出さず、捜査方針を纏めては通常ならとても使いにくそうな二人の部下に捜査内容を淡々と配分する。捜査においてはエーレンデュルは一貫してプロの仕事に徹しているように見える。
アイスランドでは犯罪発生件数が極端に少ないらしいが、本書でも何十年も前に葬られたであろう死体の発見から本書は始まる。現在の事件というとさほどないのだそうだ。そんな犯罪の少ない土地で、犯罪として取り上げられなかった過去の死体にこの国が他国家と同じように内包する現実を墓と一緒に掘り出して見せたのが本書『緑衣の女』である。
ずばりテーマはDV=家庭内暴力である。凄まじいほどの夫の暴力に晒される女性の姿が捜査とは別の章で語られる。女性には連れ後の長女、暴力男との間に長男と次男がいる。時に長男の視点で悪魔の行動が描かれる。父親には見えず悪魔にしか見えない父親。恐怖にさらされる家庭の様子が淡々と描かれる。
さらにエーレンデュルは失われた家庭を抱えている。前作『湿地』でも、離婚して二十年になる妻の一向に冷めやらぬ元夫への憎悪の様子や、音信不通の状態になった長男、薬漬けになって人生を破壊している長女の様子が描かれ、とりわけエーレンデュルに助けを求めるかのように現れたエヴァ=リンドとの歪みながらも必死の父娘のやりとりは見ものであった。
本書ではそのエヴァ=リンドに試練が訪れる。父親のエーレンデュルにとっても自分の実人生以上の試練である。
このように捜査の進行状況、捜査官の家庭問題、事件の渦中の人々……と、三つの視点で物語を描きながら、本書は緊張のままに全巻を終えてゆく。国���真実を描くにはミステリという形がよい、と判断してミステリ作家の道を選んだアーナルデュルは、父親がまた作家であるという。血統を継いで、父親とはまた別のミステリという分野に表現の道を見出したアーナルデュルは、これからも土と時とに埋もれた真実を暴き出す作業を決してやめはしないだろう。
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行ったことのないアイスランドが少しだけ身近に感じる。
弱い者に手を上げるなんて、本当に許せない。
暴力のシーンは辛くて読めなかった。
でも単に暴力の出てくるエンタメ小説ではない。DVをとても憎む気持ちで書かれた本。
訳者のあとがきで、アイスランドは、霊能者がそんなに珍しくない。夢の話を同僚とする。というのが興味深かった。
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エーレンデュル捜査官シリーズの第4作目(邦訳作品としては2作目)
2003年 ガラスの鍵賞、2005年 英国推理作家協会賞 ゴールドダガー賞、2012年 ハヤカワミステリー大賞を受賞。
【あらすじ】
レイキャビク近郊の避暑地の空き地から人骨が発見された。状態から数十年以上前に埋められたものとみられ、大学の考古学教室の主導による発掘が始まる。
そんな中、エーレンデュルの携帯電話に、娘エヴァから助けを求める声が入る。必死の探索の末にエヴァを発見するが、彼女は胎盤剥離の出血で瀕死の状態であった。
意識不明となったエヴァの回復を願いながら、エーレンデュルのチームは人骨にまつわる謎を紐解いて行く。
【感想】
赤ん坊が人骨をなめているいう衝撃の導入部から始まるこの作品。時折挿入されるDVシーンの残酷さには目を覆いたくなるが、それがやがて物語の肝となって人骨の秘密と真相を提示して行く。
徐々に真実が明らかになる構成となっており、話に流れがあってとても読みやすい。暴力場面が苦手な人は辛いかも知らないが、読後の満足感を味わう上で必要な要素だと思って欲しい。
今回、エーレンデュルが背負う過去と、離婚後の家庭事情を知ることができる。なお、一度破綻した家族関係の修復がどこまで行われるかは、このシリーズを読み続けなければわからない。
なお、題目は物語に登場する謎の女性から取ったものと思われる。アイスランド語の原題は「グラーヴァル湖」。
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ミステリーとしての筋書きの面白さよりも、凄まじい暴力、絶望的な状況に打ちのめされて読むのが辛くなる。けれどもそこから自分たちの力で這い上がって、生きていく姿に救われた。彼女の名前が最後に明かされるのもよかった。シリーズものだと知らなかったので、前作の「湿地」も読んでみたい。
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プロローグがとてもよかった。でも、グイグイ読ませるけど、このエピソード必要かな?というものが多すぎた。
アイスランドという国をあまり知らないので、訳者によるあとがきの方がとてもおもしろかった。アイスランド人は夢の話が好きで、会社に来るとまず同僚と夢の話をするそうで、夢の意味を探るのが大好きなんだそう。日本人でいえば血液型で盛り上がるみたいな感じなんだろうか。
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曇天の下にいるような、始終薄暗い雰囲気に包まれた話だった。
事件自体は時間が経っているものだからか、ゆっくりと歩きながら事件の欠片を集める感じで、落ち着いてじっくり読める。
事件の渦中にあって次々に謎解きしていくようなスピード感はないけれども、しみじみ物哀しさに浸ることができた。
暴力描写はいわゆる読者サービス的なスリルのあるものとは違い、心を痛めて眉根が寄るほど辛いので、苦手な方は心して読んだ方が良いかも。
随分と久しぶりに海外作家の作品を読んだけれど、あまりの読み易さに驚き感動。
訳者はスウェーデン語専門の翻訳家だそうで。
なんとニッチな。
訳者あとがきも素晴らしく、この人の訳した本を他にも読んでみたいなと思わされた。
そういえば、どうも主人公たちの情報が唐突に入る感じがして、感情移入しにくいな、と思っていたら、シリーズものだった。
『湿地』から読めば良かったなぁ。
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今作も凄まじい暴力が描かれていて読むのが辛いが事件・謎は解決する。主人公の執念・執着は懐疑的だった部下も動かす。そういえば今回は雨降ってなかったな。でも相変わらずのどんより感です。
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序盤読んでいてヘニング・マンケルが頭に浮かんでしかたがなかった。なぜこうも北欧ミステリの湿度感は似ているのだろう。
挿話として挟まれるフラッシュバックや、事件捜査の過程で得られる噂から、「果たして真相は?」的な展開ではないのだが、後半なぜだかぐいぐいページを捲らされた。
悲劇の辿った道筋をしっとり読み込む物語。
過去の白骨の事件捜査の過程で、度を過ぎた聞き込みが元で人を一人死に追いやってしまうというエピソードはなんなのだろうと思った。
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現代と過去が交互に描かれる。見つかった骨は誰のものなのか?家庭内暴力を受けているらしい家族はどうなるのか?
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レイキャビックの郊外で子どもが白い石を拾って遊んでいた。親戚の医学生がその石は人間の肋骨だと見破った。地中に埋められた人骨。70年ぐらい前の骨。何があったのか。そのころはそこらへんにはサマーハウスが建ち。英軍や米軍の倉庫があったという。エーレンデュルはそのころの周辺の様子を調べ始める。そして人骨を発掘するように考古学者に頼んだ。時間をかけて丹念に調べることである家族の悲しい過去がよみがえってきた。